527回目 リストランテに行く前に
仲間達と相談の結果、まずはパーティーメンバー(+ドゥルク)で一度使ってみる事になった。余計な幽霊が付いているが、子供みたいな駄々をこねたんだよあの幽霊。
そりゃぁもう全力で、床に転がり宙に浮かんでジタバタと、子孫であるカーネリアが耳まで真っ赤にして両手で顔を覆ってしゃがみ込むくらいに、凄まじい駄々を見せた。
もうアレですよ。その駄々がどうこうよりもカーネリアが可哀想になったんで同行を許しましたよ。駄々が通じるのは一度だけだと念書も書かせましたよ。
伝説の大魔導師の醜態は、流石にもう二度と見たくないのだ。
だがそうなると一つ問題がある。そう、マナーである。
ここでメンツを見て見よう。
・ティアナ。侯爵家のお嬢様はマナーも完璧。王族にもなったが、問題なく他国の王宮でも食事が出来る程に完璧。
・アレス。遥か下とはいえ王位継承権すら持っていた亡国の王族。子供の頃に亡命したが、アレマーが教養としてマナーは一通り教えている。
・シエラ。教会の治癒師として、貴族の家に招かれる事が多く、食事を振る舞われる事もあるためマナーも習得している。
・カーネリア。生粋のお嬢様なので何を言わんや。マナーは当然完璧である。
・ドゥルク。食い道楽の大魔導師はマナーについても完璧である。美味しい食事にはそれ相応の振る舞いが求められるのは当然と言うスタンス。
・千羽我聞。日本生まれの日本育ち、生粋の庶民はマナーもかじった程度。フォークの背にライスを乗せて食べちゃうぞ?
…………フォークの背にライスを乗せるのって、日本で一番最初に洋食にライスを提供したお店の主人が、勝手に作ったマナーで間違いなんだってさ。本当のマナーはフォークですくって食べるんだって。そりゃそうだよね、食べ難いもんね。
ちなみにこれを教えてくれたのはドゥルクです。ガチャ書籍の中に食事のマナーについて書かれた物があったんだってさ。地球の食事のマナーを、異世界の幽霊に習った時の俺の気持ちよ。限界までヘコまされたよね。
そんな訳で、まずは俺が一通りのマナーを学んぶ事になった。まさか本格的にテーブルマナーを学ぶ日が来るとは思わなかった。俺のマナーの知識なんて、用意された食器は外側から使う。くらいしか知らない。それがこっちの世界でも通用するのかも解らない。
なので、俺は言われた事を素直にやって見せるマシーンとなった。
俺もいい大人なので、慣れないマナーとは言え割と上手くいった。難しかったのはスープかな、音を立てずに流し込むってのが難しい。日本人だからか、何だか啜りたくなっちゃう。
そんなこんなでマナーを学んで二日。ずっと俺に付き合ってくれたティアナのおかげもあって、俺は全員から合格を貰える程にマナーを身につけた。
そして、ガチャ食材から様々な種類の食材を入手し、☆5『料理神『ルカタルト』のリストランテ』の裏に名前を書き込んで『予約』する。
その際に『費用と材料の負担』にチェックを入れておくと、目の前に大きな箱が現れた。どうやらこれは、食材を入れる為の箱であるらしい。当然の如く『アイテムボックス』であり、俺はそこに様々なガチャ食材と、費用となる白金貨などをぶち込んでいく。
「料理の神様が喜びそうな食材って何だろうな? 海ブドウとか?」
「うーーん。やっぱり、ガチャ食材でも珍しい物とか、料理のしがいがある物とかじゃない?」
「海ブドウとか?」
「好きなの? その海ブドウってやつ」
「いや、特には。なんか言葉の響きが好きなんだ、海ブドウ」
食べた事はあるけど、「ふーーん、こんなもんか」って感じだった。食感を楽しむ系の食材なんだよな。
まぁ、神様に渡す食材としては少しでいいかな。取り敢えず今回は、新鮮な魚介中心でいってみるか。俺達の分だけじゃなく、神様の分も入れるから多めに。
肉は無くてもマグロのブロックとかもあるからいいだろ。貝やカニとエビも入れて、かなり豪華な海鮮セットが出来上がった。
もちろん、料理に必要な調味料や料理酒も忘れない。あとは野菜も大量に入れておこう。
「よし、こんなもんかな?」
『ガモンよ、ついでにガチャ書籍の料理本も幾つか付けたらどうじゃ?』
「料理本? 失礼になるんじゃないか?」
『そうかの? 自分の知らない知識と言うのは面白いものじゃがのぅ』
「うーーん。…………まぁ、今回はやめておこう。ちょっと話してみて相手が欲しそうだったら、改めてプレゼントすればいいさ」
『それもそうじゃな』
費用と食材を入れ終わり、箱に蓋をすると『アイテムボックス』は溶けるように消えていった。これでルカタルトの元に費用と食材が届いた事だろう。
取り敢えずはこれで準備は終わりかな? あとは仲間と共に、リストランテに行くのを楽しみに待つとしよう。
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