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336回目 サザンモルト辺境伯の狙い

 ヌヌメルメ王家とサザンモルト辺境伯の持つ軍をまとめて倒す。その為にはティアナの『フレンドクエスト』の達成条件の三番目にある『サザンモルト辺境伯の説得、もしくは討伐(三十日以内)』を抜かす必要がある。


 これについては、ティアナの安全が確保されるのであれば問題ない、と言う事も解ったのだが、具体的に何が危険だったのか、これを解明し対策する必要はある。


 要は、サザンモルト辺境伯を説得も討伐もせずに放置すると、何が起きるのか。と言う事である。



「まあ普通に考えれば、無傷のままでサザンモルト辺境伯と王国軍が手を組み、我らとの戦いになる。といった所だな」


「でしょうね。三竦み状態を打開するために一時的に手を組むと。王国軍はうまくすればカラーズカ侯爵側にいる貴族を味方に引き込めると考え、サザンモルト辺境伯はそもそも王国軍は敵ではないと考えている。サザンモルト辺境伯が厄介に感じていたのは、王国側にカラーズカ侯爵がいたって所でしょうからね。カラーズカ侯爵が離れた今なら、いつでも叩き潰せると考えているでしょうぜ」



 カラーズカ侯爵とバルタの考えはそんな感じだ。


 でも俺は、それでは少し弱いと感じる。何と言うか、それだと普通に逃げられそうなのだ。例えサザンモルト辺境伯と王国の連合軍に囲まれたとしても、時間を稼ぎながらカラーズカ侯爵やその領地にいる人達を逃がす事は出来そうな気がする。


 と言うか、俺のガチャアイテムをフルに使えば勝つ事も難しくは無いと思う。敵の持つ力や数にもよるだろうけど。


 俺がその懸念を伝えると、カラーズカ侯爵もその事については感じていたのか、渋い顔になった。



「…………弱いか。確かにガモンの懸念はその通りではある。ガモンのスキルをフルに使うのであれば、大軍に囲まれても逃げるのは容易いだろう。だが、そうなると他に何があるのか、という話になる」


「なら、それを上回る危機、という事になりやすね。……………………あ」



 ガチャアイテムでも対処が難しい程の危機。これの正体に気づいたのは、バルタだった。



「旦那、ひょとしてアレじゃねぇですか。ほら、旦那がジョルダン王国でやっつけたっていう、公爵ですよ!」


「ん? …………もしかして、『アブクゼニス』の事か?」


「それです! そいつは確か、サザンモルト辺境伯とも繋がってたんじゃねぇでしたか?」


「ジョルダン王国のアブクゼニス公爵家か。確かにその家は、サザンモルト辺境伯とは近しい関係にあったはずだ」



 バルタの問い掛けにカラーズカ侯爵が答えた。確かに俺も、そんな話を聞いた覚がある。アブクゼニスが『魔王・キツネ』の封印を解いて王都を混乱させ、その隙をついてサザンモルト辺境伯も乗り込んで来る。そんなずさんな計画を立てていたのだ。


 結局はアブクゼニスは計画に失敗して死亡し、『魔王・キツネ』も俺達の手で倒した。


 そしてジョルダン王国を攻めようとしたサザンモルト辺境伯も、ジョルダン王国の騎士団によって小競り合いはあったものの、侵攻を諦め、早々に帰っていったのだ。



「…………そうか、なるほど。つまりバルタは、サザンモルト辺境伯も『魔王』の封印を解いて我が領地を踏み荒らす気ではないかと言うのだな?」


「へい。手段をえらばねぇなら、あり得やすぜ。例え戦争中でも魔王の封印には手を出さねぇ、ってのは暗黙の了解ですが、ヤベェのはそれが他国に漏れた場合だけです。雪で閉鎖された国内でなら、他国にバレる心配も少ねぇですからね。十分に考えられやすぜ」


「…………それって、もしサザンモルト辺境伯がアブクゼニスの考え方に賛同していたら、『郷愁の禍津像』も使うんじゃないか?」


「…………それは対応する禍津像を都合よく持っていればの話だが、…………持っていると考えておくべきだな」



 カラーズカ侯爵の領地と、その周辺の領地にある『魔王封印の地』は三つ、カラーズカ侯爵領には『スイギュウ』、ここよりも北の領地には『ナガアシゾウ』、

 ここよりも東にある隣国との境には『ヤイバトカゲ』の封印の地がある。


 この他にも二つ程あったのだが、それは俺が破壊した『郷愁の禍津像』に入っていたらしく、既に存在しないものとなっている。



「何にしても、座して待つ事はありやせんぜ、その禍津像、あっしが見つけて破壊してきやすぜ。旦那、☆5の『亜空間のマント』を借りて行きやすぜ」


「ああ。見つけた禍津像は全部破壊して来てくれ。残しておく意味もないからな」


「へい、もちろんでさぁ!」



 バルタが頼もしい。可能性に気がついた今、自ら敵地に乗り込んで可能性の芽を潰して来ると言う。


 確かにバルタなら適任だ。万が一敵に見つかったとしても、囲まれたとしても、いざとなれば『絆の証』を使って俺の所に瞬間移動できるからな。危険はかなり少ないだろう。


 そして俺も、相談事を受けて終わりではない。物資や装備の補給に、ガチャアイテムで他に使える物がないかという検証を少し残ってしていく事になった。


 これは少し帰るのが遅くなるな。俺のもそうだが、帰った頃には皆の『ジュエルドラゴン』も卵から孵っているかも知れないな。

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