表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/606

5回目 スキルの検証

 カラーズカ侯爵の元から部屋へと戻ると、使用人の方々が食事を準備してくれた。


 出てきた料理は、肉と野菜がタップリのスープとポテトサラダ、そして黒パンだった。


 これ知ってる。黒パンがめっちゃ硬くて、スープでふやかして食べるヤツだ。などと思いながら黒パンを手に取ったのだが、意外と柔らかく、なんかちょっと酸っぱい感じのする味だったが、わりと美味しかった。


 スープは、茄子っぽいのとキャベツっぽい野菜が入っており、肉は豚に近い生物の肉だろう。多少臭みがあり、昔食べた猪肉を思い出した。味付けは塩と香辛料が少し。香辛料が貴重っぽいのはイメージ通りだ。


 後はポテトサラダなのだが、ネットリとした甘い芋で、ジャガイモとは違うようだ。かと言ってさつま芋とも違う未知の芋だ。美味いけど。キュウリっぽいのも入ってるが、これも甘味があった。漬物にしたら美味い気がする。


 って言うかコレ、マヨネーズでは無いけど、マヨネーズっぽい何かが使われているな。オリーブオイルか何かのようだが、俺の舌はそこまで高性能では無いので解らない。まあ、美味ければ何でもいいのだ。


 しかし、こうして物を食ってみると、本当に異世界に来たのだと実感が湧いてきた。



「まあとにかく。飯を食って少し落ち着いたし、やることやっとくか」



 俺が今一番やらなくてはいけない事。お待たせしました、スキルの検証のお時間です。


 俺はベッドに座ると、前方に手を伸ばしてスキルの名を叫んだ。



「『ガチャ・マイスター』オープン!!」



 まあ、こんな事を声に出して言う必要は無いし、言い終わる前にステータス・ウィンドウよろしく画面が出てはいたが、雰囲気って大切である。



「うーーん。ソシャゲのゲーム画面だよなぁ、やっぱり」



 俺の前に現れたウィンドウには、何やら街の地図のような物とその周囲にいくつかのアイコンが出ていた。


 しかしその半分以上は表示が暗くなっており、街にある店には鎖が巻かれている物もあった。つまりは選べないと言う事だ。


 選べる物と言えば、まずは街にある民家のような家。画面右側にある人のようなシルエット。同じく右にある倉庫のようなアイコン。画面の下にあるカプセルトイ・マシーンのようなアイコン。そして一番右下にあるメニューアイコンだ。


 まあ、一つずつ見ていきますか。と、俺はまず画面右側の人のシルエットをタップした。…………うん。何となく予想していたが、これは『フレンド』のアイコンらしい。


 それは、アイコンをタップして切り替わった画面出て来た簡単な説明文に書いてあった。


 それによると、フレンドは最大100人まで登録できるらしく、フレンド1人につき、十ポイントの『フレンドポイント』なる物が毎日付与されるらしい。


 このフレンドポイントは、百ポイントで『フレンドガチャ』を1回まわせる。つまり100人のフレンドがいれば、毎日10連ガチャを回せるのだ。友達100人できるかな!!


 そして更に、フレンドとなった相手とはチャットが出来るらしい。マジかよ。これって結構ヤバイ情報なんじゃないの? この世界の通信設備がどうなっているのか知らないけど、今の所は電話なんかが有るようには見えない。このフレンドとの通信機能があるってだけで国に拘束されかねない気がするぞ?



「……………………よし、黙っておこう」



 どうせ明日の朝にはここを出るのだ。カラーズカ侯爵は良い人そうだったが、流石にこれを話すのはマズイ気がする。


 それに一番最初のフレンドが、厳ついオッサンってのはどうよ? 綺麗な女性とまでは言わないが、もうちょっとこう、友達になれそうな人が良い。まあ、保留だな。


 次に倉庫…………は別にいいかな? どうせ駄菓子と木の棒とランニングシューズしか入ってないし。


 と言う訳で、倉庫は飛ばして民家のような建物をタップしてみた。すると画面が切り替わって、薄暗い照明のバーのような店内が映し出された。


 丸椅子がいくつか並んでいるバーカウンターの向こう側には顎髭を蓄えたナイスミドルなマスターが、白い布でグラスを磨いていた。



『いらっしゃい。初めて見る顔だね。『マイスター・バー』へようこそ』


「おおぅ、話しかけて来た…………」


『ここはクエストの受注とその報告、あとは有益な情報を売買する場所だ。今日は、何にするんだい?』


「クエスト?」



 クエストなんて物があるのか? 本当にゲームみたいだな。このスキルの中で何かこなして行くのかな?


 そんな風に考えて首を傾げる中で、画面には幾つかの選択肢が現れた。クエストの受注・クエストの報告・情報検索・情報買取りの四つだ。俺は取り敢えず、クエストの受注を選択してみた。



『今あるクエストは、こんな感じだな』



 そのマスターの言葉と共に幾つかのクエストが並んだ。その中には『ガチャを○回まわす』や、『フレンドを○人登録する』という物があり、それぞれの報酬には『ガチャストーン』や『確定チケット』というソシャゲではお馴染みのアイテムが並んでいた。


 ちなみに、『ガチャを10回まわす』や『ガチャアイテムを装備する』といったクエストはクリアしてあったので報告しておいた。報酬は『ギフトボックス』に送られるそうである。


 …………それはそうとして、それらのクエストとは別の列に並ぶクエストに、俺はとんでもない物を見つけた。『ストーリークエスト』と書かれた列に並ぶクエストは、ほとんどが伏せ字になっていたが、その一番上にある物だけが解放されていたのだ。


 そこには、『テルゲン王国を出国する』という、非常にタイムリーに過ぎるクエストが異彩を放っていた。

面白い。応援したい。など思われましたら、評価をお願い致します。


モチベーションが上がれば、続ける力になります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ