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589回目 優勢から始まる戦い

 幻獣『オルクスホーン・ギガントブル』と戦う我聞達と、狂った神獣『ムカデ』と戦うラグラフ。


 その二組とは別の闘技場でもまた、それぞれ別の狂った神獣との戦いが繰り広げられていた。


 戦っているのは、各国から集まった傭兵団の一部隊と、正規軍から派遣された騎士隊である。


 傭兵団と騎士隊はそれぞれ5人ずつのパーティーを何組か作っており、その戦闘能力は『レナスティア』での訓練の中で、管理AIであるレティアによって正確に分析されている。


 ゆえに、狂った神獣なんて言う初めて戦う化け物との戦いにも、傭兵団や騎士隊のパーティーは対応できており、逆にと窓っている程だった。


 そしてレティアの方もまた、様々なスキルを持つ我聞のパーティーや、歴戦の猛将であるラグラフよりも数段下に位置づけていた彼らが十分に戦えているのを見て、采配を少し修正していた。



『第三闘技場で戦闘中である傭兵団『大地の守護』のフフロン隊と、メッカス隊を入れ替えます。双方は準備をして下さい』


『む? なんじゃレティア、もう入れ替えを行うのか? 儂が見た所、あやつらは十分に勝ちきれると思うぞ?』



 天空城『レナスティア』に造られた『作戦指令室』にて、現在戦っているパーティーを入れ替えると宣言したレティアに、幽霊状態で戦況を見守るドゥルクが疑問の声をかけた。



『はい。十分に勝ちきれるでしょう。だからです。勝てる戦いの内に、狂った神獣との戦いを何組かに経験させ、同時に狂った神獣の基本能力値を分析します』


『そういう狙いか』


『第四闘技場で戦闘中であるルケア王国の騎士隊、オサッエ隊とケイムズ隊を入れ替えます。双方は準備をして下さい』



 早すぎるとも思われる選手交代だが、『レナスティア』での訓練経験もあって交代はスムーズに行われた。


 そしてそれとほぼ同時に、テレビを通じて戦いの様子を見ていた者達から歓声が上わがった。幻獣と戦っていた我聞達が勝利をおさめ、幻獣の一体が早々に滅びたのだ。


 さらにその僅か数十秒後には、ラグラフもまた、狂った神獣『ムカデ』を完膚無きまでに叩き潰した。



『ガモン達が万全で迎えたとは言え、初見の幻獣を相手に、ほとんど被害を出さずに勝つとは。これは幻獣が弱かったと見るべきかの』


『いえ。マスター達が強いのはもちろんですが、強化された☆4のガチャ装備の力も大きいでしょう。ラグラフ殿もまた、無傷ではありませんが苦戦はしておりませんでした。おそらくあれは、わざとすぐには倒さずに、第一の勝利をマスター達に譲ったのでしょうね。ラグラフ殿の狙い通り、幻獣と戦うマスター達が一番最初に勝利した事で、全体の士気が上がっております』


『なるほどのぅ。…………フッ、ラグラフの奴め、粋な事をしよるもんじゃ』



 ◇



 幻獣『オルクスホーン・ギガントブル』の身体が崩れ、瘴気そのものになって霧散していく。


 トドメを刺したのはカーネリアが放った、炎と岩の複合魔法だったが、こう言っては何だが、割と楽勝だった。


 と言うか、限界まで強化した☆4のガチャ装備が高性能過ぎる。幻獣を最小の被害で倒せればと色々考えていたが、これならばガチャ装備でゴリ押しできるかも知れない。…………まぁ、油断は禁物だが。



「みんな、無事だな?」


「ええ、もちろん」


「怪我らしい怪我もしてないし、魔力にもまだ大部余裕があるわ。このまま二戦目に行っても多分何とかなるわ」



 ティアナとカーネリアの言葉に、アレスとシエラも頷いて見せた。俺もそうだが、全員にまだかなりの余力がある様だ。


 俺は少し考えてから、連戦を決断した。


 俺の決断は、フレンド・チャットとレティアを通して伝わり、『方舟』に巻き付いた『神罰の鎖』がもう一度鳴らされ、それによって三体の狂った神獣が新たに飛び出して来た。


 三体の狂った神獣は、出て来た途端にレティアに捕捉され、それぞれの闘技場に送られる。そして俺達も、パーティーを再編する為に、一度レティアの所に戻された。



『では、余力と相性を加味してパーティーを再編します。まず、マスターはティアナ様と第六闘技場へ、アレス殿はカーネリア嬢と第七闘技場へ、そしてシエラ嬢はラグラフ殿と第八闘技場へ行って貰います』


「むっ!? おい待て! なんで俺まで巻き込まれているんだ!? 俺はさっきムカデの化け物を倒したばかりだぞ!?」



 しれっと頭数に入れられ、この場に転移されていたラグラフが声を文句を口にしたが、レティアは『まだ十分に戦闘可能だと判断しました』と、アッサリそれを躱した。



『では皆様を移動させます。ご武運を』


「おう! 行ってくる」


「いやだから俺は…………!」



 ラグラフがまだ何か行っていたが、レティアはそれを無視して俺達を新たな戦いの場へと送った。



「うん? 水か? なんだこれ、薄く水の張ったフィールドなのか?」



 俺とティアナが送られたのは、砂利の上に薄く水を張ったフィールドだった。周囲を見渡せば小高い岩と森が壁になっており、奥には流れ落ちてくる滝まで見えた。



「凄い場所だな。と言うか、神獣はどこだ?」


「ガモン、あそこ!」



 ティアナが声を上げて指さした先を見ると、小高い岩の影から、こちらを覗き込んでいる大きな眼が見えた。


 ソイツは岩に張り付いており、その体はテラテラとヌメリながらも、僅かながら燃えている様だった。



「燃えている…………カエルか?」



 狂った神獣『ヒダルマガエル』。それが、俺とティアナが戦う相手だった。

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