398回目 幻獣戦の波紋
☆5『桃源の酒泉』は最高です。ええもう控えめに言って神です。凄いよこれ。
まぁとにかく酒が美味い。このアイテムから湧き出す酒は、誰にでも飲める『仙酒』なのだが、甘い口当たりなのにスッキリしていて、後味もスッと消えるので飽きが来ない。それに酔いはするのに悪酔いはせず、二日酔いにならないと言うのが最高だ。
何が良いって、他の酒を大量に飲んでいたとしても、この『仙酒』をチェイサーとして飲む事で悪酔いを抑えられる。その上で二日酔いの予防にもなるのが最高なのですよ。
だからね、これを飲みながらなら許されるのですよ。どんなに度数の高い酒でも、『仙酒』をチェイサーとして飲めば大丈夫。
それがどれ程すごい事なのか。もう俺、その『仙酒の』効果を知ってから、スキル倉庫の中に眠るヤバイ酒を片っ端から出したもの。
飲んでみたいけど絶対にヤバイから避けてたヤツを、片っ端から開けたもの。アルコール度数96度なんて言う、それは本当に飲んでいい物なの? と言うのも開けた。グラスに注いで放って置くと、蒸発して中身が勝手に減っていくそれを出した時には、流石にドゥルクですら固唾を呑んでいた。
ああちなみに、このヤバイ飲み会の参加者は絞ったよ? こちら側は、ドゥルクを筆頭に俺とバルタにザッパとベベント、女性ではメリアとユミルにネリスの『メガリス』のメンバーが参加した。
参加したいと言ったカーネリアは酒があまり強くない事を知っているから却下。トルテも参加したいと言ったが、まだ若すぎると却下した。向こうでアレス達が普通のを嗜んでいるから向こうに行きなさい。
ちなみにアルジャーノンは、大量の酒とつまみを持って女神ヴァティーの所へ戻った。
まさか女神ヴァティーを置いて、アルジャーノンが駆けつけてくれるとは思わなかった。
しかし、それについて礼を言うと。
「皆の所に行くように僕に言ったのはヴァティーですよ。なのでお礼はヴァティーに言ってあげて下さい、ガモンくん」
と、言っていた。ヴァティーには後で礼を言いにいくとして、取り敢えず今は、ヴァティー宛の大量の酒と料理にお菓子なんかを、アルジャーノンに届けて貰う事にした。
「さて、いい感じに場も盛り上がった所で、改めて乾杯をしよう! 国の相手もした。そして極めつけが、落ちてきた幻獣との戦いだ。皆のお陰で乗り切れた! ありがとうな皆! カンパーーイ!!」
「「カンパーーイ!!」」
新たな問題は山積みで、俺達もまだまだ弱い。でも今は、この勝利と世界を救った事を喜ぶのだ。
◇
我聞たちが幻獣を倒した喜びを分かち合っている頃、今回の一件を知る各国の重鎮達は皆頭を抱えていた。
とにもかくにも、起きた全てが理解の範疇を越えている。魔王の同時復活を食い止めた事には、国として存在感を示す事が出来たが、スタンピードについてはどうか。国ならば軍隊をもってあたるべき所を、我聞のクラン『G・マイスター』は僅か数人で殲滅してしまう。
たった一人にあの戦力。もしクラン『G・マイスター』の戦力が国を相手に向けられたら…………。
そんな事は無いだろうと頭では解っていても、その可能性は国を預かる者として考えない訳にはいかないものだった。
そして、空に浮かぶ巨大な大陸と、その上で行われたと言う戦闘。
それらは我聞とフレンドとなっている者には、密かにその戦闘を撮影していたレティアによって、『フレンド・チャット』を使った映像として配信されたのだ。いずれは☆3『薄型テレビ』でも見れるように☆3『USBメモリ』に保存して配るつもりである。
これを聞いた時の我聞の反応は、「いや、『ノートパソコン』とか『USBメモリ』とか、有るなぁとは思ってたけど、マジで使うの? ここ異世界だよ?」と言うものだった。
実は我聞のスキル倉庫には、我聞が意図的に隔離している場所がある。そこには我聞も日本ではよく使っていたパソコン等が納められているのだが、異世界でパソコンは色々とマズイ気がして出していないのだ。
テレビやら車やらを出しておいて今更な気もするが、我聞の基準としては、この世界の文明レベルでもギリ再現出来そうな物、に絞っているのだ。具体的に言うならば、我聞が幼少期の頃に『実家ですでに使っていた物』が対象である。
話を戻すが、そうして『フレンド・チャット』でレティアが撮影していた幻獣戦の映像を見た者達は、絶句した。
国の全戦力を持ってして戦っても、全滅する未来しか見えなかったからだ。
特にマズイのは、あの大量の瘴気だ。あんな瘴気の霧に包まれたような状態に晒されては、持って数時間の命だ。とても戦える状況にならない。
戦うならば、我聞達が飲んでいた☆5『桃源の酒泉』から湧き出ると言う『仙酒』が必須アイテムとなる。やはり『方舟』との戦いは、我聞を中心とした戦いになるだろう。一度、世界中の王を集めた『世界会議』を開かなければならない。
ちなみに後日。ガモンとフレンドになっている者達には「美味しいから飲んでみて」と、軽い調子で瓶に詰められた『仙酒』が届き、それが何かを知る者達は、例外なく頬を引きつらせたのは余談である。
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