451回目 世界樹を進む
エルフのイマメルバーンが一緒に行く事になり、フレンド登録もしたのでガチャ装備を見繕ってみた。
《イマメルバーン》
メインウェポン:金剛蛇の弓(+4)
サブウェポン:山男の金剛手斧(+4)
腕装備:必中の小手(+4)
頭装備:感知のサークレット(+4)
体装備上:樹精の鎧(+4)
体装備下:樹精のズボン(+4)
足装備:樹海のブーツ(+4)
アクセサリー:狩人の証(+4)
アクセサリー:麻痺毒耐性の御守り(+4)
取り敢えず、イマメルバーンはフレンドになったばかりなので、☆4装備で纏めてみた。まずはお試しである。
お試しなら☆3でも良かったのでは? と思うかも知れないが、イマメルバーンは長老の一人でもあるため、ガチャ装備の有用性を知ってもらい、エルフの多くに広めて欲しいという狙いもある。いきなり☆5だと、ハードルが上がり過ぎるしね。
魔力が高く、俺達には使えない魔法が使えるエルフならば、『方舟』との戦いでもかなりの力を発揮してくれる筈なので、多くの仲間が欲しい所だ。…………時間の感覚だけは矯正しないといけないけど。
「…………なるほど、これは凄い。全てにスキルが備わっている上に、この軽さ、この扱い易さは脅威だな。この装備を身に付けた者だけの軍隊があれば敵はいないだろう。それだけに、恐ろしくもある」
「まぁ確かに悪用すれば世界征服すら簡単に出来そうな力ですけどね。でも、必要なんですよ、この力が」
「…………フム。アルジャーノン様の手紙にもあった例の『方舟』か。神獣様方が乗って来たと言う伝説の『神々が造りし船』がどういう経緯で脅威になるのか解らないが、その話も後で詳しく聞かせて貰おう」
イマメルバーンの装備も整ったので、一度バルタ達にチャットをしてから、俺達は『世界樹のダンジョン』を進む事にした。
バルタはこの展開に少し驚いたようだったが、イマメルバーンの家で俺達を待つと返信をくれた。
「改めて説明をすると、この『世界樹のダンジョン』は、育ち過ぎた世界樹が自らのエネルギーを効率よく消費、循環させる為に造り出した物だ。だからこのダンジョンに出るモンスターは世界樹を元とした樹木系や、世界樹を糧とする虫系が多い。ドロップ品も、世界樹に関わる物しか出て来ない」
「世界樹は育ちすぎると必ずダンジョン化するものですか?」
「いや、そうではない。世界に世界樹は数あれど、ダンジョンにまでなった物は少ない。ダンジョン化した世界樹など、私が知る限りでは確か世界に三本しか無かったはずだ」
「へぇー、全部ダンジョンになる訳じゃないんですね。ダンジョン化する物としない物の違いは何ですか?」
「確かな事は言えないが、おそらくは内蔵エネルギーが消費される量、だろうな。ここの物よりも大きく育った世界樹を見に行った事があるのだが、そこでは近くの国同士の争いが絶えず、世界樹の素材が多く消費されていた。その為、その世界樹はダンジョン化する程のエネルギーが溜まらず、ダンジョン化をせずにすんでいるのだろう。…………あくまでも私の主観だがな」
なるほど、ありそうな話だ。
と言う事は、『レナスティア』の浮島にある世界樹も、ある程度まで育てて放置すれば、ダンジョンになるのだな。
でも、あの浮島には既にダンジョンがある。もちろん世界樹とは別枠でだ。それに続いて世界樹までダンジョン化したら手に負えなくなる。放置はダメだ。
『ギィシュシュ!』
「ム、あれは『アイビーフライ』だな。どれ、さっそくこの装備を試させて貰うとしよう」
世界樹の幹にこんもりと葉が生い茂る中から飛び出して来たのは、蔦が絡まって出来たようなドラゴンっぽい何かだった。樹木の皮や葉のついた枝が、翼や牙を表現している樹木系のモンスターだ。
枝葉を擦り合わせた様な鳴き声を上げながら向かって来る『アイビーフライ』に、イマメルバーンは弓を引き絞り矢を放った。
そしてその矢が『アイビーフライ』の木の皮で出来ている部分に突き刺さると、イマメルバーンは敵が怯んでいる隙に走り出し、『山男の金剛手斧』を抜いて『アイビーフライ』を深く斬り裂いた。
『ギシュシャッ!?』
体の大部分を占める蔦が絡まる胴体部を分断された『アイビーフライ』は断末魔のような音を響かせて消えていき、その後にはロープみたいに太い蔦が残された。
「…………一撃とはな。これは良い装備だ。『アイビーフライ』をこんなに素早く狩れたのは初めてだ。この装備があれば、ここの探索は随分と楽になる」
「ならサクサク行きますか」
この『世界樹のダンジョン』は、制限さえ無視できるのなら難易度はかなり低い。それが、少し先に進んだ俺が出した結論である。
かと言って、次々とモンスターが飛び出して来るので油断は出来ない。
俺達は次々に襲って来る樹木系や虫系のモンスターを手分けして倒しながら先に進んだ。
そして、世界樹の幹を歩く長い一本道の先には、世界樹の枝葉が生い茂る新たなフィールドが待ち受けていたのである。
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