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6回目 ストーリークエスト

「……………………まいったな」



 そこに確かに存在する『テルゲン王国を出国する』というストーリークエストなる物を見て、俺は首を傾げた。


 何と言うタイムリーなクエストだ。放って置いても明日には達成されるクエストだな。ちなみに報酬は『☆3以上確定! ガチャチケット!』が一枚だ。



「☆3かよ、微妙だな。…………ってのはともかくとして、ストーリークエストってどういう事だよ。単にこれから起こる事を記載しただけなのか、『誰か』もしくは『何か』に敷かれた規定路線なのかで、話が変わって来るぞオイ」



 とは言え、この記述を見たからといって選択肢は変わらない訳だが。何せこの国に留まれば俺は殺されるらしいし、よしんば殺されなかったとしても、自由が得られるとはとても思えないしな。


 ただ問題は、この『ストーリークエスト』に、俺の意に反するクエストが出た時にどうするかだ。例えば誰かを殺せだの、テロ行為をしろだのだな。



「…………でもなぁ、これは俺のスキルだろ? 俺の不利益になる事なんか出るかな? ストーリークエストだしな、その道に進む方が良い…………って物が並ぶと思うんだよな。まあそれは、あくまで『ゲームでは』って話だけど」



 だいたい今回のにしたって、最初からそのつもりである事がクエストとして出てきているのだ。少々、薄気味悪いが問題はない。問題が起きるかも知れないのは、あくまでも『これから』だ。



「…………保留だな。次にいこう」



 俺はそんな風に一人で納得して、画面をバーから切り替えた。


 すると、画面の中に選べるアイコンが増えているのに気がついた。増えているのは二つ、プレゼントの箱みたいなアイコンと、何かの掲示板みたいなアイコンだ。


 ああ、これが『ギフトボックス』か。と、プレゼントアイコンをタップすると、クエストクリア報酬として『ガチャストーン10個』や『ノーマルガチャチケット』という記述があった。


 ここに出て来た『ガチャストーン』は、5個でガチャ1回まわせる石だ。50個で10連ガチャと言う、ソシャゲでは馴染み深いシステムである。


 そして『ノーマルガチャチケット』は読んで字の如くガチャを1回だけ回せるチケット…………なのだが、『ノーマルガチャ』ねぇ…………。『フレンドポイント』で回す『フレンドガチャ』といい、ガチャには複数の種類があるようだな。


 俺のソシャゲ脳で考えるならば、この二つからは大したアイテムは出て来ない。最初のガチャの爆死っぷりから考えても、ほとんど『うめえ棒』か『ピスコ』しか出て来ないと思われる。



「…………そうだ確率。最近のソシャゲなら必ずアイテムが出る確率が表記されているはずだ!」



 俺は画面を操作し、ガチャアイコンをタップした。そうして切り替わった画面には、いくつかの『ガチャメニュー』が並んだ。しかし、そのほとんどは黒く塗りつぶされた上に錠前のようなマークがあり、選択出来なかった。


 いま選べるのは、『フレンドガチャ』と『ノーマルガチャ』であり、フレンドポイントがない今は回せるのはノーマルガチャだけである。


 俺はノーマルガチャを選択し、その先にあるガチャマシーンの並んだ倉庫へと進んだ。そして画面の中を探すと、左上に確率を示すアイコンを見つけ、それをタップした。



「どれどれ…………。うぇ、マジかよ…………」



 そこに示されていた確率の表示に、俺は両手で顔を覆ってベッドに仰向けに倒れ込んだ。


 ☆1 60%

 ☆2 30%

 ☆3 9%

 ☆4 0.99%

 ☆5 0.01%



「☆4で百分の一? ☆5が万分の一!? …………嘘だろ? …………シブ過ぎるだろ」



 ☆4の約1%ってのも曲者だ。1%の確率の物がどんだけ出て来ないかなんて、ソシャゲをやっていれば解るだろう。例え10連ガチャを10回まわしたとしても、出てくるとは限らないのだ。


 そして一番出やすい☆1と☆2で出て来るのは駄菓子ときている。イヤイヤ待ってくれよ。このガチャの能力ってチートじゃないのか? やっていける気がしないんだけど。



「いや待てよ? だからこそか? これだけ確率がシブいって事は、よほど強力な武器とか兵器が出て来るって証拠じゃないのか?」



 俺はガチャの虹色のカプセルから、戦車や戦闘機が出て来る姿を思い浮かべて、直ぐに頭を振ってそれを打ち消した。そんな物に出て来られても、俺にはそれを扱う術がないのである。


 …………いや違うか? ここは伝説の剣とか古代の魔法とかだろうか? それはとても楽しみ…………? いや、待て待て。伝説の剣も古代の魔法も使いこなせる気がしないんだけど。


 俺は結果として全てを「保留」の一言で片付けると、もう寝てしまうべく、ベッドへと潜り込んだ。


 ちなみに掲示板みたいなアイコンは、単にクエストを確認する為の物でした。…………うん、もう寝よう。お休みなさい。

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