表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
332/607

332回目 『ジュエルドラゴンの卵』

 子供達と共に☆5『ジュエルドラゴン制作キット』を使った俺は、『ジュエルドラゴンの卵』が出来るのをワクワクしながら待っていた。


 もちろんワクワクしているのは俺だけではなく、子供達も期待に満ちた顔で眼をキラキラさせている。


 更にそれは、周囲で見ている仲間達も同じだったりするから面白い。



「どんなのが出来るのかな?」


「ボク、今日から卵をだいてねる」



 ダッカとアラムの会話にホッコリしながら、俺は自分が設定した卵が作られているであろう皿を見る。


 まず俺は、材料として黒い宝石を選んだ。


 この宝石の色がドラゴンの色になるのかは解らないが、なると仮定して、何色のドラゴンが良いかをまず考えた訳だ。


 レッドドラゴン、ブルードラゴン、グリーンドラゴン、イエロードラゴン、ホワイトドラゴン、ブラックドラゴン。


 まあ考えれば結構いる訳だが、ブルーは海、グリーンは森な感じがするので、止めておいた。だって、イメージ的に飛べそうにない。


 海を泳ぐドラゴンは美しいし、森を闊歩する大型のドラゴンも力強いのだが、どうせならやはり飛びたい。


 ならレッドか? いや火山地帯に棲んでそうだしキツイか? ならイエローか? いやいや、雷っぽいから痺れそうだ。


 ならホワイトドラゴンかブラックドラゴンか。


 …………うーん、ホワイトってイケメンしか許されなくない? なんと言うか、白馬の王子的な?


 そんな感じで思考が進み、ブラックドラゴンも格好いいよね。紅い眼だとさらにいいよね。と言う事で黒い宝石を選びました。


 カッティングの種類も色々あったのだが、黒と言う事もあり、ブリリアントとかは無いなと『トリリアント』と言う、三角形の様なカッティングを選んだ。


 この辺、すげぇ楽しかった。


 そうして待つこと数分、ついに卵の生成が終わったらしく、カバーが開いて俺と子供達のジュエルドラゴンの卵が姿を現した。



「「おおーー!」」



 誰ともなく声が漏れた。宝石で出来たドラゴンの卵。まさにロマンの結晶が、ここにあるからな。


 カバーの中から出て来たその卵には、個体差があった。宝石やカッティングの種類が違うのだから当然ともいえるのだが、俺のはニワトリの卵くらいの大きさで、黒い宝石で出来た卵だ。触ってみると、何ヵ所かが丸みをおびた三角形に浮き出ているのが解るような卵だった。


 次にニッカの卵は、透明で中に雪の結晶が透けて見える卵だった。大きさは俺のよりもやや小ぶりなくらいのやつだ。


 ダッカのは、まん丸で野球ボールくらいの大きさ。色は緑で、宝石で出来た葉っぱを何枚も重ねて丸めたような、そんな形をしている。


 アリアのはピンク色で、大きさは俺のと同じニワトリの卵くらい。薄いピンク色の透明感のある卵に、濃いピンクでハートが描かれていて中々可愛い卵だ。


 そして最後にアラムの卵なのだが、これが普通じゃなかった。


 まず大きい。その大きさはアラムなら抱える程の大きさだ。その大きさは正にドラゴンの卵! と言う大きさだった。


 卵自体の色は白…………なのだが、その表面は輝いており、卵から数ミリ離れた表面には、輝く幾何学模様が形をかえながら動いている。いや、何コレ?


 ジュエルドラゴンの卵には間違いないと思うんだけど、だって宝石で出来てるし。え? 何コレ?



「…………まさか。…………アラムくん、ちょっとそれ『解析』させて下さいね」


「うん。いいよ」



 アルジャーノンがアラムの前にしゃがみ込み、『解析』を行う。その結果わかったのは、アラムのは確かにジュエルドラゴンの卵なのだが、『ジュエルドラゴンの卵・王竜』と言う、俺達の作ったのとは少し違う物らしい、という事だ。


 何それ『王竜』? 王様なの? そんなのが偶然できたの?


 そんな風に思っていたのだが、アルジャーノンによると、『王竜』というのはドラゴンの極一部が突然変異するものであるらしく、同じドラゴンの中でも突出した力を持つらしい。


 一応『王』とはついているが、強い力を持つので群れのリーダーになりやすい、と言う事で王様って訳ではないらしい。ようはとても強い個体につく称号みたいな事だ。


 問題は、何故いきなりそんなとんでもない卵が出て来たのか、って事だが、それについては心当たりがある。


 それは、アラム達と初めてあったサブクエストの説明にあった一文だ。そこにはこうあった、アラムには『竜騎士』の才能が備わっていると。


 つまり俺の☆5『ジュエルドラゴン制作キット』と、天使が認める程の『竜騎士』の才能が化学反応を起こして、この事態は起こった。…………のだと思う。


 しかし、作られたジュエルドラゴンにもその『王竜』という突然変異が適用されたってのは驚きだ。なんせ、解析したアルジャーノンも、この世界について様々な事を調べているであろうドゥルクも驚いているのだから相当だろう。


 いったいどんなジュエルドラゴンが生まれて来るのか、楽しみではあるが少し怖いよね。

面白い。応援したい。など思われましたら、下の☆☆☆☆☆から評価をお願い致します。


モチベーションが上がれば、続ける力になります! よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ