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545回目 ちょっと寄り道

 北の極龍『ディルアーク』の協力を取り付けて、ついでにそこでディルアークの花畑を管理していたマーモット達に癒されて、俺とアラムはディルアークの縄張りである雲の外に出た。


 再び出て来てアラムを背中に乗せているカイザー・ジュエルドラゴンのカイザーは、『ふ、ふんっ! ま、まぁまぁの迫力だったな…………!!』とか強がっていた。


 まぁコイツも、デカくは成れるけどもまだまだ生まれたての子供だからな。威勢のいい小学生とでも思えば可愛いもんだ。それに、北の極龍に無礼は働かなかった訳だし。…………ビビり散らかしていただけかも知れないが。



「お帰りなさいガモン! アラム!」



 雲の中から出て来た俺達を確認したのか、飛空艇『アベルカイン』で仲間達が迎えに来た。そして飛空艇の甲板へと降りると、ティアナとアレスが、俺とアラムに駆け寄って来た。



「ただいまティアナ、それに皆も」


「お帰りなさい。北の極龍との話は、上手くいったの?」


「ああ、割とすんなりと。南の極龍次第でもあるけど、協力してくれるそうだ」


「南の極龍の説得は、難しいって事?」


「いや、多分だけど大丈夫だと思う。南の極龍も、きっと協力してくれるさ」



 協力を取りつけられたとして、双極龍がどう手助けをしてくれるのかと言うと、流石はこの世界の守護者たる双極龍。俺がどうしようかと苦心していた部分を埋める提案をしてくれた。


 迫る『方舟』との戦いに向けて、俺が頭を悩ませていた問題、それは海を舞台とした際の足場についてである。


 いや、一応は考えていた。


 ☆5『鏡面の結界』。光を反射する物であれば、それが何であれ強力無比な『結界』としてしまうと言うアイテムだ。


 これを使って海そのものを強力な結界とし、そこを足場とすれば、『方舟』の魔王や幻獣とも戦えるんじゃないかと、そんな風に考えた事もあった。


 だが、これには大きな問題もある。


 ☆5『鏡面の結界』と言うアイテムは、両手を胸のあたりで組んで頭を垂れる、そんな神官の姿をした石像であり、それを光を反射する物に映り込む形で設置し、その効果範囲において必要なだけ魔力を注いで使うアイテムだったのだ。


 当然、結界とする物が大きければ大きい程に魔力は消費するし、それを越えて注ぐ魔力が大きい程に結界は頑強になる。


 …………要するに、『海』を丸々結界で覆うだけの魔力を用意できないのだ。


 そんな訳でこの方法は頓挫していたのだが、その事を聞いた北の極龍が、『それならば海の結界は我々で請け負おう』と言ってくれたのだ。世界の守護者たる『双極龍』ならば、海の全てを結界で覆い、さらに『方舟』から漏れ出た瘴気を海に閉じ込める事も、不可能ではないらしい。


 これにはもう、流石の一言だ。悩んでいた懸案の一つが片付きそうで助かった。



「って訳で南に向かうぞ! 『アベルカイン』を南に向けろ!」


「待ってガモン。南に行くのはいいんだけど、急いで行く理由は無いでしょ?」


「ん? …………うん。早いに越した事はないと思うけど、何かあったか?」


「『アムステ王国』から、ぜひともガモンに訪問して貰いたいって要請があるの」


「あぁ、そう言えば来てたな。忘れてた」



 芸能と芸術の国『アムステ王国』。かつてのJK勇者『アムラー』が女王として君臨した事がある国であり、今でも世界で唯一『アイドル』が活動している国である。


 色々と忙しくて行って無かったが、フレンド登録した者はちゃんといる国だ。俺もフレンドになった者が俺の所に来た際に色々と話を聞いて、一度は行ってみたいと思っていた国でもある。


 アイドル産業が好調なようで、娯楽の方にかけては世界一らしいからな。遊びに行くのも楽しそうだ。


 その『アムステ王国』から、戦闘そのものへの協力は難しいが、戦闘の手助けならばきっと協力が出来る。ともかく一度、国を訪れてその目で見てほしい。…………と言う要請があった。



「確か、歌と躍りでのバフをかけられるって話だったよな? あまり強力でもないけど、きっと助けになってみせる。とか言ってたヤツだ」


「うん。それでね、『アムステ王国』はここから南に向かう途中にあるから、一度そこに寄るのはどうかなって思ったのよ。北の極龍は協力的だったみたいだけど、それでも消耗はしているでしょ?」


「え? いや俺は…………」



 そう俺が言いかけた時にティアナが視線を向けたのは、アレス達家族と話しているアラムだった。アラムは笑顔で家族と話しているが、その顔には疲労の色があった。


 …………なるほど、これは俺の配慮が足りなかった。大人で割と場馴れしてきた俺と、竜騎士の才能があるとは言えどまだ子供であるアラムを一緒に考えてはいけなかった。そんな事は解っているつもりだったが、つもりなだけでまるで解って無かった。



「…………ありがとうティアナ、ちょっと焦ってたみたいだ」


「ちゃんと気遣ってあげてね?」


「うん。…………よし! じゃあちょっと、息抜きがてら寄り道していくか! 『アベルカイン』の進路を変えろ! 目的地は『アムステ王国』だ!!」



 こうして俺達は、芸能と芸術の国『アムステ王国』へと向かう事になった。俺はまだ行った事はないが、ずいぶんと賑やかな国だと聞いている。少し楽しみだ。

面白い。応援したい。など思われましたら、下の☆☆☆☆☆から評価をお願い致します。


モチベーションが上がれば、続ける力になります! よろしくお願いします。

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