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58回目 寮でのひととき

「…………うん?」


「ガモン様? どうかされたのですか?」



 ずっとボードゲームをしているのも疲れるので、ちょっと休憩とばかりに、俺はガチャから出てきたミネラルウォーターを片手に『ガチャ・マイスター』を開いていた。


 俺達から少し離れた所では、ゲンゴウの部下達が自分のチームが検証した様々なアイテムについて話し合い、大いに盛り上がっている。



「このシャンプーも石鹸も、ウチで取り扱いのある物よりも格段に良かった。泡立ちもそうだが香りをどう調合しているのかが気になる。ウチで扱っている物は香りがイマイチ定着していないからな。香りが強すぎる物は包装されていても酷く匂うし」


「確かにシャンプーは凄かったけど、私はこのトリートメントが本当に欲しいわ! それに化粧水とか乳液とか、こんなに肌の事を考えた商品があるなんて!」


「俺はこのバスタオルが欲しい。凄いぞこれ、一瞬で水気を吸い取るんだ」


「それならこの石材みたいなマットだよ。なんだよコレ? 濡れた所が一瞬で渇くぞ? サッパリ意味が分からない!」


「俺は勇者様の世界が分からない。見てくれよこの紙のロール。ものすごく薄いし柔らかいし、模様や香りがついた物もあるんだが、これが尻を拭くためだけに作られてるらしいぞ? 俺達の常識じゃ紙をこんな風に使ったりしないだろ。勇者様の世界にはこれの原料が無限に出るダンジョンでもあるのか?」


「この芳香剤や消臭剤も興味深いです。中のこれはスライムゼリーに見えるけど違うわよね? これが臭いを吸収するらしいけど、ちょっと試しただけじゃ何も解らなかったわ」


「私達は台所で使う物を試したんだけど、このピーラーって野菜の皮を剥く道具なんだ。こんな簡単な作りなのに凄いのよ、これ。なんでこれを思いつかなかったのかしら」


「包丁も切れ味はいいし、簡単に磨ぐための道具もあったぞ。軽く刃に滑らせるだけで磨げるらしい」


「一番意味が解らないのはこの『電子レンジ』だよな。勇者様に使ってみて欲しいと言われてやってみたけど、中に入れた物が本当に熱くなったぞ? 注意点は色々あるらしいが、煮炊きする場所を新たに使う必要はないし、冷めた物を皿にのせたままで温められるんだ」


「ああ、それとこのラップな。これも便利そうだぞ。一番凄いのは使い終わると勝手に消えるところだな!」



 …………いや、勝手に消えるのは、ゴミになると消えるって言う俺のスキルの特性であって、本来は消えないぞ? まぁ、ここで指摘してもしょうがない事だけど。


 皆で集まり、ガヤガヤと意見を言い合うゲンゴウの部下達。少なくとも今夜は、その話が尽きる事はなさそうだ。


 ちなみに彼らの主たるゲンゴウはと言うと、どうやらマッサージチェアが気持ち良すぎたらしく、リクライニングしたマッサージチェアの上でイビキをかいていた。



「ガモン様?」


「ああ、ちょっと『ガチャ・マイスター』を開いてみたら、色々と増えていて驚いただけだ。気にしなくていい」


「…………そうですか。では、何が起きたのか後で私にも教えて下さいね」



 そう言って視線を落とすシエラの手には、一冊の文庫本が開かれている。あれは今回のガチャで出てきたラノベだな。


 確か、女性主人公の学園モノだったな。俺はどうも主人公と自分を重ねたい派だから女性主人公はイマイチ乗り切れないんだよな。


 でもシエラには刺さりまくったらしく、もう夢中で読んでいる。おそらく、シエラは元々本が好きなのだろう。


 と、それはともかく今は『ガチャ・マイスター』の話だ。


 俺は、取り敢えずは冒険者ギルドでの登録が終わったので、『冒険者ギルドに登録する』というストーリークエストの報酬と、次なるクエストの内容を見に来たのだ。


 と、そこでクエストが並ぶページに、新たなクエスト欄が増えているのを見つけたのだ。その名も『フレンドクエスト』だ。



「フレンドクエスト? …………ティムやバルタに関係するクエスト…………とか?」



 タイトルを見ただけでは何がなにやら分からないので、さっそくタップして開いてみたのだが、そこは今だ空欄のままだった。


 って事は、ただ新設されただけなのかも知れない。でも、フレンドに関係するクエストか。例えば、ティムやバルタが何らかのピンチに陥った時にクエストが表示されるのだろうか。


 …………まあ、考えても解らないので、俺はクエストクリアの報告とそれに伴う報酬を受け取り、次のストーリークエストを確認した。


 次のストーリークエストは『冒険者ランクを、Eランクまで上げる』だった。


 Eランクか。今の俺は最底辺のGランクだから二つ上だな。あれ? そう言えば…………。



「シエラ、悪い。ちょっと聞きたいんだけど」


「はい。なんですか?」


「シエラって、冒険者ギルドに入っているのか? 初めて会った時、ギルドにいたけど」


「ええ。私は一応Eランクの冒険者ですわ。冒険者はEランクまで上げないと、ほとんど何も出来ませんから」


「え、そうなの? Gランクがギルドの雑用係なのは知ってるけど、Fランクもそんな感じなのか?」


「そうですね。Gランクがギルドの雑用係だとするなら、Fランクは街の便利屋さんという所でしょうか。本格的に冒険者と名乗れるのはEランクからですね。Eランクにならないとギルドの図書室を利用出来ませんし周辺の地図も買えません。一番大きいのは、ダンジョンに入れない事でしょうか」


「…………ダンジョンに入るには、Eランク以上にならないとダメなのか?」


「正確には、Eランク以上でダンジョン講習を受けられる、ですね。この講習を受けてる事が、ダンジョンに入る為の必須条件なので。…………ああ、もちろんそれは、冒険者ギルドに管理されているダンジョンの場合です」



 ほほう。ダンジョンに入る為のダンジョン講習か。それは是非とも受けてみたいもんだな。ダンジョンにはメッチャ興味あるしな!

面白い。応援したい。など思われましたら、下の☆☆☆☆☆から評価をお願い致します。


モチベーションが上がれば、続ける力になります! よろしくお願いします。

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