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302回目 前哨戦みたいな

「これは『フレンドクエスト』だ。簡単に言えば、フレンドが心から願う事を叶える為のクエスト。世界とか国とかってよりも、もっと個人的なクエストだ」



 そんな風に、『フレンドクエスト『ティム』』の説明を締め括った俺を見て、ラグラフは大きな溜め息をついた。



「ガモンよ。個人的なクエストって言ったが、そりゃ無理筋ってもんだろ。現にこいつは、テルゲン王国の頭をすげ替えろって話だぜ?」


「そうだな。でもさ、その原因を作ったのもテルゲン王国だろ。色々と条件付きだったけどさ、これって要するに『ここまでやらないとティムを助けられない』って事だと思うんだよ」


「……………………おいおいガモン。まさかお前…………」


「ああ、やるよ。やらない訳ないだろ。ティムは俺の仲間で友達だ。助け出さないなんて選択肢は、最初から無いんだ」



 俺の言葉にラグラフ達は呆れた顔を見せ、メリア達はキョトンとした顔をし、シエラ達はそうだろうなと、軽く微笑んだ。



「おいガモンよ。よく考えろ。確かにテルゲン王国ってのはそんなにデカイ国じゃねぇ。土地の恵みと、周囲を囲う天然の要塞に護られている中堅国家だ。大国なんかとは比べるべくもない。…………こんな要塞一つっきりの国土しか持たねぇ俺が言えたことじゃねぇけどよ」


「いや解るよ。ラグラフが言いたい事は解っているんだ。俺達みたいな、一クランが国を相手にするのは確かに間違ってるよな」


「お、おう。そうだろう? だからよ、なんとか国を相手にしねぇように囚われてる奴らを逃がそうぜ? 俺も協力するからよ」


「…………でもな、それじゃ足りないんだよ」



 ラグラフはああ言ってくれるが、やはりそれではダメだろう。何せ、神まで関わっている俺のスキルが、それでは不十分だと言っているのだ。


 あの城からティム達を助け出したとしても、カラーズカ侯爵領が襲われるのは変わらない。


 カラーズカ侯爵領を国軍から護りきっても、サザンモルト辺境伯がテルゲン王国の王位を簒奪すれば、カラーズカ侯爵領にも結局は手を伸ばしてくる。


 仮に国とサザンモルト辺境伯の戦いに国側が勝ったとしたら、やはりテルゲン王国は、カラーズカ侯爵領を攻めるだろう。


 …………どうあがいても、結局はカラーズカ侯爵領は潰される。そうなれば当然ティムも、無事では済まないのだ。



「うぅむ…………。言いたい事は解るが…………」


「それにさ、丁度良いじゃないか」


「あん? 何がだ?」


「俺達は三年で世界を救わなきゃいけない。『方舟』なんて言う、神の造り上げた物を相手にして、世界を護るんだ。それだって、どう考えても戦力は足りないだろ。強大な敵を相手に、戦力をかき集めてふり絞って戦うんだ。それこそ、何だってやる覚悟がいる」


「……………………」


「それに比べてだ。今回のは期間は約三ヶ月で、国を相手としてカラーズカ侯爵とその領域を護り、さらには逆に攻め滅ぼして国を奪わないといけない。世界とまではいかないが、全てを振り絞って戦うのは一緒だろ」


「…………恐ろしい奴だな。お前、今回の戦いを世界を救う戦いの前哨戦として位置付けるつもりか」


「国を相手にした戦いくらい勝てないと、世界を護る戦いになんて挑めないだろ。仲間の命も掛かっているんだ、俺はやるぞ。負けるつもりもない」



 テルゲン王国を相手にした戦いとあって難色を示していたラグラフだったが、最終的には折れてくれた。



「…………わかったよ。…………まぁ、世界を救う戦いには、今のテルゲン王国は組み込めないのも確かだ。ありゃあ、足を引っ張るとしか思えねぇ。だがな、戦争ってのは人が死ぬってのはしっかり覚悟しておけ。国を相手にした戦争なら尚更だ。敵味方あわせて、人が何千何万と死ぬのが戦争だぜ?」


「ああ。…………解ってるつもりだ」


「解る必要はねぇよ。頭で解ってるだけじゃ意味がねぇ。人を殺す覚悟だけはしておけって事だ」


「…………ああ」



 ラグラフの言う通り、戦争は人が死ぬ。平和な日本にいた俺は、それを断片的にしか知らないが、確かに覚悟なんて無い。


 頭で理解して、口に出して言っても、心までついて来ない。だがそれでも、やるしかない。



「まずは第一段階。ティムとカラーズカ侯爵、それと使用人達の救出だ。アレス、バルタに連絡を取っておいてくれ。バルタの力も必要だ」


「わかりました。ガモン殿はどうするんですか?」


「俺はまず、この国に拠点を作る。『拠点ポータル』が絶対に必要だからな。ラグラフ、もう家が建てられるの待ってられないから、拠点はこっちで作るぞ。場所だけくれ」


「おう。それなら庭を好きに使っていい。元々そこに建てる予定だったしな、整地は進めてる筈だ」



 ラグラフ言う通り、城の庭では、俺の拠点を作る場所にするつもりだった所が、綺麗に整地されていた。


 俺はそこに☆4『コンテナハウス』を出して、拠点として『ガチャ・マイスター』に登録し、☆4『拠点ポータル』を設置した。


 これでタミナルとラグラフ王国、そして『邪眼族の螺旋迷宮』の行き来は自由となった。


 仲間達にも協力を頼みたいし、一度タミナルに戻るとしよう。

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モチベーションが上がれば、続ける力になります! よろしくお願いします。

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