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98回目 本気で行こう

最近、読んでくれる人が増えて、評価も増えてランキングにも乗り始めました! 物凄く嬉しいです! ありがとうございます!


これからも頑張りますので、引き続きよろしくお願いいたします!

 アカメアリの女王、その個体がダンジョンコアのエネルギーを吸収して進化したのだとすれば、その個体名は『スカーレット・クイーンアント』もしくは『クリムゾン・クイーンアント』になっているらしい。


 スカーレットはアカメアリの一つ上、クリムゾンは二つ上といった感じだ。


 冒険者ギルドの格付け的にはスカーレットがDランク、クリムゾンがCランクのモンスターとなっている。


 クリムゾンの眷族であるクリムゾン・アントですらEランクまで上がるらしく、火山帯に蟻塚を張り巡らせるクリムゾン・アントの駆除には、高ランクの冒険者パーティーが複数呼ばれる事もあるらしい。


 以上は全てシエラ情報だ。冒険者になったのは最近だが、シエラは聖エタルシス教会所属の治癒師として冒険者ギルドへの出張や、クエストへの協力をした事もあるようなので、とても詳しい。本当に頼りになる仲間である。



「ガモン様、ここは一旦引きましょう。普通に考えて私達の手に余ります。事情を説明すれば冒険者ギルドから領主様にも協力要請がされ、大規模な討伐隊が組まれるはずです」


「ガモン、俺もシエラに賛成だ。あの蟻塚…………っか蟻城にどんだけいるのか解らねぇし、全部進化してたらこの村だけの話じゃすまねぇしな。一旦帰ろうぜ?」



 シエラとトルテの言う事はもっともだ。俺だって何もなければそうしたし、今もマジで逃げたいとは思っている。…………だが、俺は首を横に振った。



「それが出来れば良いんだけど無理だ。これは俺達だけで対処する必要があるんだ」


「いや何でだよ。意地を張る必要はないんだぜ? この状況だから俺達の評価は下がらないし、アレスたちが心配なら一緒に連れてってもいいだろ?」



 俺ならそれくらい出来るだろ? と、トルテの眼が物語っている。確かに『◇キャンピングカー』があるから、アレス達どころか、村の全員を連れて逃げる事も可能だ。村の全員をフレンドに出来ればだけどな。


 だが、そういう問題ではない。ネックになっているのは、あの『ストーリー・サブクエスト』だ。


 あのクエストの期限はハッキリ『二日』となっており、さっき確認したら残りは『一日』に減っていた。なによりも、アレスを助けたにも関わらず達成になっていない。


 つまりアレス達三人は、いまだに『死の運命』に囚われているのだと、『運命の天使』が言っている事になるのだ。…………絶対にマズイよなこれ。なにしろ『運命の天使』だ。


 俺がその事を二人に説明するとシエラは顔色を変え、トルテは何言ってんだコイツ? という表情を浮かべた。まあトルテの気持ちは解る。俺だって他人事だったらそういう反応になるもの。



「『運命の天使』ですか。…………それは無視をして良い相手ではありませんね」


「い、いやいや待てよ。て、天使? なんだよそれ、それもガモンのスキルなのか?」


「疑う気持ちは解りますが…………。ガモン様、トルテ君には話しても良いですね?」


「ああ、そのつもりだ。ついでにアレス達にも聞いてもらう。今回の事を乗り切るために、アレス達もまとめてフレンドにするぞ」



 もちろん、全員を戦わせるつもりではない。アレスには一緒に戦ってもらうが、アレスの家族達は『◇キャンピングカー』に避難していてもらうのだ。この家よりは、遥かに安全な場所だからな。


 ちなみにアレマーさんの話だと、あの蟻塚が出来てから他の村人は村の端にまで避難しているようだ。アレス一家は、大怪我をしたアレスがいたから、この場から動けなかったようだ。



 ◇



「…………マジかよ。…………いや、ガモンのスキルで出て来た物を見てるし、このガチャ装備? に『フレンド・チャット』だっけ? …………いやここまで来ると、疑う気にもならねぇよ。マジで『勇者』なんだな、ガモンは」


「まあ、俺自身『勇者』だとは思ってないけどな」


「勇者様だったとは! 重ね重ね、ありがとうございます!!」


「いやアレス! そういうのいいから! なんですぐ土下座なんだよお前は!!」



 とにかく、俺のフレンドとなり俺のスキルの力を体験した事で、トルテも『ストーリー・サブクエスト』のヤバさに気づいてくれた。



「『運命の天使』かよ。本物だと考えるとシャレにならねぇな」


「そうなんだよ。だからここから逃げたとしても、何が起きるのか解らないんだ。でも絶対に、原因になってるのはあの蟻塚に間違いないだろ」


「逃げたとしてもアレスさん達の運命が変わらないのだとすれば、普通に考えるなら『スタンピード』でしょうか。…………アカメアリだけのスタンピードなど聞いた事もありませんが」


「…………お、俺達のせいで、申し訳ありません!!」



 俺達が話し合っていると、アレスが床に頭をぶつける勢いで土下座した。その後ろではアレマーさんが項垂れており、アリアとアラムは不安そうに身を寄せ合っている。


 そんなに不安そうにしなくても、俺達に四人を見捨てる選択肢はないよ。



「別にアレス達のせいじゃないだろ。でも、協力はして貰うぞアレス。お前には、俺達と一緒に戦って貰うぞ!」


「もちろんです! 皆さんの恩に報いるために! 家族を助けるために! 命を賭して戦います!!」


「アホ。生き残るってのは絶対条件だ。誰一人として死んだなら、それは俺達の敗けだ。絶対に生き残るぞ!!」


「…………っ! はい!!」



 その為に出来る事は全部やってやる。どんな手でも使ってやるからな!!

面白い。応援したい。など思われましたら、下の☆☆☆☆☆から評価をお願い致します。


モチベーションが上がれば、続ける力になります! よろしくお願いします。

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