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588回目 幻獣戦と狂った神獣戦

 闘技場の岩を砕きながら突進して来る『オルクスホーン・ギガントブル』に対して、俺達は即座に迎撃態勢を取った。


 フォーメーションとしては、いまやステータスが一番高い俺がタンク役を勤め、剣を使うアレスが前衛、弓を使うティアナと魔法を使うカーネリアが後衛で、更にその後ろに回復役であるシエラとなる。


 何だかんだで俺達はバランスの良いパーティー構成をしている。不安があるとすれば、俺にタンク役の経験が不足している点だが、そこは俺が持つ☆5装備『七星の盾』が埋めてくれるだろう。


 事実、渾身の力で突進して来たギガントブルの突進を、俺は前に構えた『七星の盾』で難なく受け止めていた。


 そのタネ明かしは簡単だ。『七星の盾』のスキルによって、ギガントブルの突進によるエネルギーを、全て『七星の盾』にある星の一つに吸収したのだ。



『ブモォッ!?』


「こんなに簡単に止められると思って無かったか? お前の突進のエネルギーなら、この盾の中だ。今、返してやる!」



 俺は直ぐに身体を仰向けに倒し、ギガントブルの下に潜り込む様にしてから、その顎目掛けて盾に封じたエネルギーを解放した!



『ブキィィッ!!??』



 その瞬間、『七星の盾』から解放されたエネルギーがギガントブルをかち上げた。ギガントブルの顎に当たったエネルギーは、その巨体を持ち上げるに留まらず、顎から脳天を突き抜けてギガントブルの意識をも貫いた。



「アレス!!」


「いきます! 雷獣破斬!!」



 この一撃により意識を失ったギガントブルが、少し宙に浮いた状態で腹を上にし、倒れ込むように回転する。するとこれを待っていたかの様にギガントブルと地面の間に滑り込んで来たアレスが、ギガントブルに対して容赦の無い攻撃を叩き込み、更に空中に押し上げた!


 アレスがその手にするのは、☆4『白雷獣の剣・改』。白い雷撃を纏う連撃はギガントブルを深く傷つけ、その傷を焼く。



『ブギャァァァーーーーッ!!??』



 一瞬の気絶の間に叩き込まれた白い雷撃をも纏う斬撃に、ギガントブルは混乱しながらも更に上空に上げられ、今度はそこに数十本もの氷の矢が突き刺さった! 更にその矢の間を氷が覆い、ギガントブルの身体の一部分を凍てつかせる!


 それを成したのは、ティアナとその手にある☆4『氷魔弾の弓・改『フリズナム』』である。ティアナに最初にプレゼントして以来、『フリズナム』と名を付けられて大切にされて来た弓は、改造も施された上にその名が定着する程に進化を遂げた。


 その性能も☆5アイテムに迫る勢いで上昇しており、その攻撃は、幻獣であるギガントブルにすら大きな痛手を与える。


 そして、白い雷撃と氷縛に覆われたギガントブルは、カーネリアが練り上げた巨大な炎の槍によって貫かれ、世界中に響く程の絶叫を上げて爆散した!!



『ブギィィャアアァァーーーーーーッ!!??』



 もちろん、この程度で幻獣が倒れる訳もなく、大量の瘴気を巻き散らしながら地に落ちたギガントブルは、その身体を超再生させながら俺達に怒りの視線を送って来た。


 そう。この程度で幻獣を倒せるとは思っていない。だが、☆5の装備でなくても、強化された☆4の装備は、十分に幻獣に通用すると解った。


 改変された世界を安定させる為に、俺の持つ☆5アイテムはその大部分が失われた。


 今、俺達が装備している☆5アイテムは、俺が持つ『七星の盾』と、カーネリアが装備している『虹色魔晶石のブローチ』ぐらいである。その他の装備は、強化された☆4装備に変えてある。


 だが、それでも幻獣を相手に優位に戦えるのであれば、何も問題ない。



「いけるぞ!! この戦いは、決して不可能な戦いじゃない!! それを俺達で世界に示すんだ!!」


「「「「了解!!」」」」



 ◇



 我聞達が幻獣を一方的に翻弄したその様子は、フレンド・チャットを通して拡散され、さらに闘技場の別の場所にいた者達は、打ち上げられ痛めつけられる幻獣をその眼で確かに目撃した。



「ガハハハハッ! 流石はガモン達だ! あんなバケモンをかち上げるたぁやるじゃねーーか! 俺も負けてられねぇな!!」



 山賊の国と呼ばれる『ラグラフ王国』の王であるラグラフは、我聞達とは別の闘技場で、上空で叫ぶ幻獣を目撃し獰猛に笑った。


 ラグラフの前に立つのは、狂った神獣『ムカデ』。既に獣の枠からも外れたそれは、大量の瘴気と共に『郷愁の禍津像』をも取り込み、禍津神と化している。


 巨大であたまを三つ持つ禍々しいムカデは、そのあしは長く鋭く地面を突き刺し、ギチギチと牙を鳴らす三つ首のつけ根には、何故か悲しげな顔で嗚咽を漏らす巨大な人の顔が付いていた。



『ひいぃぃぃ、ひいいぃぃ…………』


「なんつーー悪趣味なバケモンだよ。だがまぁ、俺もガモンの奴に付き合って戦うと決めたんでな。神獣程度なら、俺一人で狩らしてもらうぜ」



『ひいいぃぃっ!!』



 不気味な鳴き声と共に、ムカデの首の一つがラグラフに襲い掛かるが、ラグラフはドスンッ! と左脚で地面を踏み砕くと、その両手で持つ戦斧を、背面から前方へと、渾身の力で振り下ろした!!



「ヒィィィィィッ!!??」



 グシャァッ! と音を立てて、ムカデの頭が一撃で潰される。だがその瞬間、割れたムカデの頭から濃い瘴気が噴き出した為、視界が悪くなる事を嫌ったラグラフは後ろへと引いた。


 そして瘴気が収まる頃には、ムカデは潰れた頭は再生されて再び三つ首に戻っていた。



「まぁ、そんな簡単じゃねぇわな。だが、しっかり潰してやるぜ」


『ひいぃぃぃっ…………!』



 我聞達が幻獣と戦うのと別の場所では、こうして神獣との戦いも始まっていたのである。

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