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512回目 ☆5『モンスター・チェス』

 ここ数ヶ月間。ドゥルクは度々、飛空艇製造の合間に作られた小型飛空艇『リトルシリーズ』の『ホエール』タイプに乗って、様々なダンジョンへと行っていた。


 目的はアリアが気に入っている☆5『モンスター・チェス』にモンスターを登録する事であり、ドゥルクとアリア以外には、トレマとイオスの双子がついて行っている。


 アレスの妹であるアリアと、バルタの妹である双子は妙に仲がよく、三人で街に買い物に行ったりしている姿はたまに見掛けていた。おそらく今回も、アリアがダンジョンに行くと聞いたトレマとイオスが、アリアについて行く事にしたのだろう。


 ちなみに、アレスは妹に友達ができた事を素直に喜び、バルタは妹達に友達ができた事を号泣しながら喜んでいた。


 完全に泣き上戸と化したバルタの酒に付き合うのは、中々大変だった。一緒に酒好きのドワーフ達も連れて『レナスティアの街』に設置した居酒屋に行ったのだが、ドワーフ達は自分達が知らない酒とつまみに大興奮で宴会を始め、バルタの相手は結局のところ俺ひとりでしていたのは、余談である。


 ともかく、アリアを中心としたこのパーティーは小型飛空艇で飛び回りながら様々なダンジョンに挑み、そこで倒したモンスターを『モンスター・チェス』に登録していったのだ。



「意外と言うか、アリア嬢ちゃんの拘りが強くてのぅ。嬢ちゃんが言う条件に該当するモンスターを見つけて『モンスター・チェス』に登録するのは、中々に骨が折れたわい」


「同じ狼種でも、『もう一段階進化したヤツがいい』とか『属性はこっちがいい』とか、果ては細かいスキルの有無まで気にしてたもんね」


「コボルトのダンジョンで、何千匹のコボルトを仕留めたか分からないよね。毛皮の色合いまで言い出した時は引っ叩こうかと思ったよね」


「うぅーー、ゴメンね。でも色合いも大事なんだよ? 地形によっては隠れられるから…………」



 ドゥルク達はアリアに結構振り回されたらしい。でも、コボルトを何千匹も狩ったと言うなら、結局はアリアの希望を聞いてやったのだろう。


 と、俺達はそんなドゥルク達の苦労話をパーティー全員で聞いていた。


 場所は天空城の訓練所に近い一室であり、俺達はその場にドゥルクから呼び出されたのだ。



「…………うん。まぁ大変だったのは解ったけど、俺達を集めた理由は何だ?」


「フム? 何となく察しがつくかと思っておったが、解らんかの?」


「…………いや、何となく想像はつくが、『本気か?』って言う心境だ」


「ならば答えよう。本気も本気、大真面目じゃよ。アリアと☆5『モンスター・チェス』には、それ程のポテンシャルがある」


「…………それは、ちょっと俺達をナメ過ぎじゃないか?」



 訓練所に程近い部屋に呼び出されたんだ、ドゥルクの目的が俺達との模擬戦である事は察しがついた。だが、今のドゥルクの物言いはドゥルク達と俺達の模擬戦ではなく、アリアと俺達の模擬戦という言い方だった。


 いくら☆5アイテムを使うとは言え、アリア一人に俺達が負ける事は無いだろう。ドゥルクにだって、そんな事は解っている筈だ。



「勘違いするでない。アリアの嬢ちゃん一人ではお主らに勝てない事くらい承知の上じゃわい。じゃがこれは模擬戦じゃからな。敵の想定に近い実力者と戦ってこそのものじゃろ?」


「敵の想定? アリアを何と戦わせる気だ」


「『幻獣』じゃよ。『方舟』との戦いのな」



 アリアを『方舟』の幻獣と戦わせる? 何を言っているんだ? この爺さんは。



「論より証拠じゃな。ガモンよ、騙されたと思って一度戦ってみぃ。アリアの持っておる『モンスター・チェス』は、かなりとんでもないアイテムじゃぞ?」


「そこまでか? …………☆5とは言え、『モンスター・チェス』がねぇ」



 ここで俺は、☆5『モンスター・チェス』の能力を思い出してみた。



 ☆5『モンスター・チェス』

 ・チェスの駒とプレイ盤のセット。チェスの駒はそれぞれモンスターを『召喚獣』として登録でき、チェス盤は敵を駒として認識させる事で、ルールに則ってその動きや性質を縛る事が出来る。

 ・チェスの駒には、それぞれ『マスターピース』があり、その『マスターピース』にモンスターの魔石を登録する事でその種類の駒が全て登録モンスターの駒に変化する。

 ・登録できるモンスターは白の駒六種、黒の駒六種の計十二種。一度登録した駒でもモンスターの変更は可能だが、その場合は全てをリセットする必要がある。

 ・駒の希少性と登録できるモンスターの強さは比例する。



 …………なるほど、これは確かに厄介ではある。この中で一番の問題は、『敵を駒として認識させる事で、ルールに則ってその動きや性質を縛る事が出来る』という、この一文だな。



「よし解った。アリア、俺達と模擬戦をしよう。お前の手に入れた新しい力を、俺達に見せてみろ!!」


「はい!!」



 アリアの持つ☆5『モンスター・チェス』に興味を持った俺は、とにかく一度、模擬戦をやってみる事にした。

面白い。応援したい。など思われましたら、下の☆☆☆☆☆から評価をお願い致します。


モチベーションが上がれば、続ける力になります! よろしくお願いします。

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