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566回目 神々からのメッセージ

『────世界の改変は、『方舟』との戦いに必要不可欠となる。それは我々神々も意見が一致しておる事実だ。我らは勇者ガモンによる世界の改変を全面的に支持し、それに協力すると約束しよう。諸君らに取ってそれが試練となる事は間違いないが、それをせねば諸君らの世界は確実に滅び、そこに住まう生物は全て死滅する。これはそうならない為の─────』


『────って事だが、そりゃここまでの改変ってのは俺にだって覚えは無ぇ。お前らが大変なのは目に見えているが、死にたくなけりゃ受け入れるしかねぇのも確かだ。それは俺が保証してやるよ。さらに────』


『────世界から海が消える。まぁ、正確には海の全てが瘴気に汚染されるんだけど、君達海に住む者達の不安は地上に住む者達のそれを遥かに越えるだろう。でも、それは僕らだって考えているから安心して欲しい。これからは空が、君達にとっての海に────』



 食事と会話を楽しみ、神々との会談も終わった後には、多くの撮影会が行われていた。


 それぞれ浮島に別れ、世界の人々に向けたメッセージを述べるのは神々で、ガチャアイテムの撮影機材を持って神々の演説を撮影をするのは、ここに集まった王侯貴族達に協力して貰っている。


 これは世界を改変する事を発表した後に、人々を安心させる為のメッセージだ。カメラ越しにもそれが間違いなく本物の『神々』であると存在感を示す彼らに、俺は世界の人々に対するメッセージの撮影を打診して、快く引き受けて貰ったのだ。


 後日この映像は『レティア』が取り込み、フレンドチャットからガチャアイテムのテレビを通して全世界に発信される。


 この為に多くのテレビを用意しなければいけなくなったが、ガチャから引き当てるだけでなく、☆5『技巧神の大工房』や☆4『ガチャアイテム製作所』を使って大量生産して配る予定だ。


 ☆4の装備も揃えないといけないし、この二つはこれからフル稼働になるな。☆5『飛空艇造船所』での飛空艇建造技術の習得もあるし、ドワーフとエルフだけじゃとても人手が足りないな。


 普通に人手を集めるのはもちろんだが、『ドール騎士』も大量に用意しなくてはいけないな。忙しくなりそうだ。


 実際、この会談が終わった後の俺は大忙しだった。


 まずガチャを回す。次に☆5『技巧神の大工房』や☆5『飛空艇造船所』、そして☆4『ガチャアイテム製作所』へと次々に赴き、そこでアイテム製作に励むドワーフやエルフなどとミーティングを行い、必要な人員や『ドール騎士』を派遣する。


 それが終わったらガチャを回し、『技巧神の大工房』などで必要なアイテムの入手を、各浮島に打診する。


 そしてガチャを回し、ガチャを回し、ガチャを回す。


 ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ……………………。



「……………………つらい…………」



 無意識にそんな言葉が出て来るほどツラかった。


 もうホント、最後は☆5が出た事にすら数秒遅れて気づく位に、無心でガチャを回す生活を送っていたもの。特に悲しくないのに涙が出てきたもの。俺は精神的にかなりヤバかったと思う。


 そんな中で各国の王侯貴族達は、これから世界に起こる出来事について民に語り始めた。


 その多くは王から貴族へ、そしてその地を治める領主から民へと、リレー形式で行われたのだが、それをそのまま鵜呑みにする民は、皆無に等しかった。


 それはそうだろう。いきなり世界が滅ぶと通達され、世界を滅ぼす原因となる『方舟』と戦う為に世界を大きく改変する。それも、陸地は全て空に浮かび、海の魚も空を泳ぐようになる。


 なんて宣言をされても、鼻で笑うより無いだろう。俺だって民の立場ならば、「何言ってんだ、このオッサン」くらいの反応になるだろうからな。


 だがそれも、街に村にと、各地に設置されたテレビから流れる神々のメッセージにより風向きが変わった。


 テレビの画面越しに見る神々は、画面越しにも関わらず神々しく見え、その存在を間違いなく『神』であると人々に認識させたのだ。


 それによって人々の中に、世界の滅びと、世界の改変と言う現実が、少しずつゆっくりと浸透し始めたのである。



 ◇



 俺はそんな人々の様子について、シエラから報告を受けていた。



「へぇ、流石は神様だな。テレビの画面越しにでもそれだけの存在感を見せられるのか。それで、それを見た人々の反応はどうなんだ?」


「多くの人々は神々の言う事ならと、一応は信じた様です。ですが、だからといって行動を起こす者は少なく、いつも通りの生活を続けています」


「…………え、騒いだり暴れたりも無かったのか? どういう事なのか、領主に詰め寄るくらいはするかと思ってたけど」


「現実味の無い話ではありますからね。『陸地が空に浮かび、魚が空を飛ぶ』などと言われても、普通は信じられません。それを曲がりなりにも受け入れられたのは、画面越しとは言え初めて眼にした『神々』の存在と言葉が大きいです」



 言っているのか『神々』でなければ、ただの寝言か。まあ、そりゃそうだよな。


 だが、目に見える変化が無かった訳ではない。シエラによると、『聖エタルシス教会』に足を運ぶ人は爆発的に増えたそうだ。存在をその眼で確認した神々に、祈る人々が増えたのだろう。


 皮肉な事に、あの神々の中に『エタルシス』なんて神様は居なかったんだけどな。

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