539回目 ルカタルトからの招待状
この世界にある全ての国に、飛空艇を送った。
とは言っても、現状で準備出来ているのは小型飛空艇だけなので、送ったのは小型飛空艇のみである。
一応、国の大きさによって二隻から五隻の間で数を変えたりしている。仲間と相談しながら、国に応じて丁度良い数を考えた結果だ。
そして、小型飛空艇にはドール騎士をそれぞれ三体ずつ配置してある。彼らは飛空艇の操縦をするだけでなく、それを教える為の指導役や飛空艇の使い方などの監査も兼ねる。
空飛ぶ船が手に入ったからって、いきなり戦争行為とか他国への挑発行為とかされても困るからな。そんな事をしたら没収だと伝えてあるので、流石にしないとは思う。
自分で言うのも何だが、軍隊を持つ国家とは言え俺達を敵に回すのは余程のバカだと思う。飛空艇が自分の国にあったとして、こちらはそれを提供した本家本元である。戦力差はエグい。だってこちらは他国に提供できる程に持っているのだから。
まぁそれ以前に、☆5『◇天空城『レナスティア』』がある時点で無理ゲーである。各国には、是非とも賢い判断をして貰いたいものだ。
とにかく、まずはこの小型飛空艇で操作に慣れて貰い、中型と大型は国の規模や貢献度などを目安に、順次送る事になっている。が、それを躊躇うような事態にはならない事を祈る。
◇
「え? ルカタルトからの招待状?」
「はい。今回ルカタルト様のリストランテを利用したのは、『コーディネート大会』の優勝者達だったのですが、リストランテでの食事を終えた際に、ルカタルト様からガモン様への招待状を預かったとの事です」
そう言ってシエラが手渡してきたのは、やたら可愛いコックさんの絵が入った封筒だった。封筒に描かれたコックさんは、パンケーキでも焼いているのかフライパンを振るい、丸くて平たい物が宙に浮いている。ちなみに封蝋は、そのコックさんのデフォルメされた顔の印だった。
「ガモン様、封蝋を開けてもいいですか?」
「え? うん。別にいいけど」
俺の返事を聞いてシエラはペーパーナイフをライターで熱して、封蝋を壊さないように慎重に外すと、中の便箋を俺に手渡した。どうやら、料理神から送られた可愛い封筒と封蝋を取って置きたかったらしい。まぁ、気持ちは解らないでもない。
そして便箋を開くとシエラがチラッと中身を見てから離れて行った。どうやら便箋も可愛いかどうかを確認したらしい。これは普通に便箋です。
で、肝心な手紙の中身はと言うと。
「…………なるほど。神々を迎えての会食をする場所の準備が出来たんだってさ。で、本番の前に俺達に見せてくれるみたいだ。要は下見って言うかプレオープンだな」
「ああ、そのお誘いだったんですね」
「うん。しかも本番で出す料理も少し作ってくれる上に無料で招待してくれるって。これがその為のチケットだってさ」
なんとルカタルトは、俺が持つ☆5『料理神『ルカタルト』のリストランテ』とは別に、一度だけ使えるチケットを用意してくれていた。
使い方は同じみたいだが、こちらは一度限りの使いきりアイテムであるようだ。
「これは行ってみないとな。行くのはパーティーメンバー『と儂』でいいな。…………どこから現れたんだドゥルク」
俺がルカタルトの所に行くのをパーティーメンバーで決めようとした所で、幽霊状態のドゥルクが割り込んで来た。
『ウム。なにやらここに来た方が良いと直感が囁いたので来てみたのだが正解じゃったの。ルカタルトの所へ行くのならば、儂も連れて行け』
「いや、連れてくのは構わないけどさ。その直感、どうなってんだよ本当に…………」
と言う訳で、ルカタルトからの招待状には、俺とパーティーメンバーにドゥルクを加えたメンバーで行く事になった。
ルカタルトが神々を招待する為に用意した会場か。まず俺達に見せようとする事から考えても、よほどに自信のある仕上がりになっているのだろうな。楽しみだ。
そして、余裕を持って予約をしての当日。
俺は仲間達と共に正装に身を包み、ルカタルトの招待へと応じた。
「皆、準備はいいな?」
「はい。やって下さい」
俺の言葉にアレスが代表して答え、俺は『ルカタルトの招待状』を破った。
すると、破かれた招待状が光の粒子へと変わり、俺達を囲むように周囲を回り始めた。そして視界全体が光に包まれたかと思うと、俺達はルカタルトが用意したと言う会場に、…………いや、ルカタルトが用意した『世界』に、移動していたのだった。
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