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412回目 準備は盛大に

 新たなテルゲン王でありティアナの父であるレクターとの会談を終えた俺は、一人で☆5『◇天空城『レナスティア』』へと戻って来ていた。


 仲間達には、ちょっと出て来るとしか言っていない。ほとんどナイショでここに来ているのだ。


 そしてすぐにレティアを呼び出し、人の来ない一室へと移動して、レティアにある相談を持ち掛けていた。



『…………わかりました。それは可能ですが、結構な『ガチャ・ポイント』が必要になりますよ?』


「まぁしょうがないさ。一度の事だし、皆なら許してくれるだろ……………………多分」



 軽い気持ちでそんな風に答えていたが、俺の回答の途中でレティアが提示した、必要な『ガチャ・ポイント』の額を見て、少し不安になった。


 …………五万ポイントか。いや、大丈夫だよね? エリクサーが買えるポイントの半分くらい…………大丈夫だよね?


 きっと大丈夫だと仲間達を信じる事にして、俺はタッチパネルを操作して、『天空城』の一部に温室を造った。


 ドーム型の広々とした温室は外の光が入り輝いている。地上は冬で雪も降っているが、天空城は結界のおかげで特段寒くないし、今は雲の上を飛んでいるから雪もない。


 外を見れば青空の下で、雲海を渡っている様に見える。『レナスティア』は動いていないが、雲が動いているからな、面白い錯覚がおきている。


 それはともかくとして、中をデザインしていかないとな。イメージとしては『美しく、それでして楽しく』だ。


 花で埋め尽くすのは当然として、小道や川、それに道に掛かるアーチなんかも魅力的だ。あ、桜もいいな。桜の木も植えようか、ならそこは丘にして芝生かな。あえてそう言う空間を作るのも面白い。



「…………ちょっと参考文献が欲しいな。ガチャアイテムに庭園とか温室の写真集とか無いかな?」


『では私が取って参りましょう。マスターは花の一覧を見ていて下さい』


「おう、任せた」



 それにしても、と俺はまだ何もない温室を眺めた。


 メチャクチャ広くて、高さもかなりある温室は、なんなら家を建てても大丈夫そうだ。天空城の外に面した端っこの一室らしいが、これで一部屋分である。


 天空城は広い。そして『ガチャ・ポイント』さえあれば何でも出来るポテンシャルを持っている。それこそ、『◇キャンピングカー』を遥かに越える自由度がここにある。


 ☆5のクラッシュレアは伊達じゃない。何せこうして、温室を造った上に中には森でも川でも作りたい放題だからな。…………『ガチャ・ポイント』は掛かるけど。



「…………選べる花も、見た事がないヤツが多いんだよな。名前も説明も花言葉さえ載っているのは助かるんだけどさ。…………水晶で出来た花や空中に浮かぶ花なんてのもあるの? どこの世界の花だよ、本当にこの世界にあるのかこれ?」



 これだけ種類があると難しいな。温室の中身もデザインしないといけないのに。それに何よりメッチャ広いし。これ、ちゃんと作るのにどれだけ掛かるんだろう、心がもう折れかけている。


 と、そんな事を考えていると、レティアが戻って来た。なぜか一人ではなく、『ドール騎士』を一体連れて来ている。本を持たせている…………訳でもない。レティアなら本も亜空間倉庫に収納できるからな。しかもこの『ドール騎士』、珍しく女型でメイドタイプだ。戦うメイドさんか。



「レティア、その『ドール騎士』は?」


『膨大な資料を読みながらデザインするのは時間が掛かりますので、これらの本の内容をインプットした『ドール騎士』を製作しました』



 レティアはそう言いながらテーブルを出し、庭園や温室、建物や花壇のデザインなどを纏めた本をドサドサと積み上げた。



「…………これを全部? グッジョブ! レティア!!」


『デザインの基礎学習も済ませてありますので、マスターがどういう風にしたいのかを伝えればそれを基に組み立ててくれるでしょう』


「ナイスだレティア!!」



 と、言う訳で。俺のやりたい事がスムーズに進む光が見えた。俺はこのメイドタイプの『ドール騎士』に『サクラ』と名付け、その飾り気のない頭部に、桜の花を模したイヤリング☆3『散り花のイヤリング』も付けてやった。確率で相手の攻撃が『失敗』すると言う、れっきとしたガチャ装備である。


 これをプレゼントしたのが良かったのか、サクラはとても張り切って働いてくれた。『ドール騎士』にも好感度的なのがあるのかも知れない。



「…………おお」


『完成ですね。おめでとうごさいますマスター』


『マスターのイメージを私なりに反映いたしました。如何ですか、マスター?』


「…………最高だよ。満開の桜のある丘に向かって続く道、しかも途中が迷路のようになっているから、向こうに行くまで桜が隠れているのもいい。広々とした花壇を通り、花に囲まれた迷路を抜けて、桜の丘に。これは素晴らしい出来だな。サクラ、ここの管理を任せてもいいか?」


『光栄です。しかとお引き受け致します、マスター』



 気がつけば、ここを作り始めて三日が経っていた。仲間達を誤魔化すのも大変だったが、あとでここに皆を連れて来てビックリさせてやろう。


 だがその前に、この場所を作った目的を達成するとしようか。


 俺は緊張を抑えるように深呼吸をして、亜空間ゲートを潜った。

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