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570回目 どんどん大きくなる話

「…………はい? 各国の垣根を越えた合同結婚式? え? なんでそんな話になってんの? ロミオルとジュリエナの話じゃなかったっけ?」


「うん。もちろんそうなんだけどね。ほら、今この『レナスティア』って、世界中の国から人が集まっているでしょ? ロミオルとジュリエナの事で動いている中で、国関係なしに結ばれたカップルが結構多い事が解ったのよ」


「…………いやまぁ、そう言う事もあるだろうけど」



 ロミオルとジュリエナの事を知ってから一週間。その間も相変わらずガチャを回している俺の所には、毎日ティアナが来て色々と話をしてくれている。


 いやまぁ、夜には大概一緒に居るんだけどね。でもこうして、同じソファーに並んで座りながら話すのも、大切な時間なのだ。


 そのティアナが、何かを言いたそうに、しかし言おうとしては誤魔化すかの様にどうでもいい話題を振って来るので、少し問い質してみたら中々に大きな話が飛び出して来た。



「ロミオルとジュリエナの事は、上手くいったんだろ? 昨日、二人している婚約を解消できたって、嬉しそうに話していたじゃないか」


「うん。もちろんそっちは上手くいったの。両国ともこの状況だとその婚約にもあまり意味がなくなっていたから、結構簡単に解消まで持って行けたのよね」


「良かったよな。それで、二人は会えたのか?」


「ええ。二人とも涙を流しながら抱き合っていたわ。私も少し、もらい泣きしちゃったもの」



 そうか、ロミオルとジュリエナはちゃんと会えたんだな。これもジュリエナの覚悟が手繰り寄せた結果だ。何せジュリエナは、全てを投げ打ち城を飛び出してまでロミオルを求めたのだから。


 ティアナによると、ラグラフの奴も背中を向けて男泣きしていたらしい。ラグラフも色々とあった男だからな、胸にくるモノもあったのだろう。



「…………ん? 話を聞いていると、何も問題無さそうじゃないか。なんで合同結婚式なんて話になったんだ?」


「それがね? ロミオル側の親族にジュリエナを認めない人達が居るの。そして、ジュリエナ側にも、ロミオルを認めない親族が居るのよ」


「なんでまた? もの凄く良い話に纏まりそうなのに、何が不満なんだ?」


「それがね、ロミオル側の親族はジュリエナが勝手に家を出たのが問題なんですって。家の管理下にいなかったジュリエナの貞操を信用出来ないって言っている親族がいるの」


「…………なんだそりゃ」



 ロミオルの事を一途に慕い、その愛の為に全てを投げ打って飛び出したジュリエナ。そこまでしてロミオルに愛を捧げた彼女を信じられない? そもそもこの状況のなら、それは二人の問題であって親族らにはもう関係ないだろ。



「そしてジュリエナ側の親族は、どうせ嫁ぐのならロミオルなどではなく、もっと上を狙うべきだ。なんて言ってるの。せっかく『レナスティア』に潜り込めたのだから、ガモンの側室も狙えるだろうと。…………ふざけた話だと思わない?」



 そう言ってニッコリと笑ったティアナは、その全身から怒りのオーラを滲ませている。アカン。これはマジでキレてるやつだ。


 いや、って言うか。俺は本当に関係ないだろ。何このもらい事故。勝手に巻き込んで来るなや。



「そんな時にね、トレマちゃんとイオスちゃんから聞いたの。あの子達、毎日色んな所を回っているから。ガモンの指示なんでしょ?」


「バルタの妹達なーー。いや、あれは俺の指示って言うか、バルタがあの双子は情報収集に長けてるからって推薦して来たんだよ」


「そうなのね。…………でね? あの子達に聞いたのよ。国や種族の垣根を越えて結婚したがっているのはロミオルとジュリエナだけじゃなくて、いっぱい居るんだって」



 あーー…………。確かにそれは俺も聞いた気がするな。この『レナスティア』に集まってそろそろ一年になる者達もいる。『レナスティア』は移動も楽だし、様々な場所に移動しての仕事も娯楽も多い。必然的に出会いも多くなる分、惹かれ合う者達も多くなる。



「そこでね、合同結婚式なのよ。本物の神様に、愛を誓うの。この『レナスティア』でやれば、本物の神様達も祝福してくれるでしょ? 本物の神様に誓うんだもの。そこに嘘は無いし、神様への誓いを反故させるなんて出来ないでしょ?」


「はぁーー。よく考えられてるな。確かにそれだと、文句は言えないだろうな。結婚を祝福した神の顔に、泥を塗る行為だもんな」


「そうなの。これなら結婚も認められると思うのよ。実際に神々の姿を見て、言葉も交わしているからこそ、尚のこと」


「…………ふむ。これは良い作戦かもな。でも問題があるとすれば、そもそも参加させてくれるかな? せっかくの合同結婚式も、参加させてくれないと何ともならないだろ?」


「…………う、うん。それはね、合同結婚式が参加する意義のある物であれば、参加すると思うのよ。例えばそう──。…………私達の結婚式と、一緒に行われるとか…………ね?」



 …………ティアナが言い難くしていたのはこれか。俺達の結婚式も…………ね。



「…………そ、そうだな。…………それは凄く……良い考えだと思う」


「…………うん」



 俺達は照れ臭くて、自分と相手の体温が熱くなるのを隣で感じながら、隣り合った手を重ねて握っていた。

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