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584回目 変わった世界

「…………想像以上って言うのは、こういう事ね」


「話には聞いていましたし、☆5『料理神『ルカタルト』のリストランテ』でも似た光景は見ましたが…………」


「世界の改変…………。これがガモン殿の頭の中にあった世界の形。なんとも…………」



 飛空艇『アベルカイン』に仲間達を乗せて、俺は新たな世界の遊覧飛行と洒落込んでいた。そしてカーネリアにシエラ、そしてアレスは窓の外に広がる新たな世界を見てただ驚愕していた。



『…………こんな事が本当に起きうるとはのぅ。長生きはするもんじゃな…………』



 幽体のドゥルクだけ、ツッコミ待ちか? って感じの事を言っていたが、ここはスルーだ。俺も、俺と腕を絡めるティアナも、この世界の変わりっぷりには驚いているからな。そんな余裕はないのだ。


 …………こっち見んなし。



「ガモン殿。大陸はずいぶんと小分けになったんですね?」


「そうだな。国ごとに分けてるってのもあるけど、領地がデカイ国は更に分割している。じゃないと、運び難いからな」



 これらの浮いた島々は、『方舟』との戦いの時には遠く移動させる。それこそ水平線の彼方までだ。


 いざ『方舟』との戦いに勝ったとしても、結果的に世界の全てが瘴気に汚染されて、住めなくなりましたでは洒落にならないからな。


 陸地ごと星の裏側まで避難させておけば、まぁ安心だろう。俺達の戦いなら、テレビを通しても見せられるしな。



「ですが、各国はいま混乱の中にいるでしょうね。同じ国の領地でも、島となって離れてしまった国は特にそうでしょう」


「その為の飛空艇だぞ、シエラ。と言うか、お前達は他の国に説明に行っただろ」


「そりゃ行ったけどね。聞くのと体験するのとではね、やっぱり大きく違うわよ。説明をして回った私達ですらこうなんだから」



 うん。まぁカーネリアの言いたい事も解るけども、それぞれの国にはこれを乗り越えて貰わなくてはいけない。何せ、もう戻らないんだから。


 覆水盆に返らず。☆5『魔神のサイコロ』は失われたし、仮にあったとしても、俺達人間の手だけでは絶対に世界を戻せない。


 多くの神々の手を借りて、数々の☆5アイテムや俺のスキルを大きく削って、これは実現したのだ。また戻すなんてのは、絶対に不可能だと断言できる。


 まぁしかしだ。実際の所、ここまで凄まじい事になるとは俺も想像してなかった。これは確実に俺一人、と言うか神々の力を借りていなければ『魔神のサイコロ』の力に飲まれて世界はぶっ壊れていただろう。


 空を多くの魚が泳いでいるし、当然元から空にいる鳥達も飛んでる。これだと魚が捕食され放題、に見えるかも知れないが、同時に肉食の魚にとっては、鳥と言う新たな餌が増えた現実もある。


 実際に今、大型の鳥がシャチに喰われたからな。空における自然界の生態系バランスが、大きく変わってくるのは間違いない。


 そしてそれは、当然だが陸地にも言える事だ。


 今回、大陸を小分けするにあたって、全ての国には『神聖樹の森』も小分けして付けられた。


 全ての陸地が空にあり、国と国が陸続きで無くなった今、一番影響を受けるのは流通だ。全ての国が自給自足でやっていける訳ではないので、これまで他国からの輸入に頼っていた物が手に入らなくなるのは本当に問題であり、各国との話し合いでもその問題は出ていた。


 そこで、強力な再生能力を持つ『神聖樹の森』を浮島として付属し、そこに最低限の資源が取れるダンジョンを設置する事でバランスを取った。


 小さい面積ながらも、取り過ぎなければ安定供給される木材と、最低限の資源が取れるダンジョン。完全に自給自足できる様にしなかったのは、やはり流通も世界には必要だからである。


 ちなみにダンジョンは、一階層で食料資源、二階層で鉱物資源が取れる。そして三階層からは、その国の地上にいたモンスター達の暮らす世界となっており、後は普通のダンジョンだ。


 管理を怠ればモンスターが溢れスタンピードが起こるのも一緒。しかもこれからは、陸地が離れているために街への被害が抑えられても、一度モンスターが蔓延ると、その島を奪い返すのが容易では無くなる。ぜひしっかりと管理して貰いたいものだ。



 ◇



 遊覧飛行を終えて『レナスティア』に帰ると、フレンドチャットを通して呼び出しを受けた。


 俺を呼び出したのは運命神ダイス。呼び出し先は、もはやダイスと話をする為の場所としてだけ残された『マイスター・バー』だ。


 って言うか、フレンドチャットを使って呼び出すとか、俺のスキルも都合良く弄られたみたいだな。まぁ、もうほとんどの機能は使えなくなってるから別にいいけど。


 俺はティアナに運命神に呼び出された事を伝えて、一人部屋に戻り、スキル画面を開いた。



『やあ、世界を変えた勇者ガモン。変わった世界はどうだった?』


「…………まぁ、凄いの一言でしたよ。力を貸してくれた神々に、深く感謝していたと伝えて下さい」


『そうかい。まぁ変わった世界には問題も多く出て来るだろうけど、そこに神は干渉できない。後は君達が、そこに暮らす人間が頑張ってくれ』


「それは解っている。…………今日はそれを言いに?」


『いや、一つ大きな問題があってね。世界全体に関わる事だし、君にも大いに関係ある事だから、早く教えておこうと思ったのさ』


「…………大きな問題?」


『うん。…………改変の都合でね。その世界の通貨を生み出していたダンジョンが使えなくなった。現存する貨幣はそのまま残るけど、新たに生み出される事はもう無いよ』



 それは、世界の貨幣事情を変えるだけでなく。俺のスキルがいずれ完全に使えなくなると言う宣告でもあった。

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