604回目 神龍との戦い
間が空いてしまい、申し訳ありません。ちゃんと終わりまで書き続けますので、その点はご安心下さい。なるべく早く次の更新ができる様にします。
『グルルゥオオォォーーーーッ!!!!』
漆黒の神龍『ウシュムガル』の咆哮は、とんでもない威圧感と物理的な衝撃波をはらんでいた。根源的な恐怖に心の奥底が震え、衝撃波に押されて身体が後ろへと押されて摺り下がった。
まさか咆哮だけで押し下がらせる事が出来るとはな。神龍と言うのも、伊達じゃない訳だ。
本来ならば到底勝てそうにもない存在感。だが、俺達を下がらせる咆哮を上げた後には、ウシュムガルは肩を上下させて荒く息をついている。
あの『方舟』に充満する瘴気のほとんどを吸い上げて放ったドラゴンブレスは、確かに☆5『◇天空城『レナスティア』』の『レナスティア・キャノン』を押し返し、『レナスティア』の一部を砕いて見せたが、やはりそれだけの威力があるブレスは、それを放ったウシュムガルにも影響を与えている。
それ程の消耗を回復するのに、どれだけの時間が掛かるのかは解らない。だがウシュムガルを倒すチャンスは、今を置いて他に無い!!
「行くぞ!!」
俺達はウシュムガルが荒く息をついている間にと、距離を詰めるべく走り出した。先行するのは俺とアレスだ。
「先ずは俺から行きます!!」
その中で一番槍を取ったのはアレスだ。アレスは☆5『聖騎士の神装』の背中から光の翼を出すとウシュムガルに向って飛び、アレスの存在に気づいて牙を向けるウシュムガルの顔を掠めてその首に一太刀入れた! だがその一太刀は、ウシュムガルの首の鱗を砕き、僅かにその肉を斬り裂いたにとどまった!
「やはり硬いか! だが、それでもダメージは与えられている!!」
斬り裂いた部分は僅かでも、斬れたという事実が大切だ。なにせ、アレスが今手にしているのは☆4の武器『剣鬼の大太刀』。☆4で神龍にダメージを与えられたのはかなり重要な情報である。
しかもあの☆4『剣鬼の大太刀』は、『練達』と言うスキルを持っている。これは、同じ相手に攻撃する毎に斬撃に補正が入るスキルである。
つまり、戦っている内に鋭くなっていく武器なのである。
『グゥゥ…………! ニゲ……ン……ガァ…………ッ!』
「喋った!? いや、神龍だもんな、そんな事もあるか」
顔を掠めて首を斬りつけたアレスに、ウシュムガルは苛立つ様に首を振ったが、アレスは首から肩の後ろへと回り込み、更なる追撃を加えていく。
そしてティアナやカーネリアからも、鋭い矢と炎の魔法が飛来して、ウシュムガルの鱗を砕き、突き刺さった。
どの攻撃も、ウシュムガルに大きなダメージは与えてはいない。だが、例え僅かずつだとしても、その体に攻撃は通っている!
そして俺もまた、ウシュムガルの足元に到達し、その脚に向けて☆4『落差の大槌』と言う名のハンマーを振り抜いた!
ズドゴンッ!!
『グゥッ!!??』
インパクトの瞬間に響く轟音、そして大きく横にズレた脚にバランスを崩し、神龍ウシュムガルが後ろに転んだ。
一瞬、何が起きたのか解らなかったのであろうウシュムガルが、信じられない物を見る様な眼で自分に対比して遥かに小さい俺を見た。
キョトンとした漆黒の龍の顔に、思わず笑ってしまいそうになるが、俺はウシュムガルが正気を取り戻す前にその場を離れた。
当然だが、大きな体格差を覆したこの結果をもたらしたのは、俺の怪力…………ではなく、☆4『落差の大槌』の効果である。
スキル『落差の重撃』。それが☆4『落差の大槌』に備わっているスキルだ。
これは、使用者と敵の、地面から頭頂部までの高さを重さに変換するスキルだ。
つまり、ウシュムガルと俺の頭の高さの差を、そのまま重さとしてインパクトの瞬間に解放した結果が、先程の効果である。
キモとしては、あくまで『重さ』であり『攻撃力』では無い点だ。要するにウシュムガルは、突然足払いを掛けられた事で倒れただけであり、ダメージにはなっていない。
しかも、倒れたウシュムガル相手では☆4『落差の大槌』はスキルを大して発揮しない。何せ、俺と敵との『頭部の落差』を重さに変換するスキルだ。
非常に使い難いアイテムではあるが、要は使いようって事だ。少なくとも、虚を突かれて呆然としたウシュムガルに、仲間達からの攻撃がマトモに当たった訳だからな。
『グガァァーーーーッ!!??』
ウシュムガルの隙を突いて降り注いだ攻撃を、ウシュムガルは自身を庇う様に出した左腕で受けた。
流石に纏まった攻撃を集中的に受けた為に、その左腕からはボタボタと血が流れたが、立ち上がったウシュムガルが魔力を込めると、ボコボコと肉が盛り上がって傷口を塞ぎ、すぐに修復してしまった。
ただでさえドラゴンブレスの影響で体力も魔力も低下している所で無理をしたせいか、ウシュムガルの息がまた荒くなったが、ウシュムガルは獰猛に顔を歪めると、視線を大きく巡らせ、憎悪の篭った眼で俺を睨みつけてきた。
『…………うっとおしい武器を使いおって…………しかもその全てから、貴様の匂いがするぞ…………!!』
ガチャ・アイテムが全て俺のスキルから出ている事がもうバレた様だが、それよりもつい先程に、やっと聞き取り難い言葉をカタコトに話していたウシュムガルが、もう流暢に喋り出した事が俺は気になっていた。
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