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370回目 その時に向けて

 バゴス王国のとあるダンジョン。できて間もないダンジョンにだが、それはバゴス王国に封印されていた魔王が作り出した『ダンジョン・コア』から作られており、周囲から過剰に魔力を吸い上げて今にも暴発寸前になっていた。



「魔力的には、かなり危ないですね。ちょっと切っ掛けを与えれば、すぐにでもスタンピードが起きそうです」



 ダンジョンの近くで様子を見る中で、『メガリス』の魔法使いであるユミルはそう口にした。



「つまり中はモンスターがスタンピード寸前でウジャウジャしているけど、何故か出て来ていない、と」


「原因はあれだろ? 多分、スタンピード開始の命令を出す隙がない」



 メリアとネリスが後ろを振り返ると、遠くの方で間隔を開けて、様々な大魔法が発動している光が見えた。


 あれは間違いなくカーネリアだ。大魔法の連続で発動させて魔王を吹っ飛ばしているのだろう。おそらくカーネリアは、あのまま魔王を封印する位置まで連れていくつもりだ。そうとなれば…………。



「こちらも予定変更だね。外に出て来た所を叩くつもりだったが、ダンジョンを攻略しながら殲滅するとしようか! トレマとイオスも、それでいいね!」


「ああ、わかったよ。索敵は任せてくれ!」


「罠の解除もね!」


「じゃあサクサク行こうか! とっととこのダンジョンを攻略して、枯らすよ!!」


「「おうっ!!」」



 溢れそうな程にモンスターが詰め込まれているダンジョンに、たった五人で突っ込んでいく『メガリス』の三人とトレマイオス姉妹。


 その戦いを知る者はこの国にはいないが、何せこのダンジョンは、比較的浅かったのではあるが、モンスターは溢れんばかりにいた。


 弱小モンスターがほとんどとは言え、四方をモンスターで囲まれた全フロアがモンスターハウスのようなダンジョンを、それが当然であるかの如く殲滅していく五人。


 それは『メガリス』が強いとか、トレマイオス姉妹の技能が高いとかもあるのだが、やはり我聞のスキルの恩恵が大きい。


 ステータスを上げ、スキルを付け、強力な装備に身を包み、バフで底上げをする。


 その上でモンスターを狩りまくる我聞のクランメンバー達。


 来るべき戦いに向けた準備は、着々と進んでいる。



 ◇



天空城内の指令室。壁一面が大型スクリーンとなり、外の様子を映している、機械に囲まれたその部屋で、俺は天空城の外の様子を眺めている。



「おおーー、海だ。何気にこの世界に来て海を見るのは初めてだな」



 仲間達が復活した魔王と二国の戦いに横槍を入れている中、俺を乗せた天空城は海へと来ていた。


 いや凄いなこれ。この世界の海はどこまでも綺麗だ。少なくとも日本で見た太平洋や日本海とは輝きが違う…………気がする。


 って言うか、水平線の彼方に水柱が時々上がるんだけど何アレ? この距離から見えるって相当なデカさだと思うんだけど。



「しかし、アイツらを置いて海に来ちゃったけど、本当に大丈夫なんだよな? レティア。もうかなりの距離があると思うんだけど、本当に回収出来るんだな?」


『はい、問題ありません。皆さんはクランメンバーとして登録してありますので、どれだけ離れていたとしても、一度だけなら天空城に帰還できます』



 フリント王国とバゴス王国での、魔王とスタンピードに対処するために置いて来た仲間達。彼らには、正確にはアレスとカーネリアには、レティアのルービックキューブの様な体を構成する『キューブ』をひとつ渡してある。


 レティアによれば、そのキューブがあれば一度だけ、この☆5『◇天空城『レナスティア』』に帰還するための亜空間ゲートを開けるのだそうだ。


 それもあって、俺は他のメンバーを連れて天空城ごと海にいく事にした。


 何せ魔王は、最初にいつの間にか倒していたヤツと、フリント王国やバゴス王国に出た二体、そして今回海に出たヤツを含めても四体。緊急クエスト的には、その他にもまだ四体の魔王が控えているのだ。


 不測の事態なんてまだまだ起きるだろう。ならばどんな状況にも対処できるようにするべきだ。


 そんな理由で海まで天空城で来たのだが、俺のこの判断は正しかった。


 なぜなら、海の中にいるせいで魔王の姿がボンヤリとしか見えないからだ。これでは☆5『強欲なる宝箱』があっても、『郷愁の禍津像』を呼び寄せる事ができないからだ。



「見つけた! …………いや、見つたのはいいが、参ったな。これじゃあ、あの魔王が何の魔王だか解らないぞ」



 海を泳ぐ魔王は、その姿を海中に隠しており、いくら綺麗な海であるとはいえ、白波も邪魔して全貌が見えない。


 一応、復活するであろう魔王にはあたりも付けてあるが、困るのは海での魔王は二体いたって事なんだよ。あれがどっちなのかを知りたい。



「どうする? 一度攻撃してみるか?」


「それはダメじゃな。さらに深い場所に潜り込まれるのがオチじゃ」



 俺達が魔王の正体を考える中で、魔王にも変化があった。陸に近くなったからか、動きを止めたのだ。


 そして魔王から次々と産み出される眷族。それは徐々に増えていき、美しい海を黒く染めていった。


 まずい。魔王のシルエットすら見えなくなった。


 そして、悪い事柄は拍車をかける。ドゥルクの代わりに☆5『ワールドニュース・クラシック』を読みといていたアルジャーノンが、最悪の報せを告げて来たのだ。


 それはこの海で、もう一体の魔王が復活したと言う報せだった。

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