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378回目 山賊の王と貴族の娘

 リメイアとアルグレゴ小隊を連れて『拠点ポータル』を使い、俺達は山賊の国『ラグラフ王国』へと転移した。



「あっ! ガモン殿!! いらしたんですね!!」



 ラグラフ王国での拠点とした☆4『コンテナハウス』から出ると、そこにはラグラフ王国の若い兵士が見張りに立っていた。名前は知らないが、見た覚えのある顔だ。



「やあ、ラグラフはいるか? ちょっと会いたいんだけど」


「そりゃ構いませんが、ラグラフ様もすぐにお会いになるでしょうし。…………しかしあの、その後ろの方々は…………?」


「俺が連れて来た助っ人だよ。悪いけど、ちょっとラグラフに伝えて来てくれるかな? 俺達はゆっくり後を追うから」


「は、はい! わかりました!!」



 先触れに若い兵士を走らせて、俺達は宣言通りゆっくりとラグラフの所へと向かった。



「おうおうガモン! なんだそんなに物騒な奴らを連れて! さては俺の首を取りに来やがったな!?」


「取らねぇって言ってんだろ。って言うかそのセリフで何でそんなに嬉しそうなんだ」



 殺しに来たのかと嬉しそうに言う王様なんてのはラグラフぐらいだ。それを初めて見るアルグレゴとその小隊の奴らは面食らっているが、リメイアはラグラフを面白そうに見ていた。


 まあ実際、面白い奴である事は否定しないけども。



「なんだ違うのか。じゃあ何のようだ? スタンピードの群れがウチに向かってる話しか?」


「解ってるじゃないか。って言うかなんで知っているんだ」


「この国の周辺の事は調べてるに決まってるだろ。あの森を吹っ飛ばした空飛ぶデケェのもお前の所のだろ? この辺りのモンスターも一掃してくれると助かるんだけどな」


「☆5『◇天空城『レナスティア』』には色んな武装があるみたいだから、それはその内な。あの主砲は、そうポンポン使えるもんでもないらしいんだよ」


「まぁ、あんなとんでもねぇ物をポンポン使われちゃあ堪んねぇしな、実際」



 超兵器だからなぁ。この世界にある国が相手なら、あれ一発で終わりそうだ。



「で? ガモンが連れて来たその騎士様方がウチを助けてくれるってのか?」


「ハッ! 私の名はアルグレゴと申します! ターミナ…………」



 一歩前に出たアルグレゴの自己紹介を、ラグラフは片手を前に出して遮った。



「まぁ待て! …………おう、お前さんら、俺が誰だか解っていて助けるなんて言ってんのかい? 自分で言うのもなんだが、俺ぁ世間じゃ極悪人で通ってるんだぜ? 俺を助けたなんて事が知れたら、お前さんらの主人にまで累が及ぶんだぜ? そこんとこ、解ってて来てんのかい?」



 ラグラフにそう言われて、アルグレゴは言葉につまる。…………しまった。そうか、ラグラフの事は詳しく説明しておくべき事だった。


 いや、辺境伯と言う立場にいるノルドなら、ラグラフの事は知っていた筈だ。その上でアルグレゴ達を貸してくれたんだとは思うが、確認は取っておくべきだった。


 どうする? この場でノルドに『フレンド・チャット』を繋いで連絡を取るべきか? 俺がそう悩んでいる中で、胸を張って前に出る一人の少女。


 そう、リメイア=ターミナルスその人である。



「お初にお目に掛かりますラグラフ陛下。私はリメイア=ターミナルス。ターミナルス辺境伯家の娘です」


「…………そうかい。初めましてだな、度胸のあるお嬢ちゃんよ。だが、下がってな。こいつは色々としがらみのある話だ。お嬢ちゃんが面白半分に首を突っ込むと、後々面倒になるぜ?」



 ジロリと、ラグラフは睨み付けるような視線をリメイアに向けた。だがリメイアはそれに臆する事なく胸を張り続け、ラグラフに向けて堂々と反論した。



「その心配はいりませんわ。私の父はターミナルス辺境伯ですもの。何も知らずに部下を送り出すほど耄碌していません。アルグレゴ隊長、胸を張りなさい。貴方はターミナルス辺境伯家の小隊を率いてこの場にいるのです。例え知らない話だったとしても、何でもないように取り繕いなさい」


「ハッ! お見苦しい所を見せました!!」


「と言う訳ですので、ラグラフ陛下に力を貸す事を、ターミナルス辺境伯家の者として認めます。世間のしがらみなどお気になさらず、存分に私達を頼ってくださいまし」


「…………くくっ、…………ガッハッハッハッハッ!! おもしれぇお嬢ちゃんだ! 気に入った!! この国の運命は、お嬢ちゃん達に任せるぜ!!」



 大笑いするラグラフは、近くに控えていた部下に命令してラグラフ王国周辺の地図と駒をいくつか持って来させた。


 そして広げた地図の上に駒を配置していき、今のスタンピードの動きと、それに備えるラグラフ王国の兵士の配置場所を説明していった。


 流石と言うか、ラグラフが集めさせたスタンピードの動きの情報は、レティアが天空城で集めた情報と大差なかった。



「まずは情報のすり合わせといこうや。俺達の掴んでいる情報と、現状で考えている配置を伝えるぜ。…………アルグレゴ小隊って言ったか。お前さん達の装備はガモンのスキルのヤツだろう? 正直に言えば俺らの戦力は少ねぇ。お前さんらの働きに期待しているぜ」


「全力を尽くす事を、お約束いたします!!」



 ラグラフ王国によるスタンピード殲滅戦が、いよいよ始まった。

面白い。応援したい。など思われましたら、下の☆☆☆☆☆から評価をお願い致します。


モチベーションが上がれば、続ける力になります! よろしくお願いします。

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