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478回目 ティアナ達の戦い

 我聞達が『大魔王』となった奈落を相手に逃げ回っている頃、ティアナ達は奈落が残していった眷族を相手に戦っていた。



『ヴヴ…………、ヴァアアア…………!!』


「なっ!? 気をつけろ! コイツら魔法も使って来るぞ!!」


「くそっ! 眷族なのにやけに硬いな! 人間部分が強いからか!!」



 奈落の残していった『魔王・ヒト』の眷族は、本来であれば簡単に倒せる魔王の眷族とは違い、かなりの強敵となっていた。


 それは、眷族が憑依している部分である『聖エタルシス教会』の信者達の肉体が強いからに他ならない。


 教会を護る聖騎士たちは武力に優れ、枢機卿にまで登り詰めた者は魔法に長ける。さらにスキルもそのまま残されている為に、かなり厄介な敵となっていた。



『ヴグググ…………。ガァアアアアッ!!』


「くっ!? コイツら、身体能力も格段に上がってやがる!!」



 騎士の一人が戦っているのは信者の女性だ。見る限り普通の主婦だったようだが、眷族ゾンビと化した事で強くなり、騎士を相手に長くなった爪で応戦している。


 これが普通のバフならば、一般人に掛けられた所で騎士の力には及ばない。いや、少々上回られたとしても、経験と技術の差で 騎士が勝つ。


 だが、眷族ゾンビは筋肉や間接の限界を超越して『壊れても良い』くらいの動きで攻撃をしてくる。相手が眷族ゾンビであるが故に、向こうは相討ちでも構わないのだ。既に死んでいるのだから。


 流石にそんなリミッターが外れた相手では、騎士の方が押し負ける。救いがあるとすれば、眷族ゾンビに対して味方の方が多い事だ。騎士数名で挑むならば、時間は掛かるが、眷族ゾンビをこちらの犠牲無く倒す事が出来るのだ。


 そんな中において、眷族ゾンビを容易に倒す者達もいる。我聞の仲間であり、☆4以上のガチャ装備を身に付けている者達と、邪眼族の戦士達だ。


 やはり何と言っても、ガチャ装備は性能が高い。それに『ノーバスナイト』の四人や、『メガリス』の三人はガチャ書籍でステータスの底上げも行っているのだ。弱い筈がない。


 この二つのパーティーはよく連携も取り、危なげなく眷族ゾンビ達を倒していく。


 さらに邪眼族の戦士達に至っては、基礎能力が人間に比べて尋常じゃなく高い。そのため、バフが掛かっていようがお構い無しに敵を吹っ飛ばしていく。


 その様は歴戦の騎士達が呆気にとられる程であり、その強さは『一騎当千』と言っても差し支えなかった。


 そして、我聞の仲間達と奈落の眷族ゾンビとの戦いが続く一角では、ティアナとそれを護りながら戦う騎士団の姿があった。


 ティアナを護衛する騎士団は、アレスの恋人であるフラウスが率いる女性騎士団、フラウス騎士団である。



「!! チャットが来たわ! フラウス!」


「はい! 私の所にも来ました! お前達、しばらく私とお嬢様に敵を近づけるな!!」


「「ハッ!!」」



 ティアナはもちろんフラウスもまた、我聞と『トゥルー・フレンド』になっている一人であるため、闇の結界に囚われている我聞達からのチャットが届く立場にいる。


 そしてチャットを開けば、送り主はアレスであり、現在、我聞達が置かれている状況とその勝利条件が記載されていた。


 我聞達がいるのは西の大陸、戦っているのは西の魔王の集合体と、多くの『郷愁の禍津像』を身に宿した奈落が融合した『大魔王』。それも、『郷愁の禍津像』はほとんど全てが『特別な眷族』となった上で一つの身体として繋がっている化物だと言う。



「これは…………、こんな事が可能なのですか?」


「可能なのでしょうね。実際にガモン達が戦っているのだから」



 不死の存在である『魔王』を鎧とした『特別な眷族』の集合体。これを倒すのは難しい。一番良いのはこれらを支配下に置いている奈落を討伐する事なのだが、奈落は『大魔王』の体内に隠されており、その奈落自身が体内に『郷愁の禍津像』を隠し持った魔王でもある。


 それをピンポイントで穿ち一撃で滅ぼすと言うのは難しい。現状では絶対に不可能と言えるだろう。



『やっと回線が繋がりましたので、私も会話に加わらせて頂きます』



 と、ここで会話に入って来る者がいた。小さなキューブとしてティアナに付いていた『レティア』である。



「レティア? どうしたの?」


『はい、マスターに付いている私との回線構築に苦労していたのですが、ようやく繋がりました。ですので『フレンド・チャット』及び☆3『薄型テレビ』にその映像を投影する事が出来ます、取り敢えず『フレンド・チャット』に投影いたしますね』



 そう言ってレティアが映し出した映像は、禍々しい巨大な悪魔に追い回される我聞の姿であり、『大魔王』が我聞を追うのを妨害するように遠距離攻撃を放っては離脱する仲間達の姿だった。



「こ、これは…………! か、勝てるのですか? この異形の存在に…………!?」


「勝てるかじゃないわ、勝つのよ! その為には、『特別な眷族』となって消失した『郷愁の禍津像』を、見つけ出して破壊する必要があるわ! まずはここにいる『魔王ナラク』の眷族達を全員倒さないといけないわね! レティア! 『ドール騎士』を投入しなさい!!」


『了解しました』



 天空城、及び飛空艇から投入された数多くのドール騎士は、それぞれが☆3以上のガチャ装備を身に付けており、その大戦力が投入された事によって、勝敗は一気に決した。


 眷族ゾンビとされていた信者達もただの死体に戻り、その遺体は一ヶ所に集められて、街にいたお陰で眷族ゾンビになるのを免れた『聖エタルシス教会』の信者達によって、荼毘に付されたのだった。

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