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504回目 ティアナとのんびり

「(ポリポリ…………)あ、美味いなこれ。初めて食べたけど、こんなのあったんだなぁーー」



 あんまりにも色々あって疲れたので、癒しを求めた俺は天空城の一室を和室にした。


 畳敷きの部屋に漆喰の壁に障子もある、本格的な和室だ。ちょっと凝り過ぎて、空いた障子の向こうには縁側とその向こうに日本庭園があり、竹で出来たシシオドシが水を受けて跳ね上がり『コォーーン』と小気味良い音を立てている。


 俺はその音を聞きながら、漬物をお茶請けにして緑茶を楽しんでいた。


 今日のお茶請けは、『ナスのもち米漬け』である。


 俺も『食品ガチャ』から出て来た物で、俺も初めて食べたんだけど、これが中々に美味しい。もち米で漬物って漬けれるんだ、と新しい発見があった。


 ちなみに近くに浮いている『レティア』によると、これは秋田県の名物らしい。秋田の名物ってキリタンポくらいしか知らなかったけど、これは好みかも。


 ちなみにレティアからは『いぶりがっこ』と言うタクアンの燻製みたいなのも出されましたが、こっちはイマイチ俺には合いませんでした。



「あーー……………………。癒されるなぁ。日本人はやっぱり和室だなぁ…………」


「この畳って言うの、ガモンはお気に入りよね。私も嫌いじゃありませんけど」


「日本の文化だし、俺の実家にも畳の部屋はあったからな。そもそも日本人は、家では靴を脱ぐのが習慣だから、床はこういう柔らかいのが良いんだよ」



 日本の文化に慣れていないのに、俺に付き合って和室で寛いでくれるティアナが優しい。俺は座布団に胡座をかいて座っているが、ティアナはそうはいかない。


 かと言って慣れていないと正座も辛いので、『スキル倉庫』から『座椅子』を出してあげた。ティアナだって冒険者として依頼を受けたりしていたので床に座る経験くらいはあるから、これで大丈夫だ。


 別に『人をダメにするクッション』とかも出せたのだが、今回は雰囲気作りを大切にしたかったので、座椅子で勘弁して貰おう。


 なんせ服装だって浴衣にしているんだからな。濃紺の地味な浴衣を着る俺に対して、ティアナのは薄い青に花柄の柔らかい華やかさを持つ浴衣を着ている。



「ティアナ、お茶のお代わりはいるか?」


「はい。頂きます」



 俺は炭火を入れた七輪の上に掛けていた『鉄瓶』から茶葉を入れた『急須』にお湯を注ぎ、少し待ってから湯飲みにお茶を注いだ。


 もうお代わりはしないと思うが、何となく鉄瓶に水を入れて、また七輪の上に置いた。



「レティアも飲めればいいんだけどな」


『気持ちだけ頂いておきます』



 俺は今度は『べったら漬け』をポリポリやりながらお茶を飲む。いやーー、平和。平和だわーー。


 いずれ落ちてくる『方舟』と言う脅威はあるが、魔王が消え、全体で『方舟』との戦いに向けて協力している今の世界は、平和そのものである。


 各国には様々な思惑もあるし、これを機に王位の簒奪を企む者もいるにはいたが、☆4『導きの龍水晶・改』を使って選別され、俺のフレンドとなった騎士が各国にいる現在、兵を起こすのはただの悪手である。


 だって俺のフレンドとなった彼らは、☆5『技巧神の大工房』での量産品とは言え、☆4のガチャ装備を身に付けているのである。


 そんな彼らのいる所で兵を起こそうってのは、ただの自殺志願者だ。あっと言う間に制圧されて終わりだろう。


 実際に各国も、今は忙しいのだ。こんな時に兵を起こすようなバカ相手に遠慮なんかしない。とことんまて磨り潰して終わりである。


 そんな事よりも各国は、ガモンに自らの国の有用性を示す事に必死だ。彼らの目的は一つ、『飛空艇』である。


 この数ヶ月の間には会議をして説明をしてと、『方舟』の脅威についての話を各国に散々してきた。


 敵は宇宙空間の巨大な船。いずれは落ちてくるそれと、その中にいる『幻獣』や『魔王』を全て倒さなければ、この世界に未来は無い。


 そしてレティアが、『方舟』が落ちて来た想定で作ったシミュレーション映像を見て、この星の上に逃げ場が無いと、各国も判断をした。


 と同時に、全ての陸地と海の生物を空に上げて、海上を戦場とするガモンの奇想天外な案に代わる物が、どの国にも用意できない事もわかった。どこに落としても、被害がでかすぎるのだ。


 ガモンの案ならば、全ての陸地は空にある上に、戦闘中は星の裏側に逃がすと言うのだから、戦えない者達の生存率も高いだろう。


 どうしたって、国は民で成り立っているのだ。民を多く失っては国が滅びる。


 だから陸地を空に上げると言う案は、どの国も受け入れた。出来る出来ないは別として。いや、神々が関わっているのだから、高い確率でそうなると見越した。


 そしてそうなった場合、絶対に必要な物が『飛空艇』なのだ。ガモンは心配しなくても全ての国に与えると言っているが、それでも早く手に入れて安心したいのが、人情と言う物である。

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