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476回目 大魔王・降臨

 荒野に投げ出された身体を起こし、周囲を見渡すと、そこにはアレス・シエラ・カーネリア・バルタの四人がいた。


 俺はすぐに『フレンド・チャット』を起動し、ティアナにチャットを送った。



 ◇ガモン

 《無事か?》


 ◇ティアナ

 《戦いになってるけど無事、でもナラクの姿が消えた。そっちは大丈夫?》


 ◇ガモン

 《一応は無事だ。アレス達も来ている》


 ◇ティアナ

 《私もすぐにそっちに行く》



 ティアナは、『トゥルー・フレンド』だけが使えるアイテム『絆の証』を使ってコチラに来ようとしたが、俺はそれを止めた。むしろ向こうにいてくれた方が都合が良さそうだったからだ。


 何せ『フレンド・チャット』が、『トゥルー・フレンド』以外に使えなくなっている。ここが何処だか知らないが、距離が離れたから使えなくなった訳ではないだろう。


 ジャミング的に妨害されていると言うなら、むしろ『トゥルー・フレンド』と連絡が付くのは強みだ。



「ガモン殿、大丈夫ですか?」


「ああ、大丈夫だ。それと、ティアナとは連絡がついたぞ。何故か『トゥルー・フレンド』以外とはチャットも出来ないけどな」


「お嬢と連絡がついたんなら十分でさぁ。こっちも、それ所じゃなさそうでやすしね」



 そう、バルタの言う通りだ。今、俺達がいる荒野には、とんでもない物が浮かんでいる。それは言うなれば『闇の塊』だ。真っ黒な玉のような巨大な物体が、荒野に浮かんでいる。


 しかも、その訳の解らない物体からは、『魔王の気配』まで感じるのだ。



「って言うかここは何処だ? まだ昼前だったよな? ここは、どう見ても朝方なんだが? 時差で考えると、かなり飛ばされているよな?」


「ええ、あっしとしては、あの山に見覚えがありやすぜ。あっしの記憶が確かだとするならば、ここは西の大陸でさぁ」


「西の大陸!?」



 俺は頭の中に、うろ覚えだがこの世界の地図を思い浮かべた。この世界の大陸は、わりと纏まっている様に見えた筈だが、それでも結構な開きがあった筈だ。


 夕方から朝になったと考えるなら、日本からだとユーラシア大陸の西の方まで行っちゃうんじゃないか? だとしたら、簡単には戻れないな。時間が掛かる。


 ティアナが向こうに残っているから、俺とアレスにバルタはすぐに戻れる。『絆の証』を使えば、それこそ一瞬で移動出来る。だが、シエラとカーネリアは『絆の証』を持っていないのだ。


 まぁ『拠点ポータル』を使おうって話な訳だが…………。



『どうだ、凄いだろう? あれが何か解るか?』



 俺達が仲間の無事やこの場所について調べていると、『闇の塊』の側に、いつの間にか奈落が現れていた。


 そして奈落は、嫌な笑顔を浮かべて巨大な『闇の塊』を指差して問い掛けてきた。



「…………魔王だろ? あれが何の魔王だかは知らないけどな」


『ああそうだ。魔王には違いない。実はお前のおかげなんだよガモン。あれを作れたのは!』


「どういう意味だ」


『俺は気づいて無かった。神々の眼を『深淵の闇』で誤魔化せる事は知っていたが、まさか『魔王』が『影』だとは思っていなかった。『郷愁の禍津像』も持ってはいたが、『魔王の本体』だとは知らなかった。そこにいるシエラがドートニーに送った報告書を見るまで、考えもしなかった。破壊するにも、リスクを考えてしまっていたからな』



 報告書の話が出て、シエラが顔をしかめた。情報が最悪の奴に流れたのだから、それを気にしているのだろうが、報告する事については俺も聞いていたし納得もしている。ドートニー枢機卿は恐らく重要な部分は秘匿していたのだろうし、これは相手が悪かっただけだ。



『本体が手元にあり、魔王は『影』。となれば、俺は『影』である『魔王』は操れると考えた。そしてそれは正しかった。まぁ、実験には時間も掛かったがな。幸いモルモットは幾らでもいた』



 その『モルモット』が示す物は、おそらくは『信者』だろう。平然と語るその言葉にも態度にも、相変わらず罪悪感は滲みもしない。


 …………いや待て! そこじゃない!! 今コイツは、『魔王』を操れると言ったのか? それじゃあ、あの『闇の塊』は…………!?



『気づいたか? そう、あれは魔王の集合体だ。この大陸の全ての魔王を集めるのは大変だったぞ? 手駒を幾つも失った。まあ、こうなっては要らない駒だったから、手間が省けたとも言えるがな』



 改めて『闇の塊』を見上げるが、そこに魔王らしさはない。どの動物の形もなく、ただ黒い玉だ。



『俺のスキルは闇を操る事が出来る。実際、ひとつひとつの魔王を操った時には、この大陸の生物の魂を、片っ端から引き抜く事は出来たしな。…………もっとも、集め過ぎたせいか命令が行き届かなくなってこのザマだがな』



 …………動かせない? だが動かないとしても、不滅の存在だ。これを倒すには…………。



『これを倒すには、これに関わる全ての禍津像を破壊するしかない。そう考えただろ?』


「…………すぐに探し出すさ。俺達には、☆4『禍津像探知機』ってアイテムもあるし、幾つかは既に量産化してある。さっさとお前を倒して、探しに行けばいい!!」


『…………それはアレが動かない前提の話だろ? これを見ろ!!』



 ズズッ…………と、奈落の体の至る所に闇が浮かび、そこから幾つもの禍津像がその一部を見せた。


 コイツ、『郷愁の禍津像・ヒト』だけでなく、他の禍津像も体内に入れているのか!! だがそれなら! 奈落を倒してしまえばいいだけだ!!



『いい眼だ、俺を滅ぼそうとしているな? だが俺は、この世界が滅びるのを先に見たいんだよ!!』



 そう叫んだ奈落の身体が飛び上がり、『闇の塊』の中に沈んでいく!!



『禍津像は、その影となる魔王に触れると『特別な眷族』になる!! そう教えてくれたのはお前だガモン!! 俺の体にある禍津像は眷族になり! 魔王の闇も俺の力だ!!』



 奈落を完全に飲み込んだ『闇の塊』が形を変えていき、徐々に実体を持ち始める! その姿は、様々な動物やモンスターの要素を混ぜ込んだ巨大な悪魔のような姿になり、身体を這う闇もまた、鎧やマントを形作っていった。


 巨大な人型になったそれは、肉や骨を無理に繋ぎ合わせて出来た、正しく『大魔王』と呼ぶに相応しい姿となっていた。



『滅びの時だ!! 世界よ!! 全てを諦めろ!!』

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