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406回目 海湖の浮島

「飛空艇『アベルカイン』! 発進!!(二回目)」



 俺が造らせた飛空艇の進空式を、一人で勝手にやった事で仲間から怒られて、二度目の進空式は希望する仲間をちゃんと乗せた状態で執り行った。


 船と言えば帆船が主流であるこの世界で、こんな船に乗っているのは俺達だけだ。それは科学が発展しなかったから、ではない。


 過去にこの世界へとやって来た勇者達によって、蒸気船くらいは造られている。ただ、浸透しなかったのだ。


 その原因は『魔法』。蒸気機関を使うよりも、自然の風と魔法を組み合わせて使う帆船の方がコストが掛からずに速かったのた。


 もっと現代文明、それも科学に精通した人物が来ていれば違ったのだろうが、俺を含めてやって来た者達は一般人。魔法に勝てる知識も技術も、持ち合わせている筈がない。


 だから科学と魔法がスキルの力によって強く結び付いているこの飛空艇は、未知なる存在と言えるだろう。まぁ、もっとヤバイ☆5『◇天空城『レナスティア』』があるから、印象はボヤける気がするけども。


 ともかく俺は、『アベルカイン』のブリッジから外を眺めて楽しんでいる仲間達を連れて、巨大な湖に島が点在している浮島、レティアによると『海湖の浮島』へと移動した。


 この『海湖の浮島』は、周囲をぐるりと囲んだ岩山の内側に、巨大な湖がある形の浮島だ。湖の中に点在する小島には街のような設備も見える、そしてその近くにある小島には地下洞窟の入口があり、そこがこの浮島のダンジョンだ。



『この浮島の海底には魚人やマーメイドを住まわせる為の海底の街もあり、マーメイド族を受け入れるならば、ここが最も適しています』


「それは解っているんだけど…………。なぁレティア、この浮島も『レナスティア』の一部だし、フレンドにならないと入れないんじゃないか?」



 俺が一番危惧しているのはそこだ。ここは☆5『◇天空城『レナスティア』』の一部。そうなれば、ここに入れるのは俺のフレンドに限られる。


 確かに俺はマーメイドだけでなく、エルフやドワーフも迎え入れたいと考えているが、一つの集落ってのは多すぎるだろ。北のマーメイドの集落の規模は解らないが、その全員をフレンドにするってのは抵抗がある。



『確かにそうですが、条件付けをすれば全員をフレンドとする必要はありません』


「どういう意味だ?」


『代表者一名をフレンドにするのは絶対条件ですが、その他の者については、代表者との繋がりが深い場合のみ、連れて来る事が可能です』


「本当か!? そんな簡単な事で入れちゃうのか!?」


『ただし、必須条件としてマスターと私に認められる必要もあります。つまり、マスターか族長か私のいずれか一人でも、この者は『レナスティア』に相応しくないと断じた場合は、即座に外へと弾き飛ばされます』



 …………なるほど。追い出すのも簡単な訳か。それに、代表者との強い繋がりが必要なら、外からのスパイが入り込むのは難しい。


 もし入り込まれたとしても、俺はともかく、この『レナスティア』においてレティアの眼を欺くのは不可能だろう。


 これなら、問題なくマーメイド族を受け入れられる。マーメイド族から、会談の日時と場所についての報せも既に来ているし、準備は出来たな。


 マーメイド族との会談の日時は明日の午後、場所は北の海にある島だ。


 その島の場所も、キャンパーの『遠距離偵察用ドローン』ですでに割り出しているし、後は明日の会談を待つだけだ。



「カンベル、『アベルカイン』を着水させろ」


『かしこまりました! 着水用意!!』



 カンベルが命令を出し、ドール騎士団のクルーが動いて『アベルカイン』を『海湖の浮島』の湖へと着水させる。


 この湖は海と川の両方の性質を持っており、どんな魚でも住める水と言う、『そんなバカな』といった感じの仕様になっている。


 そして、ここに住む魚はいわゆる『ダンジョン産』と言う括りで、釣り上げる(倒す)と、その魚自体がドロップアイテムとなる。まぁ要は普通に食える訳だ。


 極まれに、レアドロップで宝箱とかになるらしいが、それはそれでテンションが上がる。なので今日は、これから仲間達と釣りをする事に決まったのだ。


 ガチャアイテムで釣具も餌も大量にある。おもくそ回し捲った時に、取って置いたのだ。



「ティアナは釣りの経験はあるのか?」



 着水した『アベルカイン』の甲板でティアナに聞いてみると、ティアナは首を横に振った。



「ううん。ちょっと興味はあったんだけど、やる機会も無かったから。ガモンは経験あるの?」


「大学の頃に釣り好きの先輩に妙に気に入られて、一時期は何度も連れ回された。だから割りと詳しいぞ」


「じゃあ、教えてね?」


「ガモン、私もお願いしますわ」


「リメイアもか、もちろん良いぞ!」



 今いる面子には、釣りの経験者は結構いた。ガチャ産の釣具に戸惑ってはいたが、使い方に慣れると皆それなりに使いこなしていた。やはり冒険者だからな、順応が速い。


 俺はティアナやリメイアに教えながら釣りを楽しんだ。


 いやぁ、この『海湖の浮島』でやる釣りは楽しいな。だって何でも釣れるんだもの。海の魚も川の魚も釣れるし、寄生虫なんかはいないとレティアが太鼓判を押してくれたから安心して食えるしな!


 …………ただなぁ、俺の釣り上げた鯛が宝箱になったのだけはキツかった。いや聞いてはいたんだけど、俺の鯛が…………! ってなったよね。

面白い。応援したい。など思われましたら、下の☆☆☆☆☆から評価をお願い致します。


モチベーションが上がれば、続ける力になります! よろしくお願いします。

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