517回目 ガチャアイテムの進化
「……………………フム」
「どうしたのガモン? 難しい顔をして」
朝食後のまったりとした時間に、少し考え事をしていた俺の所に、ティアナがお盆に乗せたお茶を持ってやって来た。
そしてテーブルにお茶を置くと、ソファーに座る俺の隣に座って、俺が先程から見ていた一枚のチケットを覗き込む。
「それって…………」
「うん。奈落との戦いの緊急クエスト報酬で貰った『☆5クラッシュレア・進化チケット』だな。どのアイテムを進化させるかを考えてた」
「クラッシュレアかぁ…………。全部凄いもんね。☆4のクラッシュレアも凄いし、☆5のアイテムも凄いのに、その上のヤツだもん」
「しかもコレ使えば、何をクラッシュレアにするか選べるって言うね。たださぁ、☆4のクラッシュレアの場合は、☆4にあるヤツが名前もそのままでパワーアップって感じなんだけど、☆5の場合は名前すら変わって性能も格段に…………桁違いに上がるみたいなんだよ、俺が思うに」
思えば『キャンピングカー』や『ランニングシューズ』は、クラッシュレアになると、☆4にあるヤツが見た目もそのままに性能だけ大幅にアップして出てきた。
だが、例えば『天空城『レナスティア』』なんてものが、☆5とは言え普通にあるとは思えない。多分クラッシュレアになる『元』はあるんだろうが、全く別のものだと思うのだ。
予想するには『街』もしくは『国』そのものって言うアイテムとか? 『◇キャンピングカー』の街版みたいなアイテムなら、☆5にもありそうな気がするのだ。それがクラッシュレアになって『天空城』になった、とかじゃないかと予想している。
つまり、性能は大きくアップするだろうが、全くの別物になる可能性が大きいのだ。迂闊に使えないよな?
「今のところ、最有力候補は☆5『神罰の鎖』なんだよ。今のままだと『方舟』を捕らえて封じるのは、ちょっと厳しいと思っていてな。でもクラッシュレアになれば多分余裕でいける」
「問題は、全く別の何かになった場合って事ね?」
「そうなんだよ。それが一番怖いんだ。いや、『方舟』を封じる事が出来るなら良いんだけどさ、それが出来なくなった時にどうしようか、ってな」
「うーーん。封印できても、戦えないってのも困るんじゃないかな? 落ちて来た『方舟』を完全に封じられても、それって結局は問題の先送りだものね。もしかしたら、『方舟』なら自力で封印を破るかも知れないし」
「…………それもあるな。マジでどうしよう」
ティアナと二人で少し考えたが、答えは出なかった。
そんな時はどうするか? 二人でダメなら三人、三人よりは四人と、考える頭を増やせばいい。
と言う訳で、俺はフレンドの中でも長い付き合いの者を天空城の中庭に出しっぱなしになっている『◇キャンピングカー』に集めた。付き合いの長さで選んだのは、その方が俺のガチャアイテムを良く見ているからだ。
メンバーは俺を始めとしたパーティー『G・マイスター』の五人と、バルタ。それにドゥルクと、スーパーバイザーとして女神ヴァティーとアルジャーノン。ガチャアイテム側として『キャンパー』と『レティア』も一緒である。
「…………と、言う訳で。何をクラッシュレアにしたら良いか、皆の意見を聞きたい」
「また難題を持って来たもんじゃのぅ。しかしガモンの言う通り、能力がそのままであれば『神罰の鎖』が一番良かったのぅ」
顎髭を撫でながら言うドゥルクに、バルタも同意した。
「そうでやすね。『方舟』を破壊するにも、魔王と幻獣を倒すにも、やれるなら鎖で雁字搦めにして端から削りたい所でやすからね」
「一番怖いのは『方舟』から全ての魔王と幻獣が降りて来る事でしょうか」
「多分それは無いわよシエラ。『方舟』自体を護る必要性も考えたら、それは幻獣の役割でしょ? 自分達が暴れる為に『方舟』を無防備にはできないわよ」
カーネリアの言葉は間違いではないだろう。アルジャーノンと女神ヴァティーも同じ様に予想をしていたので、俺もそれを支持する。
しかしそれはそれとして、今は進化させるガチャアイテムの事だ。いやはや本当に、どうしたもんだろ?
「☆5『技巧神の大工房』を進化させる。…………という手もありますね」
「フム。じゃがやはり、何に変わるかが解らないと言うのが問題じゃな。だが、もしそれを越える事が出来たならば、その上位互換は☆5のガチャアイテムすら作れるじゃろうな」
なるほど、それは夢が膨らむな。だが実際にはどうなるか解らない。確証もなく使うには、やはりとんでもない覚悟が必要になるよな『☆5クラッシュレア・進化チケット』ってやつは。
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