537回目 フル稼働の造船所
☆5『闘神『ガルネシア』の闘技場』の使い方について話した後、俺は『天空城』に設置している☆5『飛空艇造船所』にやって来た。
ここで作業をしているのは『レナスティア』の機能で作られた『ドール騎士』達なのだが、彼らはとても良く働いてくれている。
今、彼らが造っているのは小型から中型の飛空艇だ。現在手掛けているのが中型飛空艇で、その向こうには二隻ほど小型飛空艇が見える。あれは後でレティアが『スキル倉庫』に収納するだろう。
この造船所は俺のスキル『ガチャ・マイスター』に登録してある拠点に設置して使うのだが、拠点に設置するパターンだと、一隻ずつしか造船する事ができない。
それ以外に、拠点ではない外に設置する方法もあるにはあるのだが、一度に四隻まで造船できるのと引き換えに、かなりのデメリットを持っている。
まあ改めてこのガチャアイテムを紹介すると以下の通りだ。
☆5『飛空艇造船所』
・飛空艇の製造に特化した造船所。小型から超大型まで造れる。拠点以外でも設置できるが、その場合はどの程度の大きさまで造れるかが、設置された場所の広さに比例する。
・拠点に設置した場合は大きさに関係なく、一度に造れるのは一つのみ。拠点以外に設置した場合は広さに応じて一度に最大四つまで造れるが、膨大な資金と人手が必要となる。
・拠点以外に設置した場合は移動も出来なくなる。
・製造された飛空艇は、自動修復装置が標準装備。
…………な? ヤバイだろ? 拠点以外に設置すると、その設置場所の広さに応じて最大四隻まで造船できるのだが、資金と人手が大量に必要となる上に一度設置したらもう移動も出来なくなるのだ。
そりゃ拠点設置のパターンでも人手と費用は掛かるのだが、『天空城』に設置したおかげで『レナスティア』のドール騎士が使えるし、費用も一隻分ずつなら許容範囲だ。
だが外に設置するパターンだと、エネルギー供給の問題があってドール騎士も使いづらいし、金も単純に四倍掛かる。それが結構キツイ。
しかもこれ、外に設置すると俺達じゃなくても使えてしまうのだ。となれば、造船所ごと奪われる可能性もある。だって移動も出来ないって事は『スキル倉庫』にも収納出来ないって事だしな。
そして、もっとヤバイのは破壊される可能性もあるって事だ。あくまで可能性だけどな。
と、それはともかくとして、俺は造船所の中を歩いて様子を見る。中型飛空艇を造船してるって事は、小型飛空艇は全て造り終わったのだろう。
小型の分は今日で全て終わると聞いていたから、俺の『スキル倉庫』の中には、ざっと千隻入っている筈だ。
そして、中型飛空艇も、現状で三百隻。中型は全部で四百隻造る予定だから、後百隻だ。さらにその後には大型飛空艇を五十隻造る予定になっている。
このためにドール騎士を大量に作って、交代制で二十四時間、造船所をフル稼働している。言っとくがちゃんと休みも設けている。ロボットとはいえ、休息は絶対に必要だからな。
『視察ですか、マスター』
「いや、視察って程の事じゃないよ。ちょっと様子を見に来ただけだ。造船は順調か? レティア」
『はい。各国から十分な金額の資金が集まりましたからね。造船は滞りなく進んでいます』
「資金集めが上手くいって良かったよ、本当に」
建造中の中型飛空艇の壁面に、とある国を示すシンボルと国名が印刷されている。小型飛空艇にはシンボルも国名も入れないが、大型と中型には入れる事にしているのだ。
そしてこれらの飛空艇は、造船するのに必要な費用を多く支払った順に建造を進めている。人手はドール騎士がいるから問題無かったのだが、材料などを集める資金がかなり必要だったのだ。
だから飛空艇を製造するにあたり、より多くの資金を投入してくれた国を優先する事にしたのだ。あくまで優先的に造るってだけで、結局は全ての国に飛空艇を提供はするつもりだ。だって空飛ぶ島になったら、飛空艇がないと移動も出来ないからな。
だが、その説明をしてなお、かなり多くの資金が集まった。集まり過ぎた。
もっと言うと、『レナスティア』にいる皆がダンジョンでの訓練にせいを出した結果、ダンジョンから取れる素材が大量に集まり、わざわざ造船所の機能を使って材料を買う必要が無くなってしまった。
だから余った資金はドール騎士を増やす目的に使った。おかげで休日も作っての交代制で、造船所をフル稼働させる事ができる様になったのだから、結果オーライである。
「レティア、操船の為のマニュアルは出来たか?」
『はい。既に指導役のドール騎士の教育も終わっています。そろそろ、小型飛空艇と共に各国に派遣しても良いかと思います』
「なら、その方向で進めてくれ。…………準備を始めてそろそろ一年になる。神々との会合も迫って来たし、陸地を空に上げる準備を始めよう」
戦いの時は近い。そして、その戦いの為に世界を変質させる日は更に近い。
各国には、早く飛空艇の扱いに慣れてほしいものだ。そのためにも、ドール騎士達には頑張って、飛空艇乗りを育てて貰おう。
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