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480回目 飛空艇・四番艦~七番艦

 ☆5『◇天空城『レナスティア』』から、七隻の飛空艇が飛び立って行った。


 一番艦『アベルカイン』、二番艦『ブレイブレイド』、三番艦『クラスマジック』。これらは既に活躍していた飛空艇であり、今回は一度は攻略されたダンジョンへと向かう。奈落によってバラ蒔かれた『郷愁の禍津像』の反応が、それらのダンジョンにあったからだ。


 そして、その三隻の後に新たに建造された五隻の飛空艇。八番艦を除く四隻は、それぞれ未攻略のダンジョンへと飛んでいく。それらは、ダンジョンのある場所が特殊過ぎて、簡単には行けない場所にあるダンジョン達だ。


 それを、その場に向かった飛空艇と合わせて紹介しよう。


 まずは四番艦『ディザイア』。


 この艦は他国へと威厳を示す事をコンセプトとして建造された飛空艇で、現在ある飛空艇の中では最も荘厳に造られている。白い本体に紫色の模様が走り、大砲などの物騒な物は外からは見えない様に、壁面に収納される形で隠されている。


 だが、それは攻撃力が低い事にはならない。『ディザイア』には、対空用の『魚雷』が積まれているのだ。


 対空用の『魚雷』というのがどういう物かと言うと、これは追尾型のミサイルに該当する。


 まず相手をロックオンし、『ディザイア』の甲板から真上に発射される。真上に撃ち上げられた魚雷は上空で角度を変え、ロックオンした敵を追尾して真上から襲い掛かり、爆発するのだ。


 空を飛ぶモンスターは、真上からの攻撃に弱い。この魚雷で真上から撃ち込むならば、ドラゴンですら一撃で倒せる可能性すらあるのだ。


 そんなディザイアが向かったのはワイバーンの住む岩山だ。理由は当然、そこに『郷愁の禍津像』のあるダンジョンが有るからだ。


 その岩山には、とても強力な(つがい)のワイバーンが住むのだが、それが過去の話になるのはもう少しだけ先の話である。


 次に、五番艦『エターナル』。


 この飛空艇は長距離移動と、輸送に特化した飛空艇だ。そのため機体は大きく、ややずんぐりとした見た目をしている。


 多少の武装はしているものの、あまり戦闘向きではない。ただ、防御力に関しては高く、そう簡単には破壊される事はない。


 ちなみに今、エターナルは海の上にその機体を浮かべて待機中である。


 エターナルに乗り込んでいたのは人魚族であり、彼らの目的は海の底にあるダンジョンである。


 海の底とは言ってもそれほど深い訳ではないが、そこはやはり海の中、探索をするのならば人魚族が最適だと言う判断である。


 待機中のエターナルは、飛空艇など見た事がない大型の魚型モンスターや、海獣が寄ってきてその機体を噛るが、それらの歯では薄っすらとしたキズしか付かず、それも自己修復ですぐに消えてしまうため、その内に何も寄り付かなくなった。海の上は、とても平和だ。


 所変わって、ここは雲よりも高い断崖の上に生い茂る森。その森は深く走る亀裂によって幾つにも分断されており、亀裂の中は雲が立ち込めて何も見えない。


 そんな正に秘境と呼べる場所を飛ぶ飛空艇が一隻。六番艦『フェアリーリング』だ。


 フェアリーリングはその名もそうだが、見た目もまた中々に幻想的で特殊な形状をしていた。


 機体は細長い緑色の竜のようであり、その竜の前後を二つのリングが囲んでゆっくりと回っている。リングの外側には薄いが光沢のある羽根が六枚ずつあり、リングに合わせて回りながら、フェアリーリングは飛行していた。


 フェアリーリングの性能は探索特化。その特殊な形状は全方位を常にサーチしており、非常に強力なステルス機能も搭載している。結構な魔力を使うので常時使う事は出来ないが、周囲に溶け込むように姿を消す事も可能なのである。


 そうして森の中を進むフェアリーリングは、ある三叉路のように割れた亀裂にスルリと入り込んだ。この場所に『郷愁の禍津像』があるダンジョンを発見したが故だ。


 深い亀裂の中で雲に入って行ったフェアリーリングはその視界を完全に塞がれたが、操縦するドール騎士に躊躇いも焦りも無い。レーダーやらの計器を見ていれば、肉眼で見える視界など、フェアリーリングには全く関係ないのだ。


 そして最後に残ったのが七番艦『ギャンビット』。


 ギャンビットは岩の様にゴツゴツした武骨な飛空艇で、その一番の特徴は船首にある巨大な杭だろう。


 これは船で言う所の『ラム』である。一見すると鋭角なランスを幾つか重ねた様に見えるそれは、実は発射できる。


 魔力を込め、高速で回転させて、途轍もなく高い貫通力を持ったキャノンとして、例えそれが鉄鉱石の鉱山であろうと貫く力を持っているのだ。


 その加減が出来ない高過ぎる貫通力と、一度使ったら暫くは使えなくなると言う欠点はあるが、途轍もなく強力な武器であることは疑いようもなく、発射しなくても高速で回転するラムはそれだけでも驚異になりうる。


 今回も高速で回転するラムをドリル代わりに使う事で岩山を削り、その中に埋まっていたダンジョンを掘り起こした。


 この岩山に眠っていたダンジョンにも、『郷愁の禍津像』の反応が当然あり、このダンジョンにはガチャ装備に身を包んだドワーフ達が挑んでいった。



 ◇



 七隻の飛空艇がそれぞれのダンジョンへと向かい、その攻略に入った報告を、ティアナは天空城の作戦室とした部屋で受けていた。


 大魔王となった奈落の妨害で、我聞からの『フレンド・チャット』をやり取りできるのは『トゥルー・フレンド』だけなので、ティアナはここで☆5『星読みの占い盤』を前置きながら、全体の指揮を取っていた。



「ガモン、無事でいて…………。皆、頑張って…………」



 ティアナの祈る様な呟きを、その側に浮かぶレティアだけが聞いていた。

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