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440回目 『フレンドクエスト・ゲンゴウ』

「はいどうぞ。ガモンはレモンティーで良かったんだよね?」


「うん。ありがとう、ティアナ」



 自室のソファーにティアナと二人で座り、紅茶を飲む。天空城は雲の上にあり、風なんかも『レナスティア』全体を覆う結界が緩やかにしてくれるし、気温もある程度は過ごしやすく変えてくれる。


 しかし、そうは言っても季節は冬。多少の肌寒さはあるので温かい紅茶はありがたい。



「…………ふぅ。今日はいつもより紅茶がおいしく感じるわね。空気が冷たいのなら、地上は雪かしら?」


「レティアが、今日は雲が厚いから何時もより上空にいるって言ってたから、雪が降ってるんだろうな。寒い訳だ」



 この『レナスティア』なら、レティアに言えば常に夏の気温とかにも出来るのだが、それはしない。今の状態でも、『拠点ポータル』で地上に移動すると気温の差に体がビックリして体調が変になるからな。あまり大きく差をつけるのはヤバイ。


 それにだ。この少々冷たい空気の中でも、ティアナと二人で温かい紅茶を飲む小さな幸せがあるなら、多少の寒さも悪くないよね。



「落ち着いた所でさっきの話に戻るけど、『レナスティア』の街を開発するのね? ゲンゴウ主体で」


「そうだな。俺はやる事が結構あるし、ゲンゴウもあの街で商売をしたいと言っていた。…………何より、『フレンドクエスト』が出たからな。ゲンゴウのボルテージは上がりっぱなしだよ。ティアナも会っただろ? 酒も飲まずにあのテンションだったんだぜ?」


「…………確かに、昨日ガモンを呼びに行った時は凄いテンションで張り切っていたものね。って言うか、酔っぱらってなかったのね? てっきり私は、すっかり酔っているのかと思ってたわ」


「シラフだったんだよなぁ、あれで」



 昨日、ゲンゴウ達と街づくりの話をしている時、ゲンゴウの『フレンドクエスト』が立ちあがった。



 《フレンドクエスト・ゲンゴウ》


『ゲンゴウの街づくり (無期限)』

 ・一つの街を自分で好きに造り上げ、街を訪れた商人も客もが心から楽しみ笑顔になる光景を見る。それは大商人となった男が駆け出しの頃に語り、酒に流した夢だった。その夢を叶える下地を整えよ!


 依頼主:ゲンゴウ



 これが出た時から、ゲンゴウは興奮しっぱなしだった。何故ならこれは、ゲンゴウの夢が叶うと言うのと同じ意味だからだ。



「こ、これは!? ガ、ガモン殿!! ワシにも『フレンドクエスト』が表示されました! ぜひとも受けてくだされ!!」


「街づくりのフレンドクエスト? そりゃ渡りに船だけど…………。いや違うか。この話をしていたからフレンドクエストが立ち上がったのか。ああ、もちろん受けますよ。いい街を造ってください」


「お任せ下され!! …………つきましては、店舗シリーズのガチャアイテムをいくつ持っていますか? そのすり合わせをしておきたいのですが」


「お、おう。さっそくですか」


「勇者様の遺された言葉にも、『鉄は熱い内に打て』と言う言葉があります。商機と見たならば走り出さなければ捕まえられません。商機と言うのは足がとんでもなく速いですからな。本気で走り去る前に捕まえねばなりません」


「…………よし良いだろう。とことん付き合おうじゃないか!」



 などと、日本の諺まで持ち出されたので俺も興が乗ってしまい、まだガチャの店舗シリーズしか入ってないような街をどう造り上げていくかと、ゲンゴウと散々話し合った。


 酒も入っていなかったのに、最高潮に達したテンションに酔う感じでボルテージが上がっていくゲンゴウ。夕食を一緒にする約束をしていたティアナが、俺を迎えに来て目撃したゲンゴウが、それだ。



「私もゲンゴウとはそれなりに長い付き合いだけど、あんな風になっているのは初めて見たからビックリしちゃった」


「どうもゲンゴウにとっては、若い頃に本気で夢見て現実を知った挙げ句に諦めた事だったみたいでな。しかもそれが、小さくもずっと燻り続けていたみたいなんだよ。それがこの『レナスティア』と言う最高の環境で叶うとなって、テンションが振り切れたらしい。多分いまも、あの街をどう造り上げていくかを真剣に考えているだろう」



 この『レナスティア』の街を造り上げて外から人を呼ぶならば、ハッキリ言って資金繰りの心配はもう要らなくなるだろう。潤沢な資金があれば、ガチャアイテムも大量に手に入る…………だけじゃない。


 各国と協力してガチャ装備を揃えて大軍を起こす事も出来る。例え☆5までいかなくとも、万の軍が☆4装備で身を固めたならば、幻獣すら数の力で倒す事ができる。


 ☆4の装備なら、一つ手に入ればドワーフ達が☆5『技巧神の大工房』で増やしてくれるしな。まぁもちろん、材料は必要になるが、それも浮島のダンジョンや『火山』に『海溝』なんかの特殊シンボルから調達出来る。


 …………『方舟』と戦う流れが大きくなっていくのを感じる。必要な物が揃いつつある。


 となれば、そろそろ一番重要な物を決める算段をつけないといけないだろう。これが決まらない事には、いくら準備をしても『方舟』とは戦えないからな。


 この『方舟』との戦いにおいて一番重要なもの。それは『場所』だ。


 相手は☆5『◇天空城『レナスティア』』でももて余すであろう『方舟』だ。戦うにしても、場所がなければ戦いようがないからな。


 …………これをどうにかする為には? やはりそこは、ガチャの出番だろう。

面白い。応援したい。など思われましたら、下の☆☆☆☆☆から評価をお願い致します。


モチベーションが上がれば、続ける力になります! よろしくお願いします。

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[気になる点] >一つの街を自分の造り上げ 何か変なんですが誤字とも違う気がしたのでここで報告しときます
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