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90回目 ヘテナ村に行こう

 《ヘテナ村:アカメアリの駆除、及び蟻塚の撤去》

 ・蟻型モンスター『アカメアリ』が、ヘテナ村の農地付近の岩場に巨大な蟻塚を建造し、今も数を増やしています。このままでは農作物への被害はもちろん、人的被害も増大する事が予想される為、早めの討伐を期待します。

 ・『アカメアリ』Eランクモンスターである『アカメ女王』を頂点としてGランクモンスター『アカメアリ』が活動する、コロニーを形成するタイプのモンスター。『アカメ女王』自体に戦闘能力は無く『アカメアリ』も頭を蹴飛ばす程度で討伐できる程に弱いのだが、とにかく数が多いので油断すると喰われます。

 ※『アカメアリ』の牙が赤く輝くと小さい火の玉を吐きます。火による災害にも注意して下さい。



「……………………なるほど、面倒そうなモンスターではあるな」



 冒険者ギルドから出た俺達は、さっそくヘテナ村へと向かう事にした。ヘテナ村はタミナルの街の南西にある村で、普通の馬車で四日掛かると言う。


 俺はカラーズカ侯爵家の特別な馬車にしか乗った事はないが、街中を歩く馬車は自転車よりも遅いくらいのスピードだから、その程度という事なのだろう。ヘテナ村まで馬車で四日、歩いて六日と言われたからな。


 そんな訳で、俺達はいま街の南門へ向かいながら依頼の内容について話している所だ。ちなみに俺とシエラがヘテナ村へ向かう事はフレンド・チャットでゲンゴウに伝えてあるし、トルテの宿屋には先程トルテが走って行って伝えて来た。


 宿屋については、部屋は空き部屋とされてしまうが、別料金を払えば荷物は預かってくれるようなので取り敢えずは安心だそうな。



「アカメアリはなぁ。アイツらある程度の数まで増えるのを地下で待ってから蟻塚造り始めるから、造られるとあっという間にデカイのが出来るんだよ。俺の村も前に蟻塚造られた事があって、駆除が大変だったんだよな」



 トルテによると、アカメアリは中型犬くらいの大きさで、顎とたまに吐く火の玉にさえ気をつけていれば大丈夫らしい。蹴っただけで頭がポロッと取れると言っていた。…………平和主義者の日本人としては、頭がポロッと取れるのは恐怖でしかないんだが。



「ただアイツらの牙は赤い状態で採取すれば高く売れるし、魔石も小さいけど火属性付いてんだよ。集めんのは大変だけど、全部集めれば金貨一枚くらいにはなるかも知れないぞ?」



 金貨一枚かぁ。…………あぁヤベェ。ガチャ一回分と考えると全然トキメかねぇ。十万円って大金なのになぁ。



「ところで、トルテの村に出た時はどうやって討伐したんだ? やっぱ冒険者に依頼か?」


「いや、ウチのはまだ大した事なかったから、村総出でやっつけた」


「へぇーー。まあ、蹴ったくらいで倒せるんだから、不可能じゃないのか」


「いや、最終的には棒で叩いたりしてたけど、最初はお湯だよ」


「お湯?」


「熱湯かけると一瞬で死ぬから、大鍋で熱湯沸かして、村長の水魔法で操って蟻塚にぶっかけたんだ」



 おっと意外な方法が出て来たな。熱湯をかけると死ぬのか。…………そう言えば、ムカデを退治する方法がそれだとか何かで見た気がする。蟻にも有効なのか。


 でも、トルテの村では対処出来たものがヘテナ村では無理となると、ヘテナ村の蟻塚は余程デカイのかも知れない。


 でも、今の話を聞いてちょっと思いついた事もある。基本的には生活ガチャから出て来た殺虫剤とか使おうと思ってたけど、☆4『高圧洗浄機』も使えるかも知れない。説明読んだら水源が要らない上にお湯も出てくるらしいんだよ。流石は☆4だ。☆4ともなると不思議道具だもんな、もう。



「おいガモン、どこまで行くんだよ。乗り合い馬車に乗るんだろ?」



 南門が見えて来たので、そのまま街を出ようとするとトルテに止められた。トルテが指差す先には幌馬車が何台か停まっており、それらはこの世界では一般的な移動手段の乗り合い馬車だ。


 乗り合い馬車は、それぞれ行き先の町が決まっており、ある程度の人が集まるか、金を多めに出して規定の金額に到達すると出発する馬車だ。


 ちなみに俺達の目的地であるヘテナ村行きは無い。と言うか村へ行く馬車は基本的に無い。その場合は近くの町で馬車を降りて残りは徒歩で行くそうだ。


 金が掛かり、時間が掛かり、効率的じゃない。なので俺達は別の手段で目的地を目指す。



「乗り合い馬車には乗らない。大丈夫だから来いよトルテ。取り敢えず街を出るぞ」


「おいおい本気かよ。歩いたら片道六日だぞ? 幌馬車なら天幕も要らねぇのに。俺、天幕は持って来てねぇぞ?」



 トルテは宿から戻って来る時に大きなリュックを背負って来ていたのだが、その中身は夜営道具のようだ。


 …………そうか夜営か。いざとなれば『◇キャンピングカー』があるから全然考えて無かった。その証拠に俺とシエラはほぼ手ぶらである。まあ、シエラの場合はマジックバッグの小さいのを持ってるみたいだから、荷物はその中なんだろうが。


 アレ? 俺、異世界をナメ過ぎじゃないか? いやいや、でも要らないだろ夜営道具。ってか、生活ガチャから出て来たテントが…………。あーー、全部ゲンゴウに売ったかも。いざとなったら、その場でガチャを回そう。欲しい物が出るとは限らないけど。



「まあ、なんとかなる。ほら行くぞトルテ、着いて来い」


「…………わかったよ。ガモンはあれだけど、シエラが平然としてるからそっちを信じる」


「おい! いやまぁいいやそれで」



 南門から出たらしばらく歩き、人が少なくなった辺りで車を出した。山道にも強いSUV車だ。☆4『ランブルクルーザー』である。フルサイズSUVである。


 うおおっ! マジで出て来たよ! これが出て来ると、ガチャ一回10万円がやたら安く感じちゃうよな! マジで!!

面白い。応援したい。など思われましたら、下の☆☆☆☆☆から評価をお願い致します。


モチベーションが上がれば、続ける力になります! よろしくお願いします。

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