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601回目 作戦開始

 対『方舟』戦も半ばとなり、俺は『方舟』の船体に風穴を開ける覚悟を決めた。


 そして今、俺はドワーフやエルフ達が『方舟』の実物と立体映像を観察して絞った攻撃箇所の説明を受けていた。


 ちなみに今も、外にある☆5『闘神『ガルネシア』の闘技場』では、『方舟』から出て来た狂った神獣との戦いが行われている。


 戦いの行方は気になるが、今回は幻獣もいなかったし問題はないだろう。ちゃんとレティアの分体であるキューブの一つが見てくれているし、何かあればすぐに連絡も来る筈だ。



「ワシらが出した結論はココだ」


「え? ココか?」



 天空城『レナスティア』の会議室にて、ドワーフの長であるドアルガンが指し示したのは『方舟』の横っ腹、それも前方部分だった。


 俺は船には詳しくないが、飛空艇の製造風景なら見た事があるし実際飛空艇の中も探索をしている。


 その経験則しか無い訳だが、それでも何となく解る。そこには心臓部は無いだろうと。



「…………ここだと、動力的な部分は無いんじゃないか? 『方舟』の構造がハッキリ解っている訳じゃないが、動力部があるとしたら後方か、じゃなくても真ん中辺りじゃないのか?」


「まぁそうだろうな。ガモンの言う通り、動力部があるとしたら後方の、この辺りだろう。この前方部にあるのは、良くて『方舟』のエネルギーを生み出す機関、それも副次的な部分だろうと予想がつく」


「え、やっぱりそうなのか? じゃあ何で…………」


「ああ、もちろん理由はある。まず第一に、動力部云々ってのは、普通の船の話だって事だ。あの『方舟』には『核』があるって話だったろ。モンスターみてぇにソイツを破壊しねぇと止まらねぇらしいじゃねぇか。なら、それが空飛ぶ船の船底にある訳がねぇ。どう考えてもその『核』があんのはど真ん中だろ。普通の船の想定でいくのは、そもそも意味がねぇって事だ」


「それは…………、確かにそうだな」


「第二に、女神様の話から察するに船の後方にヤベェ種族が集中しているように見える」


「…………ん? それはどういう意味だ?」


「女神様もそうだが、種族的に強いヤツ、もしくは強くなる可能性の高い種族が『方舟』の後方に配置されてる。解りやすく言えばドラゴンとかだな。身体がデカいヤツやら捕食者、それにに頭の良いヤツ何かもそうだな」


「…………それは、気づかなかったな。たまたまじゃなくてか?」


『いえ、理に適ってます。種族として強い者は内蔵するエネルギーもその強さに比例します。それが一体や二体であれば問題も無いのでしょうが、複数体となればその集団が内蔵するエネルギーは無視できない物となります。次元を超えて移動する『方舟』の場合、それが前方に集中していれば走行の妨げにもなりかねません』



 なんでも、次元なんて物を超える『方舟』はその壁を超える際に、世界の壁を壊したり乱したりしない様に少しだけ隙間を開けて、あまり干渉しない様に航行するらしい。


 ドラゴンなんかの存在自体がとんでもない生物は、その魂が内蔵するエネルギーが元からデカいため、『方舟』の航行にも影響を及ぼしかねない…………らしい。


 正直、次元の壁とかは俺には想像を超える話なのでイマイチ頭に入って来ないが、女神ヴァティーからも情報を集めているレティアが言うのならば、間違いは無いだろう。


 俺は、『方舟』への攻撃箇所を一点に決定した。



 ◇



 作戦が決定して、俺達は行動を開始した。


 現状、俺達が持つ最大火力は☆5『◇天空城『レナスティア』』が持つ主砲『レナスティア・キャノン』だ。


 最大までエネルギーを溜めれば、☆5『七星の盾』の方が高い火力を出せそうなのだが、何とこの『七星の盾』、あまりに火力の高い攻撃を放つとヒビが入るのだ。


 それは細かいヒビだが、神々の世界の特殊な素材で作られている『七星の盾』は修理が不可能であり、細かいヒビは時間が経てば自己修復されるのだが、おそらく一定以上の火力を出すと破壊される。


 まだまだ幻獣や狂った神獣が残っている今、対『方舟』の戦いはここでは終わらないだろう。なら、『七星の盾』の火力は温存しておくべきだ。この攻撃で終わったりする程度なら、こんなに苦労していない。



「『レナスティア・キャノン』を最大限活用する為に、まずはその周囲に打撃を与える。レティア、最大火力で『レナスティア・キャノン』を撃つ準備をしておけ!」


『了解しました、マスター。コチラはお任せを』



 天空城から、俺達が乗った小型飛空艇が飛び立つ。これは飛空艇と言うよりは飛空バイクと言える様な代物であり、大型の飛空艇を建造する際に建造に携わるドワーフやら職人達が、移動手段として使っていた物だ。


 乗れる人数は二人まで。今回は運転になれたドワーフ達が操作をし、攻撃を担当する俺達が一人ずつ乗り込む形で飛び立った。


 これから『方舟』に攻撃を加える訳だが、それには一つ問題がある。それは、『神罰の鎖』だ。あれは『方舟』を引き擦り降ろし、幻獣や狂った神獣が外に飛び出すのを抑えている、俺達の生命線ではあるが、コチラからの攻撃にも干渉してしまう可能性がある。


 神が作り出しただけあって強靭な鎖だからな。だから、攻撃の瞬間だけは『神罰の鎖』を一度解除する。


 そのタイミングは、『神罰の鎖』を一度緩め、幻獣や狂った神獣が飛び出し、闘技場に移動した直後だ。


 つまり、『方舟』の拘束を緩めた後また締め付けなおし、その直後に『神罰の鎖』が外される訳だ。


 これは少しでも『方舟』の意表を突く為だ。そして鎖が消えると同時に俺達が攻撃を加え、それに合わせて『レナスティア・キャノン』を撃ち込む。


 これでどこまで『方舟』にダメージを入れられるかは未知数だが、無傷って事はないだろう。万が一完全に防げる程の力を『方舟』が残していたのだとしたら、…………その時は、本当に宇宙にでも逃げるしか無くなるな。


 俺は頭に浮かんだ不安を、大きく息を吐く事で追い出すと、『フレンド・チャット』で作戦の開始を全員に伝えた。

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