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587回目 VS『方舟』・万全を期す

鎖に巻き取られ海に墜落した『方舟』から、大量の瘴気が噴き出してきた。


濃密な瘴気は危険な毒物と大差無く、『方舟』の周囲は毒々しい紫色の煙に覆われ、『方舟』を受け止めた海もまた、紫色に侵食されていく。


だが、こうなる事は解っていた。だから俺達は海を捨てる決断をしたのだ。


あの『方舟』から出る瘴気は、『方舟』の本体から一番多く出ている。だからこそ海を結界で覆い、唯一の穴である場所に『方舟』を落とし、海流を利用して瘴気を海に練り込む様に拡散しているのだ。


これを行っているのは北と南に位置する『双極龍』である。かと言って、その全てを海に流せる訳ではない。


俺達は俺達で、対策は必要だった。



「いいか! 『仙酒』を切らすなよ! 余裕を持って飲んでおけ!!」


「「「「はいっ!!!!」」」」



☆5『桃源郷の酒泉』。この泉から無限に湧き出る『仙酒』には瘴気を浄化する力がある。これを小瓶に小分けにした物を、俺達は全員が所持していた。


解っていて、準備していた。この『方舟』との戦いに向けて、俺達はあらゆる可能性を想定して、思いつく限りの準備を整えてあるのだ。濃い瘴気が噴き出した位で慌てる奴はいない。


…………ただ。



『ギャウゥゥーーーーッ!?』


『シャルルルルッ!?』



着水した『方舟』の上空で、溢れ出した濃い瘴気にあてられて鳥や魚が凶悪に変質していくのは、予想外だったが。


まぁそれでも、『方舟』から小さな眷属モンスターが出て来た時用の対策も、打ってはあるんだけどな。


……………………パァンッ!


距離がある為か間延びした音が響き、瘴気の影響で凶悪になりつつあった鳥や魚が撃ち落とされた。


仕事が早いな、と思いつつ背後の空に眼を向けると、そこには通常よりも長い銃身を付けられ、厳つく改造されたドローンが浮かんでいた。言わずと知れた『キャンパー』が操る、複数のドローン。『遠距離狙撃用ドローン・改』である。


これは、☆4『ガチャアイテム製作所』にある『ガチャアイテムの改造』を使って、改造を施されたドローンだ。☆4『◇キャンピングカー』から生み出される各種ドローンが、ガチャアイテムとしては☆3〜☆4の位置づけだったから出来た事だ。


このドローン達は、幻獣や狂った神獣と戦うには戦力が不足していたが、こうして普通のモンスターを倒す分には、何の問題も無かった。だから俺は、『方舟』との戦いの中でイレギュラー的に出て来るモンスターへの備えを、キャンパーに頼んだ訳だ。



「さぁ本番と行こうか。合図を送れ!!」



…………ジャリンッ!!


俺の言葉は『フレンド・チャット』を使って伝えられ、『神罰の鎖』を持つ『神威』達が一斉に鎖を鳴らす。


すると、動きを封じられている『方舟』の縛りが一瞬緩み、その隙間から一体の幻獣と狂った神獣が三体飛び出した!



「レティア!!」


『お任せを』



外へ飛び出した幻獣と狂った神獣は、何か行動を起こす前にレティアに補足され、それぞれが個別に☆5『闘神『ガルネシア』の闘技場』へと送り込まれた。



「いきなり幻獣が出て来るとはな。まぁいいや。幻獣とは俺達がやる! 残りの狂った神獣三体は任せるぞ! 第一班から、相性を加味して送り込め!」


『了解しました。では、お送りします! ご武運を! マスター!!』



レティアに送られて、俺はパーティーメンバーであるティアナ・アレス・シエラ・カーネリアと共に闘技場の舞台へと送られた。


闘技場の舞台は丸い岩が点在する舞台で、俺達とは反対方向にソイツはいた。



『ブルルルルッ…………!!』



その姿は、一言で表すならば『禍々しい猪の化物』となる。その身体は筋肉がつき過ぎているように肥大し、闇色の毛皮を持ってして覆われていない。


禍々しく伸びて曲がった牙を持ち、その鼻先から額までを甲羅の様な物が覆っている。


全体的に闇色の身体は、常に濃い瘴気に覆われており、その顔にある五つもの真っ赤な眼が、ギラギラと俺達を見つめていた。



幻獣『オルクスホーン・ギガントブル』。それが、映像を通して女神ヴァティーが鑑定した、幻獣の名前である。



『ブロロ…………ッ!?』



前足を掻き鳴らし、雄叫びを上げようとしたギガントブルの声が大きな音に打ち消されて、ギガントブルの動きが止まった。


その音の正体は、観客席からスピーカーを通して大きく響く、音楽と歌。それを奏で歌うのは、アムステ王国から派遣されたアイドルの一団である。


アムステ王国のアイドルの歌や、その曲を奏でる演奏者達の音楽は、俺達にバフを掛けるだけでなく、対峙する幻獣にはデバフを掛ける。


その歌と音楽によって自身が弱体化したのが解ったのか、ギガントブルが禍々しい牙を振るって攻撃を飛ばしたが、それは観客席を護る結界によって阻まれた。


その一瞬、流石に少々音はブレたが、それでも歌と演奏を止めずに歌う彼らに敬意を払いつつ、俺達はギガントブルと向かいあった。



「お前の敵はこっちだ! 掛かって来い!!」


『ブロロロロォォーーーーッ!!』



雄叫びと共にギガントブルから瘴気が噴き出し、それと同時に地面を踏み砕く程の力で、ギガントブルは闘技場に点在する岩を粉砕しながら、突進して来た!!

面白い。応援したい。など思われましたら、下の☆☆☆☆☆から評価をお願い致します。


モチベーションが上がれば、続ける力になります! よろしくお願いします。

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