78回目 『七星の盾』
☆5装備『七星の盾』。
やっと出た☆5装備。これが出た事で解った事がいくつかある。
まず、☆5装備は熟練度の上限が最初から100だ。つまり同じ装備を集めて合成する必要がない訳だ。まぁ当然と言えば当然だ。万分の一でしか出ない☆5装備の、しかも同じ物を五個集めるとか不可能である。☆4でも集まってないのに、☆5とか無理ゲーだろ。
次にスキルについて。
スキルはまず一つが解放されており、その他に三つある。そして解放されている訳ではないが、二つ目のスキルは見えており、その説明文も読む事が出来る。三つ目以降はその名前も解らない。
取り敢えず見えている事で言うと、『七星の盾』はチート装備だ。ブッ壊れ性能である事が確定している。
何せ『七星の盾』自体の説明文がヤバイのだ。
『魔神の攻撃すらその身に封じる星神の盾。全てを封じ、全てを穿つその輝きは、ひとつの星の爆発すらも封じ込め、神ですらこの世から消し去る程の力を秘めている』
神を消し去るて、どんだけヤバイ盾なんだよ。いや盾だよこれ? 兵器じゃないんだから。
そして、見えているスキルとしては、既に解放されているものが『永続スキル・物理防御+100、魔法抵抗力+100』。そして解放されていないが見えているのが『宝玉封印』。
この『永続スキル』ってのも初めてだが、気になるのは次の『宝玉封印』だ。ここからが本当のスキルなのだろうからな。
で、この『宝玉封印』の説明文がこれだ。
『七つの星ひとつにつき、ひとつの魔法、もしくは攻撃を吸収・封印する。封印解除する事で、その魔法を宝珠から撃ち出す事が出来る』
と言う物だった。…………ヤバくないですか? 魔法、もしくは攻撃って事は物理攻撃すら封じられると言う意味だろう。例えば相手の剣を盾で受けた瞬間に斬撃を吸収し、直後に撃ち出す。とかが可能だと思うのだ。カッケェ。
そうじゃなくても、様々な攻撃を盾の外周にある七つの玉に封じつつ、それを攻撃として撃ち出していけば、理論上は無限に全ての攻撃を封じられる訳だ。
って言うか、盾の説明文にあった『星の爆発すら封じる』ってこれの事か? しかもそのエネルギーを撃ち出せるの? なるほど、そりゃ神も消え去りますわ。だって星が消え去るエネルギーだもの。そんなの直撃で喰らったら、ひとたまりもないだろう。
どうだろうか。二つ目のスキルでもうこれである。そしてこの盾は、あと二つも、スキルを残している。
そして重要なのは、装備を合成して育てる必要がない以上、熟練度を100まで上げてしまえば、俺は一気に四つのスキルを手に入れる事になるのだ。
これは凄い。さっそく熟練度を上げなければ! って言うか、これがあればこの辺りのモンスターなんて楽勝なんじゃないの? これを装備しておけば、ダメージ喰らう事なんかないだろ。まさにチート装備だ。
しかし、それもこれも二つ目のスキルを解放してからだ。まずはこの盾を使いこなせる様にならないといけない。
「さて、じゃあ実物を拝ませて貰おうかな! ……………………うおおおおっ! カッコいいじゃないか!!」
スキルの外へと『七星の盾』を取り出すと、盾の大きさは思ったよりも大きく、俺の上半身をスッポリと覆える程にデカかった。
そして何より、流石は☆5だ。浮いてるもの。普通の装備ならば外に出せば地面に転がる。しかし『七星の盾』は、床から一メートル程の所に静止している。こういう細やかな所も、格の違いなのだろう。
「これはあれだな。シールドバッシュとか出来るな。受け流しと撥ね付けとシールドバッシュを覚えれば、熟練度を上げるのも…………ん? …………あ、あれ?」
盾の使い方に思いを馳せながら、『七星の盾』の裏側に回って装備しようとしたのだが、装備できない。持つだけなら出来るのだが、装備を意識すると何やら透明な空気の壁に押し出されて、手が離れてしまうのだ。
「…………えぇ、何これ? どうなってんの?」
こんな事は初めてだ。訳が解らない。俺のスキルから出て来たのに装備できないとか。じゃあ誰が装備できるんだよ、って話だ。
…………盾だから、女性専用とかじゃないだろうし。職業…………も違うだろう。それなら俺の装備出来ない物はもっと多い筈だ。
RPGゲームの知識で考えるならレベルか? 装備できるレベルが設定されているとか、もしくは何かのスキルを習得している事がトリガーになっているとか。
様々な可能性を考えながら『七星の盾』の説明文を見ていると、その説明文のある画面が、さらに下にスクロールできる事に気がついた。
画面を下にスクロールして見てみると、そこにあったのは攻撃力や防御力に魔力などのステータスを可視化した、いわゆる『レーダーチャート』があった。
前に見た俺のレーダーチャートは真ん中にキュッと寄っていたが、これは程々に広がっている。
そして、俺はピンッ! と来た。…………いやぁ、だとしたら結構キツイんですけど。
俺の想像の裏を取るのは簡単だ。情報を買えばいい。前回、『マイスター・バー』のマスターは途中から人が変わった。実際にそうだと断言できる訳ではないが、まるでその中身が別のモノに変わったみたいな、そんな言い知れない不安に俺は襲われ、ここしばらくはマスターに会わない様にしていた。
だが、何時までもそれじゃあ、クエストを受けるのも儘ならないので、良い機会だと自分に言い聞かせ、俺は『マイスター・バー』への扉を開いた。
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