59回目 食品ガチャ
ダンジョンに入れる資格を手にいれる為に、Eランク冒険者を目指す! それが俺の次の目標だ。
まぁその前には当然、GランクとFランクの依頼を受けないといけないので、俺はさっそく明日から冒険者ギルドに通おうと決めた。
「わかりました。ガモン様は冒険者になりたてですからGランクですよね? 提示された依頼は何がありましたか?」
「えっと薬草の選別と素材の洗浄だろ、あと職員のお手伝いと写本。その四つだった」
「なるほど。写本があるなんて、ガモン様は運がいいですね。あれは無い時の方が多いらしいですよ」
ああ、確か全員には出さないって言ってたもんな。って言うか知ってるって事はシエラも写本があったんだろうな。
「では、一通り受けておきましょう。それで四つですから、あと一つは写本をもう一度受けましょうね。がんばりましょう、ガモン様!」
「えぇ、写本が二回なの? って言うか、薬草の選別を五回でもいいんだろ?」
「いいですけど、五回もやると気が変になりますよ、あれは。それに万が一、薬草を大量に持ち込む冒険者がいたら一気に地獄です。終わるまで家に返してもらえませんよ?」
「うえぇ、それは確かに嫌だな」
「ですので全部受けるのが良いんです。それらの仕事を真面目にやれば、ギルドの方々の眼も優しくなりますから、それからの仕事もやり易くなりますよ。逆にあまりにも不真面目だったせいでギルドの方々に嫌われて、別の街に引っ越していった冒険者もいると聞きますわ。なので精一杯がんばりましょうね!」
「…………うん。仕事は真面目にやらないとダメだよな。…………あれ、シエラもやるの? シエラってEランクだろ?」
「はい。私の役目はガモン様と共にいる事ですから。ガモン様がクエストを受けるなら、私も一緒にやります」
おおっ、正直心強い! 経験者が一緒なら、何があっても大丈夫な気がするもんな!
まあ本来なら、俺は大丈夫だからシエラは好きな事をしてろよ。なんて言わないとダメなんだろうけど、写本とか一人だと絶対ツラいもの。ぜひ、一緒にやって貰おう!
「じゃあ、明日からよろしくな! シエラ!」
「はい!」
「おやおや、何やら盛り上がってますな」
そんな事を言いながら、握手を交わす俺達の近くにやって来たのはゲンゴウだ。さっきまでマッサージチェアの上でイビキをかいていたのだが、起きたらしい。
「ゲンゴウ殿、起きたんですね。どうでした? マッサージチェアは」
「いやはやお恥ずかしい。あまりの心地良さに眠ってしまいましたわい。しかし、あれは良いですな。立ち上がってみて、あまりの体の軽さに驚きました。いやぁ、あれが手に入っただけでも、白金板を五枚も出しただけの価値はありましたわい」
「そんなにですか。確かに俺の国でもけっこう高い物でしたけど、気に入って貰えたなら良かったですよ」
「ええ、大いに気に入りました。そこで一つ、どうしても確かめたい事も出てきましてな」
「なんですか?」
「沢山の品々が出て来たので後回しにと思っておりましたが。…………食品ガチャを、ぜひ回して頂きたいのです。なに、少しだけで構いませんので」
…………そう言ってゲンゴウは、俺の前に白金貨を出して来たのだった。いや、白金貨でも百回じゃねーか。どこが少しだよ。
まぁでも、ゲンゴウにはこれからお世話になるし、食品ガチャだって気にはなっている。それを人の金で回せるんだから俺にも文句はないな。
「取り分の取り決めは、さっきと同じでいいですか?」
「そうですな。それでお願い致します」
取り決めが合意した所で、俺は『ガチャ・マイスター』を開き食品ガチャの所まで進んだ。そして、ゲンゴウから受け取った白金貨をスキルに放り込んだ所で、俺の手は予期せぬ一文に止まる事になった。
『一回・銀貨一枚』
食品ガチャの画面に、こう表示があったからだ。
え、銀貨? …………銀貨って書いてあるな。え? 銀貨? 銀貨って日本円にすると一万円だよな。他のガチャの十分の一だぞ。なんでそんな安いの? ノーマルガチャですら一回につき金貨一枚なのに。
不思議に思った俺は、何か情報はないかとガチャの排出確率を見てみた。するとそこには。
☆2 95%
☆3 4%
☆4 0.99%
☆5 0.01%
という、ガチャ確率が表示されていた。
は? ☆2が95パー? って言うか☆2出て来るの!? ☆2って…………駄菓子じゃん!?
いやいや勘弁してくださいよ。しかもこの比率じゃあ☆3もほぼ出て来ないじゃん。他のヤツなら装備ガチャでも生活ガチャでも☆3が99%なのに。
「どうかなさいましたか? ガモン殿」
「…………えっと」
俺はゲンゴウに食品ガチャの一回の価格と、それに伴うガチャの排出確率を語った。一回銀貨一枚だけど、95%の確率で☆2の駄菓子が出て来ますよ、と。
「ほうほう。それは新しいですな。しかし、悪い物とも限らないではないですか。それを調べられるという意味からも、白金貨はけっして高くはありませんな」
「いいんですか? 出て来るほとんどが駄菓子でも」
「構いませんとも! まずは回してみましょう!」
男気溢れるゲンゴウが背中を押し、俺は食品ガチャを回した。
出て来るカプセルの色は、青・青・青・青・青・青・青・青・青・青。見事に青一色だった。まあ、そりゃそうなるだろう。何せ、☆2の確率が95%なんだから。
そして、肝心の中身がこれです。
☆2 大根
☆2 椎茸
☆2 ジャガイモ(男爵)
☆2 カボチャ
☆2 キャベツ
☆2 ジャガイモ(メークイン)
☆2 カボチャ
☆2 人参
☆2 タマネギ
☆2 モヤシ
おっとぉ…………。そうきたかぁ…………。
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