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63回目 正規のルート

 ガチャから出て来た食材を調理すると、バフが付く。

 偶然見つかった食品ガチャの副産物だが、これはかなり使える気がする。どの食品を使った料理でどんなバフが付くのかとか不明な点も多いが、効果の重複もあるってのはかなり良いのではないのだろうか。



「これって、料理の全部をガチャ食材にしないとバフが付かないのか?」


『いや、ガチャ食材が6割以上使われていればバフは付く。ただし食材が多くなればバフもその分だけ強力になるし、さらに調理器具も生活ガチャから出た物にすれば変わってくる』


「それって、生活ガチャから出た物にもバフの効果があるって事か?」


『それは違う。あくまで調理器具は補助に過ぎないからなガチャから出た調理器具を使っても食材が普通の物ではバフは付かない。だが味は良くなるはずだから、オススメだな』



 …………なるほど。…………ハッ! 待てよ。それじゃあ、もしかしたら!



「ノーマルガチャから出て来る☆1と☆2の駄菓子にもそんな効果が!?」


『いや無い。そっちはただの駄菓子だ』


「あぁ、そう…………」



 そうか、うめえ棒はどこまでいってもうめえ棒か。アレにもバフを付ける効果があるなら、凄いと思ったんだが…………。じゃあ本当に駄菓子はただおいしいだけじゃん! いや駄菓子はそれで良いんだけども!



『他に何か聞きたい事はあるかな?』


「ん? いや後は特に…………あ! なんで食品ガチャは一回銀貨一枚なのかって、聞いてもいいか?」


『なるほど、当然の疑問だな。その情報なら銀貨一枚もら…………。特別に今回はサービスしておこう』


「…………そりゃどうも?」



 ふと、『マイスター・バー』のマスターに軽い違和感を感じた。何やら急に雰囲気が変わった気がしたのだ。…………気のせいか?



『仮に、金を持たずに異世界に放りだされた者が『ガチャ・マイスター』のスキルを手にしていたとして、一番最初に解放される個別ガチャは何になると思うかな?』


「そりゃあ…………」



 …………俺がこの世界に来て、カラーズカ侯爵に拾われてなかったら…………か。…………いやぁ考えたくも無いほどに悲惨な事になりそうだ。


 そうなると、それこそ冒険者ギルドで死の危険の無い依頼を受けて細々と生活しながら、時折クエスト報酬のチケットやガチャ石、それにフレンドポイントを使って、ノーマルガチャやフレンドガチャを回していく事になる。


 装備を狙ってガチャを引くのに、毎回のように大量に出て来る駄菓子の山。ちょっと考えただけで心が折れそうになるな。


 で、この条件だと一番最初に解放されるのは『食品ガチャ』だろうな。ガチャから食料品を百種類出すって条件に駄菓子も含まれていて、フレンドガチャからは駄菓子系しか出て来ない以上、食品ガチャが最も早く解放される筈だ。


 次点で『生活ガチャ』。生活ガチャの解放条件は生活関連のアイテムを一種類出す、と言うもので簡単に見えるのだが。日用品は☆3から出て来る物で、フレンドガチャからは出て来ない。


 一回につき金貨が一枚掛かる以上、金がなければフレンドガチャが基本になる。ガチャチケットやガチャ石があっても、『装備確定』以外は俺なら取っておく。


 結果として最初に解放されるのは、やはり…………。



「一番最初に解放されるのは『食品ガチャ』だと思う」



 俺の言葉に、マスターはニヤリと笑って頷いた。



『何も無ければ、まずフレンドポイントを貯めてフレンドガチャを引き、食品ガチャを解放する。そこから手に入る食材を食べて、バフを付けた上でモンスターと戦う。そして余った食材は売って、金貨を稼いで次のガチャを引く。これが正規のルートだったのだよ。…………今となっては意味のない話だが』


「ああーー、なるほど。一応ちゃんと道筋を整えていてくれた訳か。俺がそのルートを進まなかっただけで」



 もし俺が正規のルートを進んでいたなら。


 1.ガチャチケットやガチャ石を貯めつつフレンドポイントで食品ガチャを解放する。


 2.銀貨一枚で一回引ける食品ガチャで手に入れた食材を使って料理を作り、バフを付けてモンスターを倒していく。


 3.狩り取ったモンスターの素材を売るのと平行して余ったガチャ食材を売って金を稼ぐ。


 4.稼いだ金でノーマルガチャを回して日用品を出し、生活ガチャを解放する。


 5.更に日用品も売って金を稼ぎ、装備ガチャを解放する。


 と、こういうルートになっていた訳だ。…………なんかすいませんでしたね。せっかく用意してくれていたのに。



『だからねぇ、これも予想外なのだよ。こんなに早く君が、この世界の住人との絆を深めると言うのは』


「…………え?」


『フレンドクエストに、君のフレンドから依頼が届いている。早く確認してみるといいよ』


「フレンドクエストに?」



 言われて俺は、昨日見つけた『フレンドクエスト』という新たな項目を思いだした。


 フレンドから依頼って事は、ティムかバルタだ。あの二人に何かあったのか?


 どういう事なのかとマスターに問いただそうと顔を上げて、俺はマスターからつい先程まで感じていた違和感が消えているのに気がついた。



「……………………」



 …………取り敢えずフレンドクエストを確認しておこうか。いや、その前に食品ガチャから出た食材のバフについて皆に説明するのが先だな。


 フレンドクエストについては気になっているが、俺は一度スキルを閉じた。何故だか解らないが、何となく今はマスターから離れたかったのだ。

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[一言] マスターが側にいた方が正規ルートのアドバイスを受けられるのでは?
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