69回目 素材の洗浄作業
昨日、この物語を書き始めてからの1日のPVが初めて1000を越えました。やっぱり読んで貰えるのは嬉しいですね。
引き続き楽しんで貰えるように頑張ります。それと、面白かったら評価もよろしくお願いします。ランキングにも絡んで、読む人に増えて欲しいのです。
ゲンゴウと語り明かした翌日、俺はシエラと一緒に冒険者ギルドへとやって来た。
朝のギルドはとても人が多く、ギルド職員が座るカウンターにも長い行列が出来ている。中でも一番人が多いのは、依頼書が貼り出されている掲示板だ。
掲示板の前の混雑具合は本当に凄い。人が押し合いながら依頼書を取り合っている様は、まるで奪い合いである。
「朝ギルドに来たのは初めてだけど、凄い混み具合だな…………」
「依頼書の張り出しは、基本的に朝だけですからね。出来るだけ割りの良い仕事を手にしようと、皆さんは早朝から来ているのですわ。いずれはガモン様も、あそこに並んで依頼書を選ぶのですよ?」
「お、おう」
シエラの言う通り、Gランクの依頼だけはギルドに決められた四つの依頼から選ぶ形だが、Fランク以上はランクに応じて定められた依頼が数多くある。
つまり俺も、Gランクの依頼を五回やり終えたなら、あの掲示板を見て受けられる依頼書を探し依頼を受ける事になる。…………俺もすぐにあの殺伐とした場所に突撃しないといけなくなるのかぁ。
などと近い未来を想像していると、シエラに声を掛けられた。
「ガモン様、トルテくんがいますわ」
「え? あ、ホントだ」
シエラに言われて姿を探すと、掲示板から少し離れた所にトルテとその他に三人の少年達の姿を見つけた。
あれがトルテの言っていたトルテ兄のパーティーなのだろう。なにせ三人の内の一人は、トルテをそのまま大きくしたような浅黒い肌の少年だ。その他にいる二人は、少しポッチャリとしたローブ姿の少年と、背が高くガッチリした体格の少年だった。
そうして少しトルテの様子を見ていると、三人との話が終わったのか、トルテは三人と別れ、すぐに俺達に気がついてこちらにやって来た。
「よう、ガモン。それにシエラも」
「ああ、おはよう。トルテ」
「おはようございます、トルテくん」
「お、おう。おはようございます。…………ちゃんとしてんな、お前ら」
「挨拶は大人の基本だからな。ところで、さっき一緒にいたのがトルテの兄ちゃん達か?」
「おう! 一人俺に似てるのがいただろ? あれが俺の兄ちゃんのザッパだ」
…………ザッパ? …………ほほぅ、二人繋げるとザッパトルテか。覚えやすいな。
「あとの二人は、ちょっとデブなのがブームンで、頭が固そうなのがベベント。どっちも兄ちゃんとは同い年なんだ」
「トルテの兄ちゃんは剣士か?」
「そうそう。兄ちゃんが剣士でベベントが戦士。ブームンは一応魔法使いだ。土魔法しか使えないけど」
ちなみにパーティーの名前は『ノーバスナイト』。ノーバスってのは、トルテ達が住んでいた村の名前だそうだ。自分の住んでいた村や町に何かあった時にギルドから指名依頼が入るように、パーティー名に故郷の名前を入れるのは割と良くある事らしい。
一緒に依頼を受ける約束をしていたトルテとも合流したので、俺達は二回目になるGランクの依頼を受けた。
今日受けたのは『買取り素材の洗浄作業』だ。この依頼は希望を出せばモンスターを解体する時の指導も行ってくれるらしいので、その希望も出した。…………俺としては出したくなかったのだが、シエラが絶対に出しておいた方が良いと言うので、渋々出しました。
「よし! 集まったなヒヨッ子ども! 今日はこき使ってやるから覚悟しやがれ!!」
冒険者ギルドの隣にある建物の奥から外に出ると、そこは塀に囲まれた裏庭になっており、バカデカイ東屋のように壁の無い屋根だけの解体場があった。
その隣には大きな倉庫もあるのだが、そこはギルドに持ち込まれた解体をしていないモンスターを保管する倉庫であり、倉庫全体が保存の魔道具として存在していると言う。要はここに入れておけば腐敗するのを遅らせる事が出来る訳だ。
そして俺達を指導し、監督するスキンヘッドの厳ついギルド職員の後ろには、様々なモンスターが積まれている。…………なんか、でかいイグアナみたいなのが多いけど、あれを解体するのだろうか? 気が重いなぁ。
「じゃあ解体を希望する奴は俺が指導してやる! 洗浄のみの奴は向こうだ! 駆け足で動け! とっととやらねぇと腐っちまうぞ!!」
そうして、俺達はスキンヘッドの職員に怒鳴られながら解体作業を進めていく。一応言っておくが、スキンヘッドは言葉使いは乱暴だし声もデカイが、指導はキッチリしてくれた。
おかげで俺は四苦八苦しながらも、でかいイグアナを一頭解体する事ができた訳だが、隣で作業するトルテの手際がいいのが気になった。
「……………………内臓…………」
「おい、大丈夫かガモン?」
「…………モツ…………。あ、いや大丈夫だ。トルテ、お前慣れてるな?」
「こんなの村では何度もやらされてるしな。逆にガモンは何でそんなに青い顔してんだよ。モンスターの解体なんて日常だろ。もしかして貴族だったりするのか?」
「いや、貴族ではないな。そういう機会が無い所に住んでたんだよ」
「ふーん。でも解体は冒険者の基本だから、慣れといた方がいいぜ。ほら、もう一体やっとけよ。こういうのは数やっときゃ上手くなるから」
「お、おう」
トルテに促されて、俺は二頭目に取り掛かった。え? シエラはどうしたって? シエラは魔力が高い事もあって洗浄作業の方に回された。何でも魔法を使って素材を浄化する作業だそうな。
「良いよなぁガモン。シエラの浄化魔法があれば、解体したモンスターの肉とかすぐ焼いて食えるもんな」
「ん? 焼けば大概食えるだろ」
「そりゃ大体は大丈夫だけど、たまに毒がある肉があるんだよ。他の肉と変わらないのに、何でか腹壊すやつ。浄化魔法をかければその心配が無くなるんだ」
「へぇ…………」
それってもしかして、細菌とか寄生虫とかの話だろうか? …………焚き火で完全に火を通すのは難しいだろうし、あり得る話だな。シエラのあれ、大事な作業なんだな。
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