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358回目 溶ける

 封印されている魔王の『郷愁の禍津像』を効率よく破壊する。そんなアイテムが俺のガチャから出た。


 禍津像を破壊する場合、一回使う毎に白金板十枚、つまり10億円かかるってのと、そのクールタイムがどのくらい掛かるのか不明という事に眼を瞑れば、俺が待ち望んでいたアイテムと言える。


 やっぱり、一回10億ってのがキツイよな。まあでも、目の前の魔王を倒す術が手に入った事は素直に嬉しい。例えば禍津像を魔王に奪われて眷属化された時とか、禍津像がどこに消えたかも解らない時とかに使える訳だ。それは凄く助かる。…………10億かかるけど。



 ◇



「…………それで俺の所まで来た訳か。魔王の封印の地についてはもちろん情報を渡す。『拠点ポータル』については、場所を考えねばならんな。下手な所に置いて士気が下がっては敵わん」


「はい。ありがとうございます」



 カラーズカ侯爵のいる要塞についた俺は、すぐにカラーズカ侯爵の所に案内された。執務室にはティアナもおり、俺はカラーズカ侯爵とティアナの二人と向き合う形でソファーに座っている。



「今のガモンの話だと、復活する魔王の内の二体は、フリント王国とバゴス王国に出た魔王って事でいいのね? その他の魔王については何も解らないの?」


「もし、この付近の魔王が復活でもしたら我らで押さえるしかない。状況的に窮地には立たぬだろうが、戦力を削られるのは確かだな」



 俺が色々と動いている間に、カラーズカ侯爵の方も進展があった。


 俺が居ない間にスノーモービルを乗りこなせる様になった、俺とフレンド登録をしているカラーズカ侯爵の騎士団『フラウス小隊』が王国軍を奇襲し、武器庫を☆4『プラスチック爆弾(大)』で爆破してきたのだ。


 前に俺がティアナとカラーズカ侯爵を救出する時に使ったのが☆4『プラスチック爆弾(小)』だったのだが、大きさで言えばその十倍はあったと思う。


 流石は映画なんかでよく使われるプラスチック爆弾だ。王国軍の武器庫は見事に崩れ、多数の武器が使えなくなったそうだ。


 もちろん武器庫なんかに置いてある武器や防具は、一般兵が使う量産品だ。しかし、それが数万人分も一気に消え去れば、軍としては大打撃だ。


 そして、その報復として王国の騎士団も出て来たのだが、武器庫の近くに配備されていた騎士団はそう多くはなく、さらに雪の上をスノーモービルで駆けるフラウス小隊と、雪上で馬を無理に走らせる王国軍では機動力が違う。


 しかもフラウス小隊が装備しているのがガチャ装備とくれば、もはや相手が可哀想になるほどの戦力差である。王国の騎士団はあっという間に殲滅され、増援が来る前に走り去ったフラウス小隊に、王国軍は呆然と見送る事しか出来なかった。



「結局、王国軍は王族を連れてサザンモルト辺境伯領へと逃げた。こちらの思惑通り、弱らせてから合流させたのでサザンモルト辺境伯軍としては痛手だろう。足手まといが大挙して押し寄せたのだからな」


「もっとも厄介なのは最強の敵ではなくて愚かな味方。って奴だな」


「ほう、良い言葉だな。覚えておこう」



 それはそうと、俺はカラーズカ侯爵が用意してくれたこの大陸の地図と、そこに付いている印に目を向けた。この印は、解っているだけの魔王封印の地であり、既に禍津像か破壊されている物はバツ印で消されている。


 こうして見ると多いなぁ。魔王が封印されているのは何もこの大陸だけではないし、なんなら海中にもある。先が長くて思いやられるが、いま見えない分を気にしてもしょうがないので、目の前の事に集中しよう。



「そう言えば、ドゥルクが言っていた二国、フリント王国とバゴス王国だっけ? そこで復活した魔王ってどれだ?」


「ガモン、ドゥルク翁の話を真面目に聞いてなかったの? フリント王国が『フローズンアリゲーター』で、バゴス王国が『ヒダルマトカゲ』だよ」



 フローズンアリゲーターは流氷を噛み砕いて進むワニで、ヒダルマトカゲは常に火炎を皮膚から吹き出している小型のトカゲだそうな。


 どちらもこの星に存在しているモンスターだそうな。つまりは、それと同種の魔王という事である。



「どっちもヤバそうだな。禍津像の眷属化だけはさせないように気をつけないとな」


「それなら、さっきガモンが言ってた☆5『強欲なる宝箱』を使ったらどう? この二体の禍津像だって手に入るのでしょう?」


「……………………あーー、それにはちょっと問題があるな。いや、割りと切実な問題かな?」


「なに? どうしたの?」


「……………………金が無い」


「え?」


「だから、金が無いんだよ! ホラ、最近あまり稼いでないし、ガチャも回し過ぎたって言うか、大盤振る舞いし過ぎたって言うか、とにかく無いの。いや、正確には白金板で十一枚くらいはあるんだよ? でもこれ、俺のガチャだと結構吹けば飛ぶっつーか、あっという間に無くなるんだよこれ!! おかしくない!? 日本円で11億円だよ!? これがすぐ無くなるってどんなソシャゲ!!??」


「ちょ、ちょっと落ち着いてください! ガモンが何を言っているのか、半分くらい解らないから!」



 そう、俺にあった莫大な金は『ガチャ・マイスター』と言う名の課金ガチャにほとんど溶けていました。

面白い。応援したい。など思われましたら、下の☆☆☆☆☆から評価をお願い致します。


モチベーションが上がれば、続ける力になります! よろしくお願いします。

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