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582回目 ☆5『魔神のサイコロ』

 瘴気を振り撒く『方舟』との戦いにおいて、神聖樹がとてつもなく有効なのが解ったので、俺達は総出で神聖樹の切り出しを行った。


 大木を切り倒し、枝打ちをして丸太にし、皮剥きも行なってから俺のスキル倉庫に保管する。


 神聖樹は、その全てが俺のガチャアイテム由来なので、スキル倉庫に無限に収納出来るのが有り難い。


 ちなみに落とした枝や剥いた皮も、瘴気を吸収したり反発する効果があるので無駄にしない。これはこれで取って置いて後で使う。


 これらの切り出し作業を行って驚いたのは、かつて世界を丸ごと飲み込んだと言う神聖樹の生命力だ。


 神聖樹を切り倒して残った切り株は、後で処理しようと放っておいたのだが、その日の夕方には新芽が出ており、次の日にはなんと若木がヒョロリと伸びていた。


 せっかくなので観察を続けてみると、3日程で伐採しても良いくらいの大きさになっており、流石のエルフもドン引きしていた。


 この大陸より外に広がらない様にと、神力をセーブして早々に眠りについた樹木の神『ジュダイン』は、流石の慧眼だった。これが世界に広がったら『方舟』すら押し潰すだろうが、俺達も纏めて駆逐されてしまう。共存するには、神聖樹の生命力が強すぎるのだ。


 ちなみに、切り倒した後にすぐさま切り株も掘り返して根を切ってしまえば、それ以上生える事はなかったので対処は可能だった。



 ◇



「必要分に上乗せして、十分な量の神聖樹は切り出して加工した。ガチャ装備、ガチャアイテム、ガチャ書籍、ガチャ食材。後はガチャ・ポイントで得られるアイテムも金で買えるアイテムも粗方取り尽くした。やるべき事はやった。☆5『技巧神の大工房』や☆5『飛空艇造船所』も閉めたし、☆5『ジュエルドラゴン製作キット』も回収した。これで本当に、準備は整った」



 本音を言えば、もっと時間を掛けてもいいとは思う。でも、ここからは本当に未知の領域だ。


 世界の改変。『方舟』が落ちてくる予測の日まで約五十日。改変された世界に順応する時間は絶対に必要だ。


 だから、やるのは今だ。



「ティアナ、行って来る。後は頼むよ」


「ええ。打ち合わせ通りに進めるから、安心して。…………大丈夫、きっと上手くいくから。だって、神様が大勢手を貸してくれるんですもの。だからガモンも、気持ちを楽にして、行って来て」


「ああ、そうするよ」



 ティアナと柔らかく抱き合って、俺はとあるアイテムを発動した。


 それは☆5『◇創造神の『神威』工房』だ。このアイテムで移動するのは、創造神が工房で神気を扱えるように創り出した特別な世界だ。だからここは、ある意味において☆5『料理神『ルカタルト』のリストランテ』よりも神域に近い。


 そして俺は、美しく果てしない雲海に浮かぶ神殿へやって来た。



『よく来たなガモンよ。やるべき事は終わったか?』


「はい。やれる事は全てやって来ました。…………正直、もっと時間があれば、と思わなくはないですが、言い出したらキリが無いので」


『まぁの、往々にしてそう言う物よ。世界が変わるほどの大事に万全に準備をするならば、永遠の時があっても足る事はあるまい』


「創造神様でも、そうなんですか?」


『我など、神々の中ではまだまだ若いヒヨッコよ。創造神などと言うのは、ただの役目よ。まだまだな』



 …………そう言えば、前の創造神が死んだ事から始まったんだったな。しかしそれでも、俺の様な人間からしたら、気の遠くなるような悠久の話ではあるんだろうけど。



『さてガモンよ。最終確認じゃ。これから☆5『魔神のサイコロ』を使い世界を変える。多くの神々が、お主のスキルを通し☆5のアイテムを触媒として行うゆえ、失敗は無い。だが、お主のスキル回路はズタズタになる上に、触媒として使われた☆5アイテム、更に世界を安定させる為にも☆5アイテムが使われる為、お主はその身のスキルが大きく弱体化するだけでなく、☆5アイテムのほとんど全てを失う事になる。…………よいのだな?』


「もちろん。元々これは、俺が言い出した事ですよ。覚悟がなければ、そんな事を口にはしません」


『…………そうか。では、始めるとしよう。ガモンよ、『魔神のサイコロ』を振るがよい』


「はい。よろしくお願いします…………!!」



 創造神から神気が溢れ、その背後には、多くの神々の気配を感じた。



「……………………!!!!」



 世界を変えるプレッシャーに押し潰されそうだ。大丈夫だと神々のお墨付きは貰っているが、それでもこの一振りで世界は終わるかも知れない。


 無意識に、『魔神のサイコロ』を握る手が震える。


 …………だがその時、そっと俺の手にティアナの手が置かれる幻影が見えた。



(気持ちを楽にして、きっと大丈夫)



 その言葉と共に消えたティアナの幻影に、俺は自分の心が軽くなるのを感じた。



「…………いくぞ!!」



 万感の思いを込めて、俺はありったけの魔力を『魔神のサイコロ』に込める! 無理矢理詰め込まれた魔力は暴れ、『魔神のサイコロ』の崩壊を促す。



 《サイコロを破壊する事により、一度だけ任意に世界を変質させる事が出来る》



 崩壊寸前に俺の手から振られた『魔神のサイコロ』は、ボロボロと崩れながら落ちていき、ついには地面に触れる事なく塵となって消滅した。



 ……………………そして、世界はその姿を大きく変えたのだった。

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