Chapter 2 - 危険 (2)
眩しすぎて白く見えそうな日差しがキラキラと窓越しに見えるある晴れの日、キムと一緒にバンド部を作ろうと決めた次の日だった。
”ウィットニー、聞いて聞いて!私たちバンド部作ることになったんだけどもう一人欲しいの!”
キムと私、私たちは優等生のウィットニーにしがみついた。
優等生だけど学校外で一緒に遊んでる時何回も勉強したくないという話を聞いたしバイオリン、ギターなど色んな楽器を演奏できると噂があると聞いたことあるのでバンド部仲間にするにはちょうどいい候補だった。
”それで?”
”それで…あなたをうちのバンド部に加入させるんだ!”
”は?!”
ウィットニーは大きな声でそう答えた。クラス全員がその声に驚いてウィットニーと私たちに視線を集めた。
”いきなりそんなこと言われたら誰だって焦るよ、何なの一体!?”
ウィットニーはクラス全体の反応を見てせき払いをした後、声を小さくして答えた。
”正直に言って、このまま一生勉強だけするのは嫌でしょう?”
”そ、それは…”
ウィットニーはその言葉に焦りだしたのか目を泳がせ始めた。
そのままため息をついては顔を下に向けた。
”それにウィットニーはギターとバイオリンも上手だって聞いたよ。もしこれが本当なら君ほど音楽に才能がある人は珍しいと思うんだ!”
ウィットニーは私の言葉にしばらく悩んでは…
”どうして私なの?”
ため息交じりにそう質問した。
”どうしてって、私たち子供のころから一緒に遊んでた幼馴染でしょう?クラブの始まりは頼れる人たちとしたいと思ったからさ!”
ウィットニーは私の言葉に感動したのか慌てだしたのか目を丸くして私を見つめてはすぐ目を閉じた。
”…それならやってみようか、バンド”
”やった~!よかった!”
”キヨ、よかったね~!!幼馴染三銃士再び降臨!”
”それ絶対降臨の意味わかってないでしょう?この馬鹿ども”
キムと私はぴょんぴょん飛びながら喜んでいてウィットニーは反応に困ったのか自分の髪の毛を触っているだけだった、
そして…
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[ウィットニー·ブリタナ]
…おかしい
昨日のあの姿はいつものキヨではなかった。
練習に集中してくれるし、もうすぐ開催される新入生歓迎会の講演準備してくれるのは本当にありがたかったけどどうしても違和感が消えなかった。
普段はサボりがちだし、話もちゃんと聞いてくれないし、いつも口喧嘩しがちな子がいきなり練習熱心になるしリーダーらしく行動しようとしていた。
やっぱありがたかったけどどうしても不安な気持ちになっていた。
昨日音楽室に来る前サリバン先生と会ったという話だったし、きっと先生が回答のカギを握っているでしょう。
私は音楽室に向かいドアをゆっくりと開いた。
私はドアを閉めて先生の方に向かった。
すでに音を聞いていたのか先生は私の方に向けて笑顔で手を振ってくれた。
”こんにちは、サリバン先生”
”こんにちは~、ウィットニーさんどうしたの?”
私は先生を見つめながら質問するかどうか悩んでいた。
”昨日キヨさんから話は聞いた?”
”え、なんの話ですか?”
”新入生歓迎会で反応が悪くなったらバンド部が解散するかもしれないって…キヨさん伝えてなかったの?”
”…”
私は何も言えないまま立っているしかできなかった。
新入生歓迎会でバンド部の運命が決められるという話を本番の三日前になって、今更聞かされた。
”ウィットニーさん…?”
”…”
私はため息をつきながら顔を左右に振った。
”あいつ、何も話してくれませんでした…”
”あら、どうして伝えてなかったんだろう…”
あいつがどうして急にリーダーらしく行動しようとしていたかと思ったら私たちに内緒でこんな衝撃的な話を聞いたからなのか。
私たちに隠し事してたんだね、リーダーらしくない。
あなたは最後まで臆病者みたいに隠れるつもりだったんだね、リーダーらしくもない。
私は内面から湧き上がる怒りに何をどうすればいいのかわからなくなっていた。
怒りを顔に見せないように意識していたけど、体は少し震えていた。
体を震わすくらいでは全然収まる気配はなかった。
こんな状態では先生の前に立っていられなかった。
結局、私はため息をつきながら背を向けて音楽室を出ようとした。
”失礼します”
”ちょっと、ウィットニーさんまって!”
ドーン!
私は思わずドアを強く閉めてしまった。後で怒られそうな気がしたので急いで階段を下りて教室に向かった。
こんな大事なことを私たちには’なんでもない’と何も言わないまま嘘をついているあいつの顔をクラブ活動時間に見てしまったら…
’こんな大事なことを隠してるつもりだったの?’
普段からサボりまくっているキヨにこれ以上失望することはないと思っていたけど、結局最悪な評価になってしまった。
”あなたってやつは…本当に…!”
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[キヨ·ホシノ]
私は学校の鐘が鳴ると同時に反省文を書かなくてはいけなかったので紙を取り出して素早く文章を書き始めた。
’学校の壁に落書きをしません’と繰り返し書いて紙が埋まると同時に隣にいた先生に提出してギターバックを背負い音楽室に向かった。
足取りが少し重かったけどバンド部の未来のためならこんな重苦しい感情など忘れられた。
いや、忘れなければいけなかった。
私は階段を昇り音楽室に着くとゆっくりとドアを開いた。
”おはよー、みんな~…”
なのにあれ…?
ネズミ一匹も無いように静寂な雰囲気だった。
何かがあったのかと思い回りを見まわしたけど特に変わった様子ではなかった。
みんな暗い顔をしていたし、ウィットニーは私を見るなりすごい勢いで私を睨みつけていた。
”あれ…みんな何かあった?”
”あなたこそどういうことなの?”
”ウ、ウィットニー急にどうしたの?”
”こんなに大事なことを私たちに内緒にしておいて何もないって嘘ついたの?”
私は大事なことという言葉にビクッとした。
もしかして解散の話を聞いたのか?
聞いたとしたらどこから?
まさかサリバン先生に聞いた?
"な、なんのことか全然わからないんだけど…"
”最後まで知らないふりをするのね…だったら私から話すから”
キムとアジュールはウィットニーを止めようとしたけどウィットニーはそんな二人を止めるゼスチャーを見せた。
結局、キムとアジュールは椅子に座っていることしかできなかった。
”新入生歓迎会で観客の反応によってバンド部の運命が決まる…合ってる?”
ウィットニーはそう言いながら私を攻め始めた。私は追い詰められた。
”え、えっと…”
私は言葉に詰まったまま彼女を見つめようとしたけど慌ていて目を泳がせていた。
追い詰められたまま攻められると何を言い返せばいいのかわからなくなっていた。
”ねえ、そうでしょう?早く言いなさいよ。認めなさい!”
”…”
私は床を見つめたまま、ため息をついて話す準備を始めた。
”キヨ、今まで隠していたこと全部話して”
キムはゆっくりと立ち上がり私にお願いしてきた。
息が詰まって言葉が出そうで出ない気がした。
私はこんなに怒っているウィットニーを始めて見た。
”そうだよね…ウィットニーは嘘つかれるの嫌いだったよね”
”それでも私はみんなに真実を話す機会をあげようとしてるの、あなたと私が幼馴染じゃなかったらこんな機会も与えようとしなかったでしょう”
”…”
私はしばらくその場で黙っていたけど心を決めた。
”ウィットニーの言う通りだよ”
”…!”
”校長先生側からアンチインディーズグループがアメリカ全国に広がっていて学校のイメージが悪くなる可能性があるかもしれないからバンド部を維持させるのは不可能だって話したんだ”
”それで、あなたは何を思って嘘なんてついたの?”
”私は…!”
”なんなの?!”
”…私は話そうとしたよ、ライブに成功した後に…”
私は推し推せて来る罪悪感に声が震え始めたけど最大限息を整えて答えた。
”それで隠そうと思ったの?そんなくだらない理由で?”
”違う、私はみんながこと話を聞くと慌てると思って…みんなのために、みんなを思って嘘をついたの!”
”リーダーは…!!!”
ウィットニーは叫び始めた。
”…!”
そして私は何も言えないまま彼女の言葉を聞くしかなかった。
”リーダーはそんな言葉に屈しないでチームを信じて、嘘なんかつかない!”
"..."
そうか。
”それなのにあなたは…嘘をついた。私たちのためにと言い訳して!”
”…そうだけど…”
’それでも私はみんなのためと思ったんだ’と言おうとしたけどウィットニーが近づいてきて私の胸元を掴んで揺らした。
”クッ…?!”
”あなたは…嘘を口にしたクズなだけでしょう!リーダーだって?リーダーはメンバーに嘘なんかつかない!信頼のために嘘はつかないんだよ!”
”お、おいおい。こんなに近くに居るとだめだよ、このまま喧嘩になると誰が責任取るの?”
いつも通りウィットニーと私の間に入り込んで距離を置いて喧嘩を止めようとした。
ウィットニーはゆっくりと私を放して、私はゲホゲホと咳をした。
”け…けほ…”
”ふん”
”まあまあ、今は喧嘩する場合じゃないでしょう。新入生歓迎会は三日後、それまででも喧嘩しないで頑張るべきでしょう?一時休戦ってことで嘘とか信頼とかは新入生歓迎会が終わってからにしよう”
キムは両方を落ち着かせるために休戦宣告をして私たちを落ち着かせた。
キムが居なかったら私は拳を振っていたかもしれないと思った。
”わ、私頑張ります!”
アジュールはその場で立ち上がりベースを手に取った。
頑張りますという言葉が部屋中に響き渡りみんなの視線がアジュールに集まった。
”…ふん、わかった。それじゃあ、みんな楽器持って。練習する時間だから”
ウィットニーはそんなアジュールの姿を見て自身のギターを持って音楽室の前に向かった。
”よし、いつも通り練習だ~!”
みんなの落ち込んだ雰囲気を上げるためキムはぴょんぴょんと飛ぶような歩きでドラムに向かった。
”…”
もしかすると、このピンチは何とかなるかもしれない。
自分のチームを疑ってしまったけど、真面目に練習してみんなが観客の思いに答えることができたら…なんとかなるかもしれない。
いや、絶対乗り越えなきゃいけない。
そうじゃないと…
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-To Be Continued-