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329回目 仲間と飲み会

 クランメンバーを集めて行った初のクラン・パーティーは大いに盛り上がっていた。


 テーブルに所狭しと並んでいる料理は、一皿無くなれば新しい一皿が出てくる。その人気度合いによっては別の料理への差し替えもあるので、ちょっと油断するとまったく別の料理が増えているのだ。


 特にクランメンバー達は、暇潰しにテレビを見たり、ステータス上げにもなる漫画などのガチャ書籍を読む事も多い。


 その為、テレビや漫画で「これ見た事ない料理だけど食べてみたい」と思っていた物や、かつての勇者達が再現していた料理の本物を前にして眼を輝かせていた。


 俺なんかは、日本では飲む機会が無かった高い酒を呑みながら、つまみに料理をつついているのだが、皆は割りとガッツリ食べている。


 特に、メリア・ユミル・ネリスからなる女性パーティー『メガリス』は凄まじい。あの細いウエストのどこにそんなに入るのかってくらい食べている。


 そして三人とも酒好きであるらしく、近くには次々と空き瓶が並んでいき、サービススタッフがそれを定期的に片付けていた。



「よう、楽しんでるか?」


「ああ! こんなに料理に囲まれるのは初めてだよ、呼んでくれてありがとうな、ガモン!!」


「こんだけの酒も中々見ないね。アンタは異世界人って話だけど、よほど裕福な世界だったんだろうね。こんなに手間隙をかけた酒なんて、ドワーフだって作らないよ!」


「で、でも、私達だけがこんなに食べるのは、ラグラフ王国の人達に申し訳ない気もしますね」


「何言ってんのさユミル! こんだけあるんだから、少し持って行けばいいじゃん!」


「ネリスの言う通りだね。酒も一緒に持っていってやれば、いい気晴らしにもなるだろ。ガモン、金はちゃんと払うからさ、少しお土産に包ませておくれよ」


「あーー…………。ゴメン。酒は俺のスキル倉庫にまだまだあるから大丈夫だけど、料理は持ち帰ったり出来ないんだよ。そう言うアイテムなんだ」



 なんたって場所と時間を限定した『ケータリングサービス』だからな。残念だけども、料理の持ち帰りは不可なのだ。自分で用意した酒は例外だけどな。



「あぁそうなのかい。そりゃ残念だね」


「まぁでも、俺のガチャアイテムで材料は揃うし、ガチャ書籍には料理本もあるからな。再現出来るものはあると思うぞ? 例えばほら、このエビチリなんかは俺でも作れるヤツだ。エビと少しの野菜をチリソースに絡めて炒めるだけだからな、わりと簡単なんだよ、エビチリ。まあ、ここまで巧く作るなら料理人に頼んだ方がいいけどな」


「なるほど、そりゃいいね」


「まぁでも、そんな心配は後にして、今は存分に楽しんでくれよ」


「ああ、そうさせて貰うよ」



 俺はメリア達との話を終わらせて、次の場所に向かう。


 次に俺が足を向けたのは、ティアナとリメイアのいる所だ。この会場は立食パーティー形式でやってはいるが、落ち着いて食べられるテーブルや椅子も用意している。


 その中の一つで、ティアナとリメイアに、何故かついて来たリメイアの母であるマチルダさんが仲良く食事を楽しんでいた。


 その隣のテーブルでは、これまた何故かついて来たリメイアの父でもあるターミナルス辺境伯ノルドが大商人であるゲンゴウと二人で酒を飲みながら料理を楽しんでいた。


 まさかの辺境伯夫妻の乱入だったが、幸いにも俺が☆4『プレシャス・ケータリングサービス』に請求された額よりも多くの金を入れていたので対応できた。


 まぁともかく、流石に女子会にパーティーとは言え入っていく度胸は持ち合わせていない。なにせその女子会には今、シエラと、トレマにイオスの双子まで入ったからな、この場で一番華やかな場所になってしまったもの。



「…………しょうがないな。お、バルタ、俺と一緒に飲もうぜ」


「へい、もちろん良いですぜ」



 なので俺は、向こうの女子会に対抗して、漢会を開く事にした。名前だけで何ともムサイが、俺達に気づいたノルドとゲンゴウがこっちを見ているので、俺達は近くのテーブルからツマミにする料理を持って二人のテーブルにお邪魔した。



「お邪魔しますよ」


「料理はここに置きやすぜ」


「ガモンにバルタ、ツマミを持参とは気が利くな。ところで、この料理は全てガモンの国の料理か? これ程に多岐に渡る料理があるとは、ずいぶんと料理に力を入れている国なのだな」


「いやいやノルド殿。見た所、文化の形式がかなり違いますぞ。これは少なくとも、異なる三つの国の料理ではありませんかな?」


「おおっ! ゲンゴウが正解だよ。これは和食・洋食・中華と言って、大きく三つに分類される料理だよ。俺の国の奴は和食だな」


「ほう。流石は義父殿。見る目が違う」


「なに、ワシは商売人として様々な国に足を運んでおりますからな。そこで食べるその地域の料理が楽しみだっただけですわい。やはり国が違えば、材料に調理法と色々変わってきますからな。単純に経験の差ですな」



 ワッハッハッと笑うゲンゴウにちょっと感心しつつ、俺達は男だけが集まったと言う訳の分からない理由でもう一度乾杯をして、男だけの飲み会に突入した。


 ほとんど酒と食い物の事しか話してないが、男だけで飲むってのは気安いよな。…………おっと、飲み過ぎる前に他の奴らの所にもいかないとな。

面白い。応援したい。など思われましたら、下の☆☆☆☆☆から評価をお願い致します。


モチベーションが上がれば、続ける力になります! よろしくお願いします。

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