表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
548/607

548回目 アムステ王国の王族

 この世界はおろか、現代の日本でも見かける事は無いかと思われるガングロメイクの王女様方と、俺達はお茶会をする事になった。


 こう言うのもアレだが、正直こういったメイクをしている女性と話す機会なんか無かったから緊張する。


 いや、軽く挨拶程度の会話しかしてないが、彼女達がとても良い人達なのは解るのだ。言葉も作法も洗練されていて隙が無いし、とても常識的で高い知能が、垣間見える二人だった。


 ただ、メイクが少々奇抜なだけなのである。



「え、じゃあ二人はこの国のお姫様なのに人前には出ないんですか?」


「私達が、ではなくこの国の王女として生まれた者の宿命みたいな物です。王女たる者は十才を境として三年間、このようなメイクで過ごすのですが、かつての女王であるアムラー様はこのメイクを後世に残したがってはいませんでした」


「なので、私達はこのメイクをしている間は、極力人前に出ないようにしているのです。ですからこうしてお客様の相手をするのは、嬉しくもあるのです」



 …………勇者アムラーが消したがっていた黒歴史だから、広める訳にはいかないと表に出ないようにしているのか。ならやらなきゃ良いのに…………ってのは、俺が無関係だから思う事だよな。この国の人々にとっての勇者アムラーってのは、それほどに大きな存在だって事だ。


 この王女様達だっていざとなれば表には出るし、国民の中でもこの事は公然の秘密になっていると言うのも、ここまで俺達を案内してくれたエルケイに聞いている。


 それにこの二人にしても、勇者アムラーってのは憧れの存在らしく、特に嫌がってはいないのだ。まあ期間限定の物であるなら、楽しむのが正解ではあるだろう。



「この度はせっかく勇者ガモン様が来てくだされたのに父が時間を取れず、大変申し訳ありません」



 そう言って第一王女アムリーと第二王女ナミーは、俺達に頭を下げた。



「いえ、こちらこそ突然お邪魔してしまい、申し訳ありません。迷惑ではありませんでしたか?」


「ガモン様は、そのスキルで事前に連絡をくれましたので、迷惑などと言う事はありません。むしろ、よくおいで下さりました」


「そうですよ。父が忙しいのは、何も今に始まった事でもありませんから」



 彼女らの父親、つまりこのアムステ王国の国王であるリョースケイ=アムラー=アムステは、この国のアイドル事業のまとめ役をやっている為、世界一多忙な国王として有名らしい。


 要は、芸能事務所の社長だな。しかも、アイドルのプロデュースとか自分でもやっちゃうタイプらしく、リョースケイ王は王位に就いた瞬間から、国の運営を全て自分の子供達に丸投げしたのだと言うから驚きだ。


 つまり、今のアムステ王国の舵取りは目の前の彼女達がやっている訳である。そりゃ出迎えにも出てくるだろう。



「皆様からしたら、この国は風変わりかも知れません。私達も、確かに大変ではあるのですが、良い部分もあるのですよ?」


「私達皆で力を合わせる必要がありますから、私達はとても家族の仲が良いんです。皆で力を合わせて国を盛り立てていますからね」



 この家族の仲が良いと言うのは、この日の夕食会で証明された。


 彼女達には、他に三人の兄と二人の弟に一人の妹がいたのだが、夕食の席は和気あいあいとしており、王子や王女達はその明るいキャラクターで俺達を大いに盛り上げてくれた。



 特に第三王子のケイリオンにはアラムが随分と懐いていた。何やらドラゴンの話で意気投合したようだ。


 さらにケイリオンは俺のフレンドとなっている王子でもあるので、チャットも出来る。この調子なら、アラムとケイリオンはチャットを介して良い友達になれそうだ。



 そして夕食が終わり、俺達はアムステ王国が用意してくれた、宮殿内の部屋へと案内された。


 随分と立派な部屋を、個室で人数分用意して貰った事から考えても、俺達はこの国に随分と歓迎されているのが伝わって来た。


 明日は明日で、今度はケイリオンが案内役となって俺達を劇場に連れて行ってくれるそうだ。


 異世界にいるアイドルのコンサートかぁ。日本でもコンサートなんて行った経験が無いからな。結構楽しみだ。

面白い。応援したい。など思われましたら、下の☆☆☆☆☆から評価をお願い致します。


モチベーションが上がれば、続ける力になります! よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ