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361回目 『サリアナイト』との再会

 ドゥルクとアルジャーノンの二人を連れて、王都ジョネイブの屋敷へと戻って来た俺を待っていたのは、タミナルの街の大商人ゲンゴウだった。


 しかもゲンゴウは女連れで俺を待っていた! それもドレスに身を包んだ美女を三人もだ! なんだ、金持ちはモテるってアピールか? 三人ともドレスや装飾品からして貴族の娘だと思うが…………。


 …………あれ? なんかこの三人、見覚えがあるな?



「お久しぶりです、ガモン殿」


「…………もしかして、サナか? …………それにリナとアナか!!」


「「はい。ご無沙汰しています」」



 三人に見覚えがあるはずだ、この三人は『サリアナイト』だ。ドゥルクと初めて会う事になったクエストで出会った女性のみの冒険者パーティーである。


 ゲンゴウが自分の部下として欲した人材で、今は冒険者を辞めてゲンゴウの所で働いている、俺のフレンドでもある。



「おお、本当に久し振りだな。元気にしてたか?」


「はい。充実した時を過ごしております」



 …………なんだかすっかり別人になってるな。まるで貴族のご令嬢だ。本当ならゲンゴウの所に行ってからどんな風に過ごしていたのか聞きたい所だが、そんな場合でもない。


 ゲンゴウ達も今の状況を知っている筈なので、さっそく本題に入って来た。



「ガモン殿。現在の状況はシエラ殿から聞いております。そのお手伝いを、我々にさせてください」


「それはありがたいけど、具体的な何をするつもりなんだ?」


「はい。ここにいる三人に、貴族の持つ『郷愁の禍津像』を入手して貰おうと考えております」


「…………詳しく頼む」



 ゲンゴウの所に引き抜かれてからのサリアナイトの主な仕事。それは商品やその原料の管理と、『フレンド・チャット』を使っての密な連絡のやりとり、そして貴族との顔繋ぎだった。


 三人は女性であり、俺のガチャ装備によって高いステータスと様々なスキルを持っている。ガチャ装備には装備者の魅力や話術を引き上げるスキルを持つ物もあり、それを利用して貴族女性によるお茶会などに通いつめていたのだ。


 貴族のお茶会には、手土産が必要になる。そして三人の内の誰かを呼べば、その手土産はガチャ産の美容品がほとんどである。


 三人は貴族女性だけでなく、その屋敷の使用人にもハンドクリームなどを配り、貴族界隈での認知度を少しずつ上げていった。


 三人が持ち込む手土産は貴族女性だけでなく、その使用人にも大変に喜ばれ、三人の元にはゲンゴウが予想していたものを遥かに越える情報が集まった。



「今やサリアナイトの三人は一種のステータスとなっております。お茶会の誘いは毎日ひっきりなしに来ており、この三人がお茶会にいないとなると多少ガッカリされる程度になっております」


「…………そんな事になってたの? 凄いな、三人とも」


「「「ありがとうございます」」」



 俺の言葉に優雅に一礼をするその様は、完璧に貴族女性のものだった。滲み出る雰囲気が高貴な物になってるし、凄いな。



「ガモン殿、彼女らが集めた情報の中には『郷愁の禍津像』の情報もあるのです。誰が持っているのを知っているとか、お抱えの商人が持っているとか、自分の家にも一つある、と言った声までありました」


「マジか! なら、その貴族達と交渉も出来るのか?」


「そこです。彼女達なら、確実に『郷愁の禍津像』を手に入れられる手段が使えます。『郷愁の禍津像』を、特別な美容品と交換するのです」



 どこの世界でも通じる事だが、家の中で一番強いのは奥様である。それは日本でも異世界でも変わらない。男とは母親と嫁さんには勝てない生き物なのだ。


 だからこそ、サリアナイトは貴族家の奥様方と交渉をする。



「実は『郷愁の禍津像』を求めている方がおりまして是非とも手に入れたいのです。もし奥様の家にある禍津像をお譲り頂けるのでしたら、こちらの特別な美容品をお贈りさせて頂きます」



 と、こんな感じである。


 交換するのはもちろんガチャアイテム。普通では手に入らないガチャ産の美容家電である。


 例えば☆4『高性能美顔器』、例えば☆4『高性能フェイススチーマー』、例えば☆4『高性能ヘッドスパ』などである。


 どれも☆4なだけあって性能は最高峰。しかも美容家電はゲンゴウの売る中でも貴族女性が我先に購入する高額な希少アイテムであり、先程の三種は、まだ販売していない商品である。


 なるほど、これは欲しいだろう。禍津像の所有者である夫や、お抱えの商人などを説得して、必ずや交換をしに来ると断言できる。



「そしてこれらが話題になれば、他にも交換を望む声が出て来ます。ガモン殿、そういう訳ですのでガモン殿が所持している美容家電を私に預けてはいただけませんか?」


「そう言う事ならもちろん良いさ! 美容家電は自分で使ったりしないから、結構持っているしな。足りないなら追加でガチャを回すぞ?」


「はい。是非ともよろしくお願いします」



 このゲンゴウとサリアナイトの企みは大成功し、俺達の元には多くの『郷愁の禍津像』が届く事になった。


 やってくれるなサリアナイト! まさかこんな風に役立ってくれるとは思ってなかった!!


 以後サリアナイトは、情報収集とともに禍津像も定期的に入手してくれる様になった。貴族や商人の持つ禍津像をどうしてくれようかと考えていた所なので、物凄く助かったよ!

面白い。応援したい。など思われましたら、下の☆☆☆☆☆から評価をお願い致します。


モチベーションが上がれば、続ける力になります! よろしくお願いします。

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