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562回目 驚愕する参加者達

 ☆5『料理神『ルカタルト』のリストランテ』。普段ならばお洒落なレストランで食事をするこの☆5アイテムが誘う空間は、本日はルカタルト以外の神々の力も借りての特別仕様となっていた。


 俺や仲間達は前に一度、ルカタルトの招待を受けて体験しているが、その仕様はズバリ『改変した後の世界』がテーマになっている。



「…………な、なんだこれは…………!」


「は、話には聞いていたが…………。まさか…………」


「こ、これを…………? これを本当に実現する気なのか…………!?」


「想像を…………越えている…………!」



 今回の会談の為にルカタルトの世界を訪れた者は、そのあまりの異常さに愕然とし、腰を抜かした。


 陸地が空に浮かび、遥か下にあるのは広大な海のみ。鳥と共に魚も空を飛び、島の行き来は飛空艇でする世界。


 確かにそれを、俺はここに招待した各国のお偉いさんに説明をした。イラストなども交えたし、『方舟』との戦いには絶対に必要な事だと説いて一応の理解も得た。


 各国もまた、『方舟』や幻獣のシルエットを見ている。そして簡単な計算を交えて説明を聞き、その巨大さと厄介さを解っている。


 さらに、何よりその全体から禍々しく、止めどなく溢れている瘴気を、ガチャアイテムの望遠鏡を使って目撃している為、瘴気による世界の汚染は、この世界に暮らして来た彼らにとって最も恐るべき事なのだ。


 だが目の前にあるそれは、その世界はとても理解の及ぶものではなく、この世界を代表して神々に会うと息巻いて来た王侯貴族達は、自分達の抱える責任の重さと、迫る危機から逃れられない重圧に挟まれて、ヘナヘナと座り込むしかなかった。



『他の神々が来るまでに少し余裕をもっています。まずは落ち着くように、飲み物でも配りましょうか』



 この事態を見越していたルカタルトの提案で、俺と仲間達はルカタルトが手伝いをさせている天使達と一緒に、参加者に水やお茶を配り歩いた。


 ちなみに天使とは言っても、頭に輪は無いし、真っ白な翼も出ていない。ただ、真っ白な料理人を思わせる服に、金糸で豪奢な刺繍をしてある物を全員が着ていた。



 水を飲んで、参加者達が落ち着きを見せた所でテーブルへと促した。


 今回は神々との会談と、新たな世界を見せる為との二つの理由から、擬似的に造られた改変後の世界でのパーティーとなる。


 つまり、かなり広い。なので長いテーブルに並べられた多くの料理と共に、幾つかの会談しながら座って食べられる席も用意されているのだ。それは小型飛空艇で移動できる他の島も同様だ。


 立食形式でも良いのだが、こんな広い場所でそれも疲れるからな。


 そして、テーブルについた参加者達がこの世界を見たショックから立ち直り、同じテーブルについた者達と歓談を始めた所で、ルカタルトが一抱えほどある大きな壺を傍らに浮かせた状態で歩いて来た。


 この世界に慣れてきた王侯貴族達も、流石に本物の神である料理神の登場には少し静かになった。



「…………ん? なんだこの香りは…………?」


「とても芳しい香りが…………?」



 ルカタルトがテーブルの間を歩き、テーブルに囲まれた中央にただ一つある、小さな四角いテーブルの上に壺を置いた。


 キッチリと蓋をされているにも関わらず、芳しい香りを振り撒くそれの正体は、神々を呼ぶ力を持った俺のガチャアイテム、☆5『霊酒の壺』である。


 先程より漂う香りはもちろん『霊酒』のものであり、その香りから連想される極上の酒を連想して、普段から高級で良い酒を飲んでいる王侯貴族達はゴクリと喉を鳴らした。


 その壺の中身は既に霊酒で満たされているが、もちろんそれはここに居る参加者に振る舞う為の物では無い。


 これの役割は、このアイテムの能力によって神々を呼ぶ事である。



『では、今回招待をした神々を呼びますね。皆さん、少し眼を伏せてお待ち下さいね』



 ルカタルトのこの言葉に、その場にいる全員が従った。神々の出現などマトモに見てはいけない事は、全員が言われずとも理解していた。


 そして、ルカタルトが霊酒の蓋を開ける音と、神々の数だけの盃に霊酒を注ぐ音が響いた後、唐突に強大な圧力がその場にいる全ての人々の上に、のし掛かった。


 押し潰される程ではないが、絶対的な上位存在が現れたと解るそのプレッシャーに、多くの人々は胸の前で祈るように手を組んでいた。



『…………顔を上げるがよい。そのままでは挨拶も出来ぬでな』



 その言葉には、この場にいる人々に重くのし掛かっていた重圧を吹き消す力があった。まるで優しく吹く春風のように、フッと、重圧が消え去り、心まで軽くなった気がした。


 俺も含め、その場にいた人々が顔を上げると、そこには様々な姿の神々が霊酒を注がれた盃を持って立っていた。その姿は人間の様ではあるが、神々しさを否応なしに感じる。その場に立つ者達が神々である事を疑う者など、誰一人として居ないほどに、全員が一瞬で理解した。



『此度の招待、とても嬉しく思っておる。さぁ、まずは乾杯しようぞ! お主らもこの霊酒、手にするがよい』



 神々を代表する初老の男がそう口にすると、何故か一瞬で俺達は霊酒の入った盃を持っていた。


 …………おそらくあれが創造神なのだろう。神々の中においても、その存在感が頭ひとつ抜けているからな。



『ウム。ではこの出会いに、乾杯!!』



 そんな事を考えながら、俺は創造神の音頭で一気に霊酒を飲み干した。

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