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41回目 情報の売買

 ソエナ村での楽しい夜を終え、俺達は次の朝には村を発った。



「貴族様ーーーー!」


「ありがとうございましたーー!」


「また来てねーー!」


「お菓子ありがとーー!」


「花火たのしかったーー!」



 来た時は戸惑いを持って迎えられた俺達だったが、帰りは村人達に盛大に見送られた。たった2日の滞在だったが、村人達とはずいぶんと仲良くなれた。特に子供達は、それぞれ両手に持った『うめえ棒』を振りながら、大声を上げて俺達を見送ってくれていた。


 大きく手を振る子供達の姿も、馬車が進むにつれて小さくなり、丘を越えた辺りで完全に見えなくなり、俺は開けていた窓を閉めて、馬車のソファーに座り直した。



「緊急クエストなんて始まった時はどうなるかとおもったけど、来て良かったな」


「そうだね。オークキングも討伐できたしソエナ村も護れた。ここの領主にも冒険者ギルドにも知られる前に解決出来たから、僕らの身も安泰だし、言うこと無いね」


「あっしも久々に全力出せたんで、満足でさぁ。あとは旦那が貰った報酬が気になる所ですぜ」


「そうだな。…………でも、何だろうなコレ」



 御者台からのバルタの言葉に相づちを打ちながら、俺は今回の報酬でもらった一枚のチケットを取り出した。


 そのチケットには大きく『☆4クラッシュレア確定! ガチャチケット』と虹色に輝く文字で掛かれており、チケット自体も銀の縁取りで豪華な装飾が施されていて輝きを放っている。


 絶っっっ対に良い物が出てくる! と、チケット自体が語っているかのようだ。いや、☆4だから良い物は出て来るのだろうが、そもそも『クラッシュレア』って何だよ? って話だ。このクラッシュレアについては、ヘルプにもまだ記載が無かったのだ。今、一番知りたい情報なのに。



「そう言えばガモン、スキルの中に情報屋みたいな人がいるとか言ってなかったっけ?」


「ああ、『マイスター・バー』のマスターな。有益な情報の売買をしてるとかは言ってたけど」


「その人に聞いてみたらどうだ?」



 なるほど、情報屋か。確かにあのマスターに聞けば、クラッシュレアの詳細が解る気がする。…………試してみるか。


 俺はスキルの画面を開いて、『マイスター・バー』へと入った。



『やあ、お客さん。今日はどんな御用かな?』


「…………ああ、情報を買いたい。クラッシュレアについてだ」


「…………ブフッ!」



 情報屋とのやり取りという事で、タップリ雰囲気を出していたのだが、ティムに吹き出されてしまった。



「…………ゴメン、ガモン。…………でも、僕からだとスキルは見えないから、…………急に真顔になって雰囲気を出し始めたガモンが面白くて…………ブフッ!」


「……………………(顔真っ赤)」


『ああ、クラッシュレアについてか。それなら金貨三枚だよ』



 …………恥をかいた上に金を取られるのか。…………いや、恥は俺が勝手にかいたんだけども。


 俺は無言で金貨三枚を出してスキルに放り込んだ。



『うん、確かに。…………クラッシュレアとは☆4☆5のアイテムが出た時に一定の確率で出る『レアの中のレア』だ。それは元々出たアイテムの進化した姿であり、そのどれもが『ぶっ壊れた』性能を持っている』


「…………『ぶっ壊れ性能』で『クラッシュレア』か」


『そう言う事だね。そのレアリティは、☆4のクラッシュレアなら☆5相当、☆5のクラッシュレアなら☆6相当と、無条件にレアリティが一つ上がる仕様だ。まあ、☆6なんて物は無いから便宜上そう表現しているだけだがね』


「おおっ! マジか! それ、出る確率はどのくらいなんだ?」


『その情報は金貨二枚だ』


「…………金取るのかよ」


『ここは情報を売り買いする場所だからね』



 俺はスキルに金貨二枚を追加で放り込んで、話の続きを促した。



『クラッシュレアが出る確率は、元々のレア度が持つ確率の二乗だ』


「…………は?」



 二乗? 二乗つったか今。…………じゃあ何か? 約百分の一の☆4のクラッシュレアは万分の一、元が万分の一である☆5のクラッシュレアの確率は億分の一って事か!? 出る訳ねぇだろ!?



「…………なんだよ、その出鱈目な確率は…………!」


『まあ、狙って出る物ではない。しかし、その性能については保証しよう。例え何が出たとしても、その性能を見れば納得するだろう』


「……………………いや、そもそもチートスキルだろうに確率がおかし過ぎるんだよ、この能力。作った奴に文句を言いたい」


『……………………』



 フッと、笑顔を見せていたマスターの顔が一瞬真顔になった気がした。しかし次の瞬間にはいつもの顔に戻っており、俺は少し引っ掛かる物を抱えつつ、スキル画面を閉じた。


 ……………………もしかして、このスキルの製作者の情報も買えるのか? と、脳裏をよぎったが、俺は頭を振るってその考えを打ち消した。


 今は買えないだろうし、なんとなくだが、その質問は地雷になる気がしたからだ。



「終わったのか? どうだった、ガモン」


「え? あ、ああ。情報は買えた。どうやらこのチケットは、☆4のアイテムが☆5相当になって出てくるらしいぞ」


「☆5!! スゴいじゃないか! いや、まだガモンのスキルから☆5ってのが出たのを見た事はないけど、僕の『フリズナム』よりも上なんだから、凄いのが出て来るんだろ?」


「フリズナム?」


「この子の名前だよ」



 そう言いながら、ティムは氷魔弾の弓を取り出して見せた。…………コイツ、弓に名前つけてたのか。いやまぁ、いいけども…………。

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