表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
339/607

339回目 ドラゴン色々

 カラーズカ侯爵の領都バウルに無事に到着した俺は、すぐに『拠点ポータル』を使って、ジョルダン王国の王都ジョネイブの屋敷へと移動した。



「ふぅーー。やっと帰って来れたな」



 俺が『拠点ポータル』の設置してある部屋から出ると、たまたま廊下を歩いていたアルジャーノンと遭遇した。



「おや、ガモンくん。お帰りなさい」


『お帰りなさいませ、ガモン様。そして初めましてですね』


「……………………?」



 廊下に出た俺は、たまたま廊下を歩いていたアルジャーノンに遭遇した。…………え? 何で二回言ったのかって? そりゃ混乱しているからですよ。


 アルジャーノンと会った、それはいい。だが、アルジャーノンの隣にいるのは何だ?


 エルフとドワーフのハイブリッドであるアルジャーノンは背が低い。その見た目の若さもあって、少年にしか見えない。


 そしてその隣に今いるモノは、そのアルジャーノンのさらに半分くらいの背丈であり、輝く宝石で出来ている『ジュエルドラゴン』…………らしきモノだ。


 なぜ断言出来ないのかと言うと、俺のグラックとは違い過ぎるからだ。


 まず、その見た目だ。二足歩行で、ずんぐりとした体をしており、翡翠のような緑色の体にグレーのベストと黒のジャケットを着ていて、その手には金と銀の格子が装丁された本を抱えている。


 口元には銀色のカイゼル髭が蓄えられ、アゴ髭と左目のモノクルも相まって紳士のようだ。ちなみに背中には、申し訳程度に小さな翼も見える。あれで飛べるとは思えないが。


 と、見た目に関してはこんな感じだが、もちろんこれまで出てきた全てが、宝石で出来ている。


 …………そう、宝石で出来ている以上、コレは『ジュエルドラゴン』の筈だ。でもなんか喋ってたよ? 俺、挨拶されたもの。



「ガモンくん?」


「…………ハッ! えっと、アルジャーノン? その隣にいるのは?」


『私の事ですね? では、改めて初めまして。私、アルジャーノン様の『ジュエルドラゴン』で、名を『ドラっち』と申します』


「……………………ドラっち」



 取り敢えず、もうちょっとマトモな名前は無かったのか。アルジャーノンの名付けセンスが酷すぎる。


 俺がアルジャーノンに、この名前はどういう事なのかと問う視線を送ると、アルジャーノンは顔を赤くして視線を逸らした。恥ずかしいと気持ちがあるのなら、名前を付ける前によく考えろよ。



「えっと、よろしくドラっち。…………ちょっと聞きたいんだけど、お前はその名前についてどう思っている?」


『主より賜った名前ですので、大切にしたいと存じております』



 ……………………よく出来たドラゴンだこと。


 ドラっちは記憶力と分析力に優れたジュエルドラゴンで、アルジャーノンはドラっちを秘書のように使う事にしたらしい。ドラっちも戦ったり空を飛んだりは苦手なので、得意分野を生かせるのは嬉しいそうな。


 まあ、ジュエルドラゴンにも個性がある訳だ。あり過ぎる気もするけど。…………って言うか喋ってるんだけど? 喋れるの? ジュエルドラゴン。じゃあ、俺のグラックもいつか喋るの?


 取り敢えず俺もグラックを出して二人に挨拶させた。そして、その後はグラックは俺の肩にとまらせて移動する事にした。


 屋敷を歩く中で、仲間達とそのジュエルドラゴンに遭遇したが、基本的にはみんな俺のグラックと変わらずに小さなジュエルドラゴンで、やはりアルジャーノンのヤツが特別なんだと理解した。


 例えばアレスのやつは、細長い体を持ち翼が無くて手足が短い、いわゆる『龍』の形をしていた。


 その体は黄色く透き通る宝石で出来ており、四つの手足には黒い雷雲を纏わせている。アレスが名付けた名前は『リュウゼン』だそうだ。


 次にカーネリアのは、赤くて威厳のあるレッドドラゴンだった。カーネリアの肩にとまる程に小さいが、ガッシリとした体躯をしており、角や翼に尻尾などが、先端にいく程に黒くなっていた。


 まだ成長していないが、すでに炎のドラゴンブレスも吐けるらしい。俺のグラックはまだ何も吐けないのに。


 そのカーネリアのジュエルドラゴンの名前は『セキ』。ガチャ書籍で知った俺の国の言葉で『赤』を指す言葉にしたそうだ。


 最後にシエラのジュエルドラゴンだ。


 シエラのヤツは少し特殊で、薄い緑色の宝石で出来たソイツは、どちらかと言えばトカゲに近い形をしていた。


 翼が無くて空を飛ぶ能力も無いが、体を透明にする力と、治癒の能力を持つブレスを吐けるのが特徴だ。


 ドラゴンが透明になる際に、そのドラゴンが乗っているシエラの肩も一緒に透明になっていたから、周囲にもその効果が広がるらしい。結構使えそうなジュエルドラゴンだ。


 このジュエルドラゴンに、シエラは『ジェラ』と名付けた。自分と同じ癒しの力を持つから、似た名前を付けたかったらしい。


 と言うか、ジュエルドラゴンの振り幅が凄いと言うか、何でも有りなのかこれ? アルジャーノンのドラっちはともかくとしても、種類多くない?


 アルジャーノンのドラっちは別格としてな!

面白い。応援したい。など思われましたら、下の☆☆☆☆☆から評価をお願い致します。


モチベーションが上がれば、続ける力になります! よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 持ち主が死ぬとこいつら全員死んじゃうのか 2体を除いてドラゴンにしては短命だなあ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ