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84回目 異世界の本

 ゲンゴウが帰った後、俺もシエラと一緒に寮を出た。目指す場所は冒険者ギルドなのだが、今日のシエラは聖エタルシス教会のローブを着ていない。今日からシエラはガチャ装備を身に付けているからだ。


 全部を今、身に付けている訳ではないけど、シエラの装備はこちらになります。



 《シエラ》

 メインウェポン:加速の手甲(+4)

 サブウェポン:癒しの杖(+4)

 腕装備:鱗の盾(+4)

 頭装備:若草のベール(+4)

 体装備上:新緑のローブ(+4)

 体装備下:修行僧のズボン(+4)

 足装備:スニーカー(+4)

 アクセサリー:防毒の御守り(+4)

 アクセサリー:防麻痺の御守り(+4)



 半分が新しく出た装備で、もう半分は前に装備ガチャを回しまくった時の装備だ。…………ふと思ったんだけど、装備ガチャから出て来る物も、何かの条件で確率とか変わるのかも知れない。例えばこの日はこれが出やすいとか。いわゆるピックアップガチャみたいに。


 なぜそう思ったかと言うと、前にやった五百回と今回の三百回の内容を考えるに、いわゆるハズレ枠以外のダブりがあまりにも少ないからだ。


 ハズレ枠はめちゃくちゃダブってんのに、それ以外がダブらないどころか出て来ない物もあるなんて、偶然にあるだろうか? まあ、今のところ問題がある訳じゃないんだけど、そのうち検証してみよう。…………大金が手に入ったら、そのうちな。


 それはともかくとして、今日もGランクの依頼をこなさなくては。あと二回こなさないとFランクに上がれないからな。


 冒険者ギルドに入る前に、ふと素材の買い取りを行う方の建物に目を向けると、ちょうどトルテが中に入ろうとしていて、こちらに笑顔を向けて手を振ってきたので振り返してやった。



「トルテは今日も素材の洗浄に行くんだっけか」


「ええ。確かそう言っていた筈ですわ。素材の洗浄を受けると、いつも終わった後は肉をふるまって貰えますからね。それを目当てに五回全部を素材の洗浄にする人も、中にはいるみたいですね」


「まあ、若い内は肉だよな。特にトルテくらいの時は肉さえ食ってれば何とかなるから。悩みがあっても不満があっても、肉食えば大体どうでも良くなるしな」


「…………それは何も解決していないんじゃないですか?」



 呆れたように呟くシエラの声を聞きながら、俺は冒険者ギルドへと入った。



「おはようございます。ガモンさん、シエラさん。今日も依頼を受けるのですね? トルテさんは、もう素材の洗浄を受けて向かわれましたよ」


「おはようございます、ミミナさん。俺達は蔵書の写本を受けようと思っているんで、トルテとは別行動なんですよ」


「そうでしたか。写本の依頼を受けてくれるのは助かるので、ぜひお願いします。蔵書の写本は一度につき三冊がノルマとなっており、それが終わるまではギルドに寝泊まりして頂きます。少々狭いですが、ちゃんと個室を二つ用意しますね」



 ああ、そう言えばこの依頼は泊まり込みだったか。…………マズったなぁ。寮の誰かに泊まり込みになる事を言ってなかった。一度寮まで戻るか。


 などと俺が考えていると、シエラが前に出て来た。



「部屋は用意してもらっても構いませんが、おそらく使わないと思いますよ?」


「…………そう言えばシエラさんは、前も一日で三冊の写本を終えていましたね。では、ガモンさんの分だけ用意しましょうか?」


「同じパーティーとして、私が手伝う分には問題ありませんよね?」


「あ、はい。一応規則違反にはなりませんが。…………Eランクになる前に本の内容を把握したいのならば、ちゃんと写本をした方が良いと思いますよ?」


「そうですね、考えておきます。でも恐らくは、一日で終わると思いますわ」



 シエラは妙にキッパリと言うが、俺に写本を早くこなす自信なんかないよ? 生活ガチャから出て来た☆3『カラーコピー機』を使っていいのなら話しは別だけど、そういうもんでも無いんでしょ?


 まあしかし、そうは思うがシエラがやけにキッパリと「終わる」と言うので、取り敢えずはそれに従うことにして、俺達は蔵書の写本の依頼を受けて、三階の奥にあった図書室まで移動した。



「おおーー。なんか懐かしい気がする匂いだな」


「紙とインクの匂いですね。私はこの匂い好きですわ」


「そうだな、俺も嫌いじゃない」



 図書室は俺が考える図書室よりは遥かに狭く、本がそれなりに入った三つの書棚と、長テーブルが一つに椅子が二つ、机と椅子のセットが一組置かれただけの部屋だった。


 いや、普通の書棚の隣に、えらくガッシリした造りの小さな本棚が台に乗せられて置いてあるな。でも中に入っているのは三冊の薄い本だけだ。



「あの本棚が気になりますか? あそこに収められているのは『魔道書』です。三冊とも『生活魔法』の魔道書なんですよ」


「へぇ、あれが…………」



 ミミナの説明を聞いてちゃんと見てみるが、なんかイメージと違うな。『魔道書』ってこう、もっとガッシリとした固い装丁に護られている物じゃないのか? あれじゃなんか、紙を紐で纏めただけに見えるぞ。



「そして、今回の依頼で写本して貰いたいのは、こちらの本になります」


「…………これ?」


「はい」



 俺は長テーブルの上にミミナが出した六冊の本に目を向けたが、…………薄い。え? 本当にこれなの?


 異世界の本の常識は、何だか俺の知っている本の常識とは違うみたいです。

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[気になる点] シエラが「です」で終わる時と「ですわ」で終わる時があって、どちらの口調が正しいのかわからなくなりました。 です:丁寧な子 ですわ:お嬢様、上品な子
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