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403回目 北の海の異変

 世界において一番生命に溢れている場所、それが海だ。


 海は海底にいくほどに魔力濃度が高く、そのため底にいくほどに強力で強大な生物が生まれやすい。無論、そのほとんどはモンスターであり、時にはその影響を大きく受けた魔王が、その姿を変化させてしまう事もあった。


 特に北と南の海は、北極点と南極点に近しい程に宇宙からの影響も受け、二点の中心地には、地上で生まれた幻獣『双極龍』と呼ばれるドラゴンが縄張りを持っているらしい。


 ……………………戦わないよ? だってソイツら、魔王とも『方舟』とも関係ないでしょ? わざわざそんな通称からしてヤバそうなドラゴンと戦ったりしないよ。関係ないもの!


 触らぬ神に祟りなし。ヤバそうな所には近づかないのが一番安全なのだ。


 それはいいとして、そんの海で暮らすマーメイド族だが、海は広い為にそれぞれ縄張りがある。マーメイド族に限らずに、魚人族やら海竜族、そしてモンスターまで含めると、それこそ無数にある。北のマーメイド族は、その名の通り北の海の一部を縄張りとするマーメイド族なのだ。


 その北のマーメイド族の縄張りが、今大変な事になっていた。



「瘴気が溢れている?」


『はい。北と南にいる『双極龍』は、世界中の瘴気を自らの体に取り込み、眠りながらそれを浄化しているドラゴンです。しかしつい先日、北の双極龍の縄張りで膨大な量の瘴気が溢れる事態が起きました。貴方には、心当たりがある筈です』


「ああ、幻獣『ブレイドロックドラゴン』ですか。でも、『ブレイドロックドラゴン』との戦いでは確かに多くの瘴気が出ましたけど、外には漏らさなかった筈ですよ?」


『そうですね。確かに海に落ちた瘴気は確認されていません。しかし大気中には、やはり瘴気の一部が紛れ込んだのです。世間では、瘴気とは地に落ちる物と言われていますが、大気中の瘴気は双極龍が浄化しているので、世界に与える影響が少ない、と言うのが正確な所です』


「なるほど。普段から双極龍が浄化してくれているから気づかないだけ、って事ですね」



 しかしそうか。『ブレイドロックドラゴン』の出した瘴気を、俺は何とか押さえ込んだと思っていたが、知らず知らずの内に世界に影響が出ていた訳だ。



「あれ? でもその説明だと、瘴気はちゃんと吸収されたんですよね? それに、海には流していないですし、問題ないのでは?」


『通常ならばそうです。ですが今回は、幻獣が宇宙から降りて来た時の衝撃で双極龍が目覚めてしまっていたのです。双極龍は目覚めていると瘴気を浄化せず、むしろ放出してしまうのです。そこに大気中に混じった瘴気の吸収も重なってしまい、瘴気が大量に海に流れる事態となりました。それによって、北の海には『狂暴化』したモンスターが溢れてしまい、北のマーメイド族は存亡の危機に陥っているのです』



 …………アレかな。ブレイドロックドラゴンが落ちて来た時のバカでかい声と爆音で、双極龍が起きてしまったのか。


 そして瘴気を放出し始めた所に瘴気の吸収が重なって、瘴気が流れ出るのが海側になってしまったと。幾つかある水の出口を一つ塞がれたみたいなものか。そのせいで他の出口から出る水の量が増えたのだ。


 で、海に流れた大量の瘴気が影響してモンスターが狂暴化、マーメイド族は棲みかを追われるハメになっている…………と。


 こう言っちゃなんだが、ピタゴラ的な話だな。様々な偶然が重なった結果と言うか、俺の知らない所で、俺達の戦いが影響を及ぼしていたと言うか。



『断っておきますが、マーメイド族は今回の原因が貴方にあるとは思っていません。幻獣が空から降って来た事もですが、言ってしまえば『運が悪かった』というのも解っております。貴方を頼ろうと考えたのは、あくまでも『水の女神』様のお導きによるものです』


「…………そうですか。まぁ正直、俺のせいだと言われても困るとは思っていましたので、そう言って貰えると助かります」



 しかし保護か。…………それも、神様が関わっているとなれば、恐らくはアレだな。あの湖で出来ている様な浮島。あそこで保護しろと、そういう事なんだろう。


 …………気になる。何が気になるって、話が出来すぎているのが気になる。


 それに、『レナスティア』の浮島で保護するって事は、そのマーメイド族は全員を『フレンド』にしないといけない、と言う事だ。


 水の女神様が本当に関わっているならば、一応は大丈夫だとは思うがな。だって神様だし。女神様になんて、会った事もないけど。



「話は解りました。では一度、そのマーメイド族に会いたいと思うのですが?」


『わかりました。それではその事を我が主に伝え、面会する場所と日時を決めてきます。もしそちらにも希望の日時や場所などがあるならば、考慮しますが?』


「いや、そっちに合わせます。ですが、一日か二日程は間を置いて下さい。こちらも準備が必要かもしれませんから」


『承知しました。では決まりましたら、私は再びここに来ましょう』



 そう言い残して、水の精霊は姿を水へと戻した。


 何だか不思議な出会いだったな。…………それにしても、日時や場所を丸投げしてしまったが、これで良かっただろうか? ちょっと、何処を指定されても良いように、移動手段を用意しておいた方が良さそうだな。…………『天空城』で移動して行ったら、余計な威圧感を与えてしまいそうだからな。

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