77回目 そりゃ挙動不審にもなる
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シエラを新たにフレンドに加えて、俺は戦力アップを目指して装備ガチャを回す事にした。
金で回すのは白金貨三枚分。つまり三百回だが、細々としたクエストをクリアして手に入れた『☆3装備確定チケット』も何枚かあるので、これも使っていこうと思います。
さぁ! ガチャスタート!!
◇
「…………うーーん。新しい装備もあるけど、やっぱりダブるなぁ」
百五十回程まわした所で、俺はついついボヤいてしまった。
出てくる装備のほぼ全てが☆3なのは解っていたからいいのだが、『ひのきの棒』や『気合いのハチマキ』『皮の帽子』『皮の盾』などの俗に言うハズレ枠がダブりまくる。
ひのきの棒はスキル的にはチート装備だけど、百五十回まわした段階で二十本も出てるのはどうなんだ? いくら『気絶』のスキルが強くても、こんなにはいらないと思う。
いやもちろん、初めて出て来た装備も多いのだ。具体的に上げると。
☆3 日本刀
☆3 義賊の爪
☆3 モーニングスター
☆3 ナックルガード
☆3 海賊の頭巾
☆3 悲哀の仮面
☆3 暗殺者の頭衣
☆3 鋼の鎧
☆3 足軽の鎧
☆3 水蜘蛛
☆3 防睡眠の御守り
☆3 氷の弾丸
☆3 岩の弾丸
☆3 煙幕の弾丸
☆3 学者のメガネ
☆3 お洒落スカーフ
などなど。取りあえず、『ナックルガード』はシエラの武器になりそうだが、まだ二つしかないから厳しいか? あと三つ出て来ると良いけどな。
あと、日本刀は普通に嬉しかった。だって日本人だもの。全ての武器の中で日本刀が一番カッコいいと思っている日本人だもの。
ええ。取り敢えず出してみたのは言うまでもありませんね。失敗すると危ないのでゆっくりだったけど、居合斬りの真似事もしましたとも。
無銘かな? 無銘だよね。名がある刀だったらそれが表記される気がするもの。☆4とか☆5で『マサムネ』とか出て来たらもうテンション爆上がりですよ。
しかし、やっぱり三百回は多いな。一応、新規で出て来た物についてはその説明文にも目を通しているので時間がかかる。
前に数多くこなした時は一人ではなかったから苦ではなかったのだが、一人だと辛くなってくる。
俺は特に意味もなく椅子に座ってみたり、ベッドに寝転んでみたりと、部屋の中を定期的にウロウロしながらガチャを回していた。
そんな感じでガチャを回していたのだが、その時は唐突に訪れた。
回数にして二十一回目の10連ガチャ。その開始画面を見て俺はフリーズし、その直後には周囲をキョロキョロと見渡したりベッドに飛び乗っては降りたり意味もなく椅子の影に隠れたり椅子の上に立ち上がったりと、我ながら挙動不審な行動を繰り返した。
何でそんな急に挙動不審になったのかって?
「いやなるよ! 挙動不審にもなるって! ヤバいって!! だって画面! この画面を見てみろよ! ヤバいって!!」
急に叫び始めた俺の目の前に浮かぶ『ガチャ・マイスター』の、ガチャマシーンにコインを弾く画面。
その中央の手前に浮かぶコイン。いつもは銀色のコインで、☆4が確定している時には金色のコインが浮かぶそこに。
…………虹色に輝くコインが浮かんでいた。
「☆5確定キターーーーーーーーッ!!!!」
しかも装備だよ! ☆5の装備だよ!! 性能どうなっちゃうんだよ!!
いやいや落ちケツ落ちケツ。まだ慌てるような時間じゃない。
何せまだ物を見た訳ではないのだ。何が出て来るのかも、どんな性能なのかも解らない。意外と出て来たらガッカリってパターンもある。
いやでも期待しちゃうよね。万分の一だもんね。ぜんっっっぜん出なかったものね!
「スゥーーーー…………、フゥーーーー…………。よし、やるか…………」
俺は『ガチャ・マイスター』の画面に指を向け、若干震えた指を一度擦り合わせると、虹色のコインを弾いた。
虹色のコインはキラキラと七色のエフェクトを出しながら虹色のガチャマシーンに吸い込まれ、そのハンドルが回ると、カプセルが出て来る直前でプツン! と画面がブラックアウトした。
そしてファンファーレが鳴り響き、画面の奥から溢れ出した七色の光が画面いっぱいに広がると、急にその動きがスローモーションになり、その奥から虹色のカプセルが姿を現した。
「ほほぅ、こういう演出ですか。嫌いじゃない。嫌いじゃないよ?」
そしてリザルト画面には、虹色のカプセルが一個と、赤色のカプセルが九個並んだ。
俺は、赤色のカプセルから出て来る☆3の装備をサクサクと消化して、☆5確定の虹色のカプセルを残した。当然ですね。
さぁ! いざ、ご対面!!
虹色の輝きを溢れさせて開いたカプセルの向こうから、画面いっぱいに☆5装備が姿を現した。
その形状は丸い盾。大きな宝玉を真ん中に、その外周には小ぶりの宝玉を七つ配置した、銀色に金の装飾を施された不思議な形状の盾だった。
表示された名前は『七星の盾』。見た目からの正直な感想を言うと、ちょっと使いづらそうじゃない? って感じの盾だった。
まぁ、そんな風に思っていたのも、その盾が持つ性能を見るまででしたけどね。
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