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593回目 ジュエルドラゴン部隊

 幻獣『テンペスタード・ファルコン』は闘技場に送られたが、空には無数の魔法陣から生み出された膨大な数の眷属が残り、それらは一直線に俺達のいる『◇天空城『レナスティア』』へと向かって来た。


 漆黒の体躯に眼から翼にかけて赤や黄に紫の光の線が入った眷属の隼達は、その身体から漏れ出す瘴気もあって、遠目にはまるで紫色の入道雲に色とりどりの雷鳴が光っているかの様に見えた。


 ざっと見るだけでも数百はいるな。一応、ドール騎士達に防衛用の装備をさせて配置もしてあるし、何より『レナスティア』にも武装はある。


 だが、それだけでは足りないだけの数がコチラに向っている。


 いやまぁ、『レナスティア』の武装はともかく、ドール騎士の方は言わば最終防衛ラインなので、早々に使う気も無いんだけどね。



『主砲での一掃は難しいですし、わざわざ手札を晒してやる必要も無いでしょう。ここはアラム殿に任せるのが良いかと思います』


「本音を言えば、アラムはまだ子供だし、戦場には出したくは無かったんだけどな」


『アラム殿ならば問題無いでしょう。彼には『カイザー』がついておりますし、『トゥルー・フレンド』にもなったのでしょう?』


「ああ。…………『トゥルー・フレンド』になる為の願いには驚かされたけど。…………そうだな、イザとなれば俺の所に逃げられるか」


『ではアラム殿の部隊に、あの幻獣の眷属どもを殲滅して貰いましょう』



 アラムが俺の『トゥルー・フレンド』となった願い。その答えが、『天空城』の一角から虹の帯となって飛び立った。


 様々な色に光を反射しながら流れるキラキラとした虹の帯。その正体は『ジュエルドラゴン』である。


 先頭を飛ぶのは、アラムをその背に乗せた『カイザー・ジュエルドラゴン』のカイザー。そしてその後に続くのは、俺達全員のジュエルドラゴン達だ。俺の『グラック』も、あの中にいる。


 本来なら『ジュエルドラゴン』は、その主から離れたりなどしない。ジュエルドラゴンは魔法生物であり、主から魔力の供給を受けて存在しているからだ。


 もしこの魔力の供給を止められると、ジュエルドラゴンは宝石の姿からドラゴン形態に成る事が出来ず、いずれはただの宝石になってしまう。


 だが、『カイザー・ジュエルドラゴン』にはその問題をクリアする特殊能力がある。それが『宝石統率』と言うスキルである。


 これは本来ならば主から魔力を受けているジュエルドラゴンの魔力供給元を、一時的に『カイザー・ジュエルドラゴン』にして、全てのジュエルドラゴンと意識を共有するスキルだ。


 それを使う条件はジュエルドラゴンの主から許可を受ける事。当然、俺を含めたジュエルドラゴンの主達は、その求めに対して許可を出した。その結果が、あの虹の帯である。そしてこのジュエルドラゴン部隊を率いる事が、アラムと『トゥルー・フレンド』になる条件でもあったのだ。



 ◇



「行くよ皆! 出撃!!」


『我らジュエルドラゴンの真価を見せる時が来たぞ!! 我に続け!!』


『『『『グオオォォーーーーーーーーッ!!!!』』』』



 アラムをその背に乗せた『カイザー・ジュエルドラゴン』の『カイザー』が先頭で飛び立つと、それに続いて多くのジュエルドラゴン達が空に舞った。


 輝く宝石竜の大群が、流れる様に空へと飛び立つ姿はとても幻想的であり、その姿を目撃した人々はそのあまりの美しさに歓声を上げた。



『敵が見えたぞ! ジュエルドラゴン達よ、展開せよ! 一発かますぞ!!』


『『『『キュオオッ!!』』』』



 眷属隼が瘴気で作る紫色の雲が迫って来る中で、カイザーが号令を出し、ジュエルドラゴン達がそれに従って陣形をつくる。


 カイザーのスキルにより、魔力の供給元となったアラムを通して全てのジュエルドラゴン達はその意識下で繋がっている。だから例え号令が無くとも、カイザーの意思を汲み取り動けるのだが、カイザーはそれがどうしたと言わんばかりに声を張り上げた。



『我らを敵に回した事を後悔させてやれ!! 全軍ブレス用意!!』


『『『『コオオォォ……………………!!!!』』』』



 横に広がり、いわゆる鶴翼の陣を敷いたジュエルドラゴン達が、口を大きく開き、そこに魔力が集中していく。


 そして、その魔力が最高潮に達した瞬間!



『放てーーーーっ!!!!』



 全てのジュエルドラゴンから放たれたドラゴンブレスは、互いに絡み合い巨大な光の奔流となって眷属隼達が作る瘴気の入道雲に直撃した。


 バリバリバリッ!! と、耳をつんざく轟音を放ちながら、ドラゴンブレスは眷属隼の入道雲を突き破り、さらに中で四方八方に爆散し、被害を撒き散らしながら消えていく。


 そして開幕の一撃だけで、幻獣の眷属たる隼達は総数の半分以上を消し飛ばされていた。



『全軍突撃!! 一匹たりとも天空城へは行かせるな!!』


『『『『キュロロロロッ!!!!』』』』



 そこから先はもう、ただの蹂躙だった。眷属隼達は、素早さだけならばジュエルドラゴンよりも上だったにも関わらず、ドラゴンブレスによって喰らったダメージと混乱でろくに動けず、ジュエルドラゴン達の牙や爪に掛かって斬り裂かれていった。


 結果として、ジュエルドラゴン達はその数を一体たりとも損なう事なく、幻獣の眷属たる隼の大群を、全滅させたのである。

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